TOPICS 第41回

(初出:第47号 01.2.20)

個人的情報数篇
西村しのぶ久々新作&待望単行本刊行
「Kiss」誌3号に「BIG作家」の肩書き付きで登場(アンケート出さなくて良さそうだねこれなら)。「一緒に遭難したいひと」表紙&センターカラーです。いつも通りここ最近の「下山手ドレス」のネタ満載。シリーズ読切ってこういう内容がベストなのかもと感じています。というか、こういう内容だからシリーズ読切がベストなのかも。気がついたらこんな執筆ペース。今回のオチは作中にもあるように、古典名作(「クリスマス・カロル」?)と同内容でしたが、贈って楽しく、もらってうれしいプレゼントとはかくあるべき、てな感想です。自身の経験は..やめておきます。センス無し男。(何だかあまり誉め言葉が足りないようなので補足。久々の新作で、何度読み返しても飽き知らずです。割烹着姿のエイコがステキ。)
そして本館「下山手ドレス」(「ニュータイプ」誌連載)が13年越しの単行本化(「ニュータイプ100%コミック」)です。昨年春に「出る」という話がどこかにいって、気がついたら先日発売(一応新刊リストにも載ってましたがちょっと遅れた?)。高円寺とは不思議な所です。出た(らしい)次の日に買いに行ったらどこにもなし。それほど大きな書店てのは無いのですが、それでもいくつもあるのですが..結局お隣の中野にて購入出来た次第。あ、そういえば鶴田謙二の時も..ライバル多すぎ。で気になる内容は`88〜`98の126話分を完全掲載(柱の手書き部分も!)。全てに対談形式のコメント付き。確かにファンにとっては損のない代物ですが、中味が「近況報告」ですから連載を読むのが読み方としてはベスト。勿論先生(の作品)を読み解く上で必須の参考資料になることは間違いありません。「これでやっと、古本屋でのノルマ(バックナンバー集め)が一つ減りました。」とは萩原の談。
「Zipper comic」誌第2号(2/19売り)に掲載は「下山手ドレス別館」。

高橋留美子恒例短編
「ビッグオリジナル」誌に載る年一の読切、今年は4号に登場。「おやじグラフィティ」と題して親と子の関係を見直します。現実に最近よく聞く話、「親は子のために一生懸命やっているんだから、子は親の理想通りに育つべき(はず)だ」と、そこには子供の主張が全く存在していません。勿論極端な設定で、深刻にならないようにギャグを随所に折り込んでありますが、「少しでも子供の言うことを聞く姿勢を持たなければ」というメッセージが今回の山場。親子関係に限らず、人間関係全般においても言えることだな..と思いました。「サンデー」誌でのコメント(目次欄に載る、作者の一言。漫画誌ではおなじみ)で、先生はたまに人気作家として型にはめられることを嘆いています。今回のオチは心の叫びでもあるのでは..?とこれは邪推。
この項に関連してちょっと(かなり)蛇足。前号にて「5万円」のリトグラフを揶揄しましたが、これは決して「高価いから」出すな、買うなという話ではないのです(→関連「タカハシの目」第2回)。友人で、婚約指輪の代わりに一枚の絵を買った者がいます。高名な画家の作品ではありません。作者は「わたせせいぞう」。漫画家であり、一応のイラストレーターであります。価格は18万円。値段や物の損得ではなく、彼等はその絵に共通の憧憬なり共感なりを抱いたのです。こういうのが「売る⇔買う側に幸福の図式が出来ている」と言えるのではないでしょうか。「(無駄だなと)思ってはいても買ってしまうのがマニアさ」とは良く聞く台詞ですが、哀しすぎます。だって今回の図柄は単行本の表紙と、イラスト集からの言ってしまえば焼き直し。当時のスキルと作品世界を現在の最高技術で再現というのは、現役の作者のファンには特に必需品ではないだろうし、個人的にも青春のかなり一部分なのですが、そこまでの物ではありません。「買いたいから買うんだ」という人を非難する話ではなく、何故出すのかなあという話。例えば昨年亡くなった、小島剛夕の選集が限定部数で出ています(リイド社?)。これも高いけど、それはいいなと思うのです。



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