タクシーで初めて本当に家の前まで来た。人の金だからこのさいジャンジャン使う。家の隣の商店のオバサンがヨロヨロしているオレをチラと見て再び仕事を始める。ついでに金を使おうとタバコを買うオレ。2箱買う。家へ入り姉に一応報告。姉、横になりながら首、顔だけこちらに向け「フーン」とだけ。オレ部屋へ行き、即寝る。
3日後又病院へ行く。痛みはほとんどない。しかし今だ左耳はほとんど聞こえず。テレビなどは自然と右耳を向けて聞いている。午前中のT病院人は誰もいない。受けつけの女性が前、来た時と違っていた。なぜか私服。(才女)風メガネの美人。しかし性格はキツそう。保健証だし待つオレ。テレビではワイドショーをやっている。観る間もなくオレ呼ばれ室内へ。ジジイ先生相変わらず小刻みに振動中。前回と同じくイスに座らされ空気をいれられる。ジジイ先生なぜかオレの目を見ながら空気発射ボタンと止めボタンを押す。どこを見ていいのかわからずオレなぜか目をつぶる。ジジイ先生相変わらずボソボソ声で解説。看護婦に何かを言ってオレをアゴで指図する。看護婦につれられ他の部屋へ。前回と同じ視聴覚室みたいなところへ。又、まったく同じ事をされる。今回は若い看護婦。防音になっている部屋に二人きり。(急にガバッと襲いかかったらどうすんだろうなあ?sexしても声もれないし..)と事務的に仕事をしている看護婦を横目に有らぬ事を考えるオレ。音が聞こえてくる。ボタンを押す。くりかえし。くりかえし。思ったとおり結果は前回と同じ。ほとんど左耳聞こえてない。看護婦につれられ診察室へ戻る。ジジイ先生どこかへ行っているのか今度は若い先生がいる。若先生どうやらジジイ先生の息子らしい。顔が似ている。眉が長い。若先生の前に座る。「どう?変わんない?」主語がないと思ったが、耳の事だとはわかる。「ハイ。痛みはなくなってきましたが、音は聞こえないですね」とオレ。若先生はよくわかっている。カルテに目をとおし左耳が聞こえないオレに対しちゃんと聞こえる右耳の方に顔をやや近ずけ話してくれる。いや、これが普通なんだ。ジジイ先生がおかしいんだと確認。若先生に言われ、後ろにあるこれまた大きな機械の前へ座らされる。横ではババア看護婦が何かを消毒している。二股になったガラスの器具。形はみょうが、またはカンチョウみたいだ。「じゃあ鼻の中へ入れて下さい」とババア看護婦。オレ恐る恐る鼻の穴へ入れる。同時に水蒸気とこまかい振動が。自然と口で呼吸する。鼻、ノド、にスーッとした空気がながれてくる。恥ずかしいが心地いい。その振動水蒸気はけっこう長時間つづいた。