続・現在4コマ漫画家レビュー 第4回

(初出:第95号 05.3.20)

今月の「まんがタイムラブリー」誌(芳文社)を読んでいると、作者近況の柱コーナーで何人かが、倉田ジュリの病死についてお悔やみを述べていた(具体的には師走冬子とおーはしるい)。作者は「まんがタイムジャンボ」誌で「おサケの星座」という作品を不定期連載しており、直近では1月号に載っていたから、このような事態になるとは寝耳に水で、正直驚いた。
私はここ数年に渡って百数(十)人の4コマ漫画家を紹介しているが、作者はまだ挙げていない。それでも読んでいた一人には違いない訳で、非常に残念な形ではあるが今回、遅ればせながら紹介させて頂く。

倉田ジュリ
経歴等詳細不明。「おサケの星座」というタイトルは、梶原一騎原作の自伝的作品「男の星座」(原田久仁信・画)に拠るのだろうが、絵柄は対照的な柔らかいものである。話はいきなり逸れるが「テレビブロス」誌(東京ニュース通信社)にかつて浅草キッドが「お笑い版男の星座」を連載していた(タイトルはウロ覚えだが、「男の星座」が使われていたのは確かだったと記憶している)。で、内容は芸人(ターザン山本とか、違うか?)の武勇伝(?)であった。つまりその、このタイトルを匂わすからにはやはりどこか「梶原イズム」を継承している訳で、ようやく本題に戻るが本作も正しく破天荒な内容であった。主人公格の女性二人は無類の酒好き。知り合いにはシラフで狂暴、飲むと温厚な好青年に変わるというアル中の逆バージョン的な営業マンがいる(本人達も胃潰瘍は経験済みで、ほぼ同類)。行きつけの焼き鳥屋(屋台)の主は鶏好きが高じて雌鶏のメグミを熱愛しているが、とり肉は大好物という変人である。唯一堅気の女性をツッコミ役として、そんな酒びたりの彼女たちがひたすら飲みまくるだけの話は、24時間営業の居酒屋で耐久飲み会を開いたり、桜前線を追いかけての花見(酒)旅行、ついには1月中を新年会にしてしまうなど、酒好きには夢のような内容となっている。ひたすらに陽気にヘベレケに酔っ払うキャラクターは漫画ならではの異空間に安住していて、ドランカーとしての弊害はほとんど描かれていない。作者は病死ということなのだが、これが作品を地でいくお酒の飲みすぎが原因なのだとしたら、現実は作者の夢想を許してはくれなかったのだろうか..。最新話での最終コマ、「今年もよろしく〜」と乾杯するキャラクター達の意気軒昂な様が今は哀しく写る。まだまだ語るべき事はたくさんあったに違いない、志半ばで逝ってしまった作者を、作品を、(単なる感傷ではない形で)今後まとめていって欲しいものである。



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