祝百回記念ドキドキ特別編(MoMAにて) 第93回

(初出:第100号! 05.8.20)

Figlio di puttana! こんちくしょう!(直訳・娼婦の息子)と始まあり。
今年もあの博士からのクリスマスカードが届いた。文面はいつもと同じ。スメルジャコフ博士の人柄がわかる丁寧な文字。この文字を見ると若かりし頃の博士を思い出す。あのトラファルガー広場前の店はまだあるのだろうか?そう考えていると私はいてもたってもいられなくなった。あの国の空気が吸いたいと思った。そして年が明けた1月、私はかの地へおりたった。
アレクセイ・スメルジャコフ博士の研究室。あいかわらずキレイに整理されている。天井まで蔵書が高く積まれてはいるが角がピシッと整っている。挨拶もそこそこに博士は私に一枚の羊皮紙を差し出した。博士は私が求めていた物を探してくれていたようだ。丸められている紙を広げて私は声が出なかった。これは神からの贈り物だった。(いや正確には博士からのだが)これが宇宙でも奏でられたあの曲なのかと考えるとこの軽い紙もまるで100kgの石の塊みたいに思えておもわず手が肩の方から震えてくる。
「これは・・。」
「もう君の物だよ。私はこういう物はあまり好かんのだがね、君は好物だろ?」
「ありがとうございます!!では博士の好物でも食べに行きますか?」
そう言って私は指をこする仕草をした。博士はニコリと笑いコートを手にドアへと歩く。
そしてその日は昔話を朝まで..。

日本へ帰った私は荷物の整理もそこそこに博士からの贈り物の解読に取り掛った。「Marking Harlar not ring you king」作の「Say kindness hit two dark end no hat now.」(闇の終わりで2回親切を当てる今の帽子)の解読だ。
始めに原文を読んで欲しい。次に私が訳した日本語文を読んでみてくれ。解説しやすいように両文ともに番号を書いた。なお訳は私の解釈であり言語に精通する者には不満かもしれないがそこはご了承を。
では始めよう。
1.
Num bar "Wan" knee not round not cool tel more eat.
Motto motto talk bed two now on lead want.
(ベトナムバー「ワン」の膝は丸くなく寒くもなく電話でより多く食す。
標語標語と2人はベッドで話す。今求めるのは導きの上で。)

『ベトナムバー、ワン』とはホーチミン10区ホアビン劇場からの2月3日通りとグエン・ティ・フーン通りの交差点の近くのバーの事。この「膝」というのはコードネーム又は作戦名だと考えるのが妥当だろう。(標語)というのも同意。(ベッドで話す)というのは声を小さくヒソヒソと話す事。(導きの上で)というのは信念、イデオロギーなどの意。

2.
Hanna ear no miss say sat kiwi knee not round.
It long not hand now oh! mitt tel it tough.
(ハンナの耳は独身ではないと言う。土曜日のキウイの膝は丸くない。
今はそれは長い手じゃない。ミット(皮手袋)での電話は手ごわい。)

ここで急だが人名がでてくる。(ハンナの耳)が言うというのはどういう意味なのだろうか?私が考えるに原住民、部族の中には耳を切り取る習慣があったものと思われる。心半ばにして死をむかえる人間の強い心、気持ちが残された部意に言葉を発せさせたのだろう。(土曜日のキウイ)とは?飛べない鳥の土曜日とはティーンエイジャー達の事ではないだろうか?遊びたくても親が許してくれず学校では先生達の目が気になる年頃。この頃の子供達は骨などがまだ出来上がる途中なので(膝は丸くない)になるのだろう。続く後半部分も比喩とわかるだろう。(ミット)とは親などの監視。動きずらい、又は身動きがとりにくいという意。

3.
Hit so raisin ray corn not mean. What "R.K" done.
Do lemon mean not kill rader net.
(レーズン光線をぶつける。コーンは意味をなさない。どの程度R・Kは済んだか。
レモンの意味、レーダー網はダメにはしない。)

(レーズン〜)は反撃の意。(コーン〜)というのは何だろう?無駄という意味だろうから何らかの反撃の手段、方法が全くきかなかったので学習したのだろうと思われる。次の(R・K)とは人名だろうか?(K)はKingの意というのは作者の名前からもわかるのだが..。(R)の方は不明。(レモン〜)は若さの印。(レーダー〜)は友人関係の広さの意。

4.
Corn no not car day darling gay cheap bound none tail.
A raw sow cotton more see nine day.
(コーンではなく車の日でもないハデで安いダーリン。しっぽは弾まない。
生綿の種をまき、もっと9日間を見る。)

(コーン〜)は不思議である。(コーン)と(車の日)というのは同義語ではないのであるが(ダーリン)と(しっぽ)というのは重複意味なのである。特に(しっぽ)というのはペニスの事。(弾まない)というのは行動しないという意味なのである。よって成長の早い(生綿の種をまき〜)に続くのである。精を(力を)つけるのであろう。

5.
Buck heads know not car HongKong love sit gay knee.
Shan't moon neo hat tail.
(鹿の頭は車ではなく香港。座るゲイの膝が好き。
月は新しい帽子のシッポをしないだろう。)

(鹿の頭)とは戦士の士気を高める為の言葉でアルバニアやギリシャなどでよく使われる言い回しだ。(香港)というのは面積1075I(沖縄島とほぼ同じ)中国広東省南部に接し、香港島、九竜、新界の3地区からなる。97年7月1日をもって中国に返還。特別行政区なのである。(座る〜)というのは下がる、下から見るの意。よって(ゲイの膝)というのは領土の事と思われる。なので宣戦布告の意。(月)というのは神、又は絶対的指導者の事。すなわちこの場合は米国は手出しはしないぜという意。

6.
So ret now not knee bow cool love knee gain. What.
Do sit tel cow more cool rabble talk girl?
(そのとおり引き下がる今膝じゃなくカッコイイ矢。好きな膝を得る。何。
座る電話牛。もっと冷たいのはやじ馬話しの女の子?)

(そのとおり〜)売り言葉に買い言葉の様相を呈してきた。(カッコイイ矢)とはそのまま反撃の事。(好きな〜)はどちらが勝つのか!?とあおっている風である。(何)というのは誰、どちらがの意味だろう。後半部分は周囲の人々の反応の事と考える。概して女の子は話し好きが多いもの。現実主義者も多いので(冷たい)となる。

7.
Hit only heat only cheap gown no need. So no not car day.
It cheap bound knee not return girl?
(唯一当たり熱くぶつかる安いガウンは欲しくない。全く車の日ではない。
それは安く弾む。膝が戻らない女の子?)

前半部分はそのままの意味だが(全く〜)から意味が変わってくるので注意が必要だ。後半の(膝が〜)は6.の(やじ馬〜)と同じ女の子と考えがちだが(車の日)を(全く)と表わしている事から考えると別人と言えるだろう。(安く弾む)のが(膝〜女の子)であって6.の(電話牛)というのは弾まない。よって別人となるのである。

8.
So sabot cool rubber. Say kindness hit two dark end no hat now.
Hit only heat only cheap gown turn neo moan two.
(そのとおりサボ(木靴)は冷たいゴム。闇の終わりで2回親切を当てる今の帽子。
唯一当たり熱くぶつかる安いガウン、新しい呻きを2つ回す)

(サボ)とは木靴なので逆の(ゴム)という素材を対する事で言葉の美しさが増す。ここの歌詞が作者が一番気を使った場面と見てとれる。後半の最後部分の(新しい〜)とは一部のヴァイキングたちの儀式の事だろう。(呻き)とは赤子の産声の事。(2つ)というのは両家の意味なので、両家でラジカセ(Wデッキ)などで録音した産声を聴く事。現代ではラジカセの衰退によりヴァイキングたちもあまりこの儀式をやらなくなっているらしい。

9.
So no hat now. Oh! suck a sale coat "down Kenny". It's show "Ken" may knee nat liver eer.
(帽子がない今、オォ!安い上着を舐める弱いケニー、このショーのケンは5月の膝、天然鰻の肝臓)

(帽子〜)はここでは安定の事だろう。そして安定がないので(安い上着)で我慢する(ケニー)この(ケニー)とは下半身が無くスケボーで行動していて夢はプレジデントのあの(ケニー)の事ではない。誰なのか色々な文献を調べたのだがわからなかった。しかし考えられるのは作者のナニした人という可能性だ。そう考えるのがむしろ自然かもしれない。そうすると次の(ケン)もそうかと考えるのが普通だろう。最後の(天然鰻の肝臓)というのはそのままの意。精もつくので昔から食されてきた物である。よって作者の強さの秘密を垣間見る事が出来たのである。
全体的に見ると前半の繊細さと後半の荒々しさのバランスが作者らしいアシメントリックな感じがでていて素晴しい作品になっている。余談だが私の頭と宇宙でこれを演奏したのぐっつぁんの頭は激似。
(fin)



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