中耳炎エーンエーン日記 第5回

(初出:第60号 02.3.22)

ガキオレを見てウレシソウな顔をする。父親あいかわらず何かを読んでいる。オーディオ雑誌のようだ。なぜ調剤薬局にオーディオ雑誌があるのだろう?オレ何か書いてある紙を店員にわたす。女性店員なかなかの美人。奥から男性が顔をだし「いらっしゃいませ」と言う。昔バンドやってました。けっこう音にはウルサイデスという感じの細身の男。ガキがいるのでオレ座らず。ガキスタンバイOKで長イスに座ってオレをまっている様子。しきりにヒザをピョンピョンしている。しかしオレもつらい。立っているのがつらいとはなさけないものだ。父親の横にしゃがみこみ、大きな一枚杉のテーブルのすみにあったラムネをほおばる。世の中でラムネが一番大好きなオレ。食いまくる。父親、なぜこの男はイスに座らないのだろうか?と不思議に思ってか、オレをイスにうながす。オレガキがいるんで、ガキを指さし小声で「ウルサイから」と言って父親のやさしさを拒否する。父親何がウルサイのか?何もわかってない様子。体調が良かったらちゃんと説明してやるのにと考えるオレ。ガキ呼ばれ薬を受けとる。ガキ、父親帰る。オレも呼ばれレジへ。もうひとり女性店員がいる。オレがハロッズ二階建バス型のいれものからラムネをむさぼり食ってるのを見てたのか「ラムネ好きなんですか?」と聞いてくる。しかし男性店員の薬の説明と同時に話しかけてきたのでオレ薬の説明聞きのがす。結果男性店員無視のかたちで金を払い店の外へ。元々気が弱い性格ゆえ、病名を聞いて病気が悪化、痛さ倍増するオレ。心底ヘコム。こういう日の太陽はつらいものだ。姉からもらった金2万円をより多く自分のものとするべく地下鉄で帰ろうと考えていたが、あまりの痛さで耐えられない。タクシーをつかまえヨロヨロと乗りこむ。目的地をつげると運転手が話しかけてきた。「お客さん大丈夫ですかあ?腰ですか?」なぜ腰と言われたのかは今だにわからない。「急性の中耳炎だそうです。」とオレ。運転手茨城弁風の話し方が、こういう病気の時には悪いが、不快に感じる。「ねてていいんですよお、つらかったらぁ」と運転手。(痛くてねれねえよ!)と心の中でさけびつつ「ああハイ。」とオレ。
 



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