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日本におけるアニメ制作が100周年を迎え公共放送で記念企画が進行中。先日は投票によるアニソンベスト100が発表され、公式ページでは上位300曲までが公開されている。我らが4コマ作品はと言えば、ひと昔前ならベスト10入りも不思議では無かったであろう、かきふらい「けいおん!」(芳文社刊)が100位以下とは言え順当に各曲がランクイン。ところがその後も荒井チェリー『三者三葉』(きらら)、カヅホ『キルミーベイベー』(キャラット)、三上小又『ゆゆ式』(きらら)の各OP曲も入っていて驚いた。最近作が強い傾向にある結果と見えたがいずれも1クールで終了した、原作ファンとして悪く言えばおまけ的な作品。印象的なら蒼樹うめ『ひだまりスケッチ』(キャラット)各シリーズだがランク外。まどマギに持ってかれた?等々、個人的な云々はさて置いて。
いずれも芳文社「きらら」系列である。その他の4コマ作品は美水かがみ『らき・すた』(コンプ)OP曲のみ。今回の投票形式は一日に3作品までという制約のみであったから、熱心で行動的なファンがいる作品(曲)が上位に来る。アニメ(アニソン)と4コマは別物とは言え、原作たる4コマ作品はいずれも絶賛長期連載中である。つまり作品に情熱を傾ける若い読者が育っているという図式が成り立つのではなかろうか。名作アニメ(本編)ベスト50の中間発表でも4コマ作品として「けいおん!」が唯一のランクイン。本作の切り拓いたビジュアル系4コマのメディアミックスは想像以上の効果を生んでいたと言える。そしてその方向性は間違っていない。後は次に続くメガヒットの誕生が待たれる。
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UP-
グルメ漫画がすっかり定着し(脱線ながら先駆者たる「孤独のグルメ」作画の谷口ジロー氏の急逝に心から哀悼の意を表す)、4コマ誌でも続々とグルメ4コマが登場している。ブーム乗っかりの面目躍如、4コマはこうでなくちゃ。
ざっと眺めまわして見ると、ビジュアル系は相変わらずの微エロ(官能的食事描写)路線継続中。湖西晶『〆切ごはん』(きらら)など、下ネタが得手の作者が描けばなるほどハマるわけだが意外性という点では少々魅力に欠ける。
一般誌においてはグルメより食レポ、レシピ紹介がメインのより身近な、実用的な内容が増えていて、一つ「まんがタイムスペシャル」誌(芳文社)復調のカギになっているようだ。
一年ほど前、(行きつけの)コンビニでさっぱり見かけなくなり大丈夫?なんて記したが(第53回)、看板たる恋愛ものを推すより、ベテランのロングラン作品を見習ったら息を吹き返したように思う。胡桃ちの『ミッドナイトレストラン7to7』(スペシャル)は今月単行本10巻目。イケメン揃い、一流揃いのレストランは思い付くコンセプトが悉くヒットする理想の飲食店。単純に10年も前からグルメ4コマ、やってました。
そこへ現れた新星が梨尾『課長と私のおかず道』(スペシャル)。エリート然とした課長に気後れしていたダメOLが、ひょんな事から意外な趣味、飯の種を真剣に追求する姿を知ることになって..というオフィスラブ+グルメな作品。絵柄がBLあるいはレディース漫画っぽいんで普段ならスルーしがちなタイプなんですが、課長のテンションが気に入って初期から読んでいます。今月順調に単行本化。人気の証に双葉社でも連載がスタート。タイトルは..『かわいい先輩と残業めし』(タウン)。組み合わせをひっくり返しただけ?編集が要求したのか、この図式でしか描けないのか。答えはいずれ出て来よう。今はイケイケで進むべき。
瀬戸口みずきも出世作『ローカル女子の遠吠え』(スペシャル)で静岡のご当地グルメを度々紹介しているが、面白いと思ったのが作中取り入れられた、お局OLが鬱憤を晴らすのに食材を豪快に調理して愚痴をぶちまけるという描写。自虐ネタをグルメに昇華させる、この手法が受けたようで新連載は男を料理出来ない小料理屋の女将と料理が出来ないキャバ嬢のコンビがどちらも報われようともがく『きっと愛され女子になる!』(タイオリ)。ただ作者の過去作を読み進めていると、どうも当たり外れが極端なような..。ちょっと前にスタートした『めんつゆひとり飯』(ライフ)は企画色が強く、そうなると「めんつゆ」縛りで続けられるの?とやや懐疑的に眺めている。要領の良いズボラと要領が悪い賢妻が張り合う図式もやや弱いか。紹介されているレシピは大いに頷けるB級グルメなんだが。ブログでやったら?という内容が作品として成り立つのか、力量が問われる。