ジジイ先生の手がやはり振動している。器具を差されている女学生は、あきらかに怖くて体が強ばっていた。チラッと横目でそれを見てイスに座るオレ。ヨボヨボのジジイと怖がる娘。(これはマニアの世界だな)と考えるオレ。若先生がオレを呼び調子を聞く。「あいかわらずまったく聞こえない」と答える。前回と同じ治療をされる。若先生からも同じ事「このままもうちょっと様子見ましょうか」といわれ終了。病院というのはあいまいで不透明なもんだ。言われるがまま。どうしようもない。他の所にうつってもよいのだが、又一からやりなおしで金もかかる。(フェアじゃねえなあ)などと考えながら帰宅。3日後。いつものように受付で保健証を出し長イスに座って待つ。他に人はなし。すぐ呼ばれオレ中へ。若先生しかいない。ジジイ先生がいないので何となくホッとするオレ。看護婦につれられいつもの視聴覚室へ。いつものようにまったくかわりなし。若先生の所へもどると先生は一言「じゃあ手術しましょうか」「えっ!?手術ですか!?」とオレ。急に何を言うんだと考える間もなく何やら看護婦にテキパキと指示をだす若先生。「じゃあ2階へ」と看護婦に言われ2階へ。オレ心の準備が出来てなく、かなり動揺している。2人の若い看護婦がオレのまわりで準備している。「じゃあ横になっててくださいね」と言われ横になる。硬いベッド。思ったより高さがある。横には工事現場で見るような強力なライト。逆側にコテらしき器具。トレイなどが載っている小さいカート。「もうすぐ先生来ますから」と看護婦のひとり。もうひとりの看護婦手にタオルを持って「この位でいいですかぁ?」と聞く。茶髪でターコイズのピアス。まだ仕事になれてない様子が気になる。「そんなにいらないよ」と言われどこかへきえる。「どのくらいかかるんですかねえ?」とオレ。「ウーン..スグ終わりますよ、5分もかからないから」(フーン..5分か)と考えるオレ。5分で終わる手術ということは全然たいしたことないらしい。やっと若先生登場。ひととおり器具をチェックして「じゃあ切りますからねえ」とオレに言う。若先生はオレの頭を持ち何やら器具を左耳にいれて動かしている。ライトはオレの左耳にあてられていた。(まぶしいなあ)と思っていると左耳の奥で「ザリジャリッ」と音が聞こえた。