TOPICS 第42回

(初出:第50号 01.5.21)

新古書店に問題提起
「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」が設立され、新古書店でのコミックス売買、及び漫画喫茶のシステムに反対する緊急アピールをコミック雑誌に投稿(?)、各誌とも5月発売号で一斉にこれを掲載した。ここで問題にされているのはあくまで新刊に近い作品の話。個人的には半年ほど前にこの話題(新古書店)を取り上げ、耳が痛いことを述べたばかりであるが、最近ではこの大規模な古本流通は行き詰まりを見せるだろうと考えている。人気作、新刊はやはり需給バランスが保たれづらいからだ。どうしても読みたい、何度も読み返したい作品に関しては書店で発売日に買い、売らないのが道理。つまりこの提言は読者には懇願でしかなく、尊大な態度で述べるならば「なら読み捨てられないような作品を作れよ」となる。但し読者側も新古書店や漫画喫茶で読みたかった作品を買った(読んだ)時、作品を提供してくれた者に一銭も支払っていないことは自覚しておくべきだろう。パトロンのいない文化は育たないのだ。

コミックBUNCH(バンチ)創刊
今春刊行が噂されていた新潮社(注)初のコミック雑誌が5/15創刊。すでにコンビニ専用の廉価版コミックス(「BUNCH World」)が同社より刊行されており、原哲夫、北条司らの「ジャンプ」作品というラインナップから新雑誌の執筆陣も予想できた。「ジャンプ」の大御所連が株主(経営陣)で執筆者である。漫画界に大手が新規参入、の話にしてはずいぶん手堅くいった感があるが、青年誌で週刊220円と明らかにかつての「ジャンプ」世代をターゲットに絞り込んでいる。目論見通りなら面白味はないが、ベテラン勢が健在ぶりを見せるか期待。一読したところは..思ったより地味な印象。私はあんまり「ジャンプ」に思い入れがないからねえ..。
注:正しくは子会社の(株)Coamix

個人的情報
西村しのぶ久々登場は「Kiss」誌9号「一緒に遭難したい人」。事ここへきて指摘するのも今さらだろうし、「概説」で改めて定義されると思いますが(たぶん..)、「物語性」は皆無に等しい。今話も核となるキーワード、「北京ダック」絡みは(先生の)時事ネタだろうし、「リンダ」「水墨画」もおそらくそう。で、昔は「物語が面白い」から読んでいて、今はこのように書き綴られた「話が面白い」から読んでいる。ただ、このスタイルの違いは歴然としていて、今のノリで中断中の作品(例えば「サード・ガール」)が書き上げられるのは嫌かも知れない。ま、そこの所を踏まえての「ライン」中断中なのかも知れません。(余談:「水墨画」の話題が出る前にパンダの絵は出てくる(キリエん家の寝酒?用ボトルのイラスト)んですけど、中身は「笹酒」?)同誌同号では小池田マヤ「...すぎなレボリューション」が大ヒット。いわゆるストーリー4コマの代表作といっていい作品なんだけど、めくった所にある最終ページの大展開が素晴しい!本当に作者は現実的なタブーを次々出してきます。そこで破綻することのないのが、おそらく人気の秘密ですね。閑話休題。
「FEEL YOUNG」誌6月号、巻頭スペシャルに先生他5人の漫画家の「おすすめ自慢料理レシピ」が載ってます。多忙な職業柄、簡単&女性ならではのあっさりめの料理でどれもおいしそう。で、その隣ページにある次号(7月号、6月8日売)予告に「RUSH」。



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