他ジャンルでも活躍する作家
4コマとは別に、ストーリー漫画もこなすという漫画家さんを紹介しようと思ったのですが、都合上多方面になりました。最後に近づいて大分不具合が多くなってきております..。ただ、マルチな才能を発揮しているというのは共通しているところ。
桑田乃梨子(93)
少女漫画からの4コマ参入は昔からポピュラーで、メイン読者層を伺い知ることが出来る流れである。少女漫画家の作者は、元々男性にも受け入れ易い絵柄と、軽い作風で幅の広い支持を得ているので、ジャンルに縛られることはないが、それでも4コマ初作品である『だめっこどうぶつ』(まんがライフ)は慎重に動物もの、そして作者お得意のダメダメくんが主人公。とはいえすんなりレギュラー連載を定着させたところは実力と言えるだろう。
内田春菊(94)
作家、女優、ボーカル業とマルチに活躍する漫画家。さらに4児の母でもある。『私たちは繁殖している』(みこすり半劇場)は第一子妊娠から始まった半フィクション育児もの(シリーズ連載で現在第6期)。本作の主眼は「見本とは言えない我流っぷり」にあり、子供を見つめる視点は読者にとって常に新鮮に写る。ノンフィクションではない(勿論フィクションでもない)のがポイントで、上質の娯楽作品である。
こいずみまり(95)
萌え系エッチキャラの人気がある一方、一貫して救い難い恋愛を描いていて、実力もついてきた。三白眼のキャラクターが良く合う。エッセイ4コマ『ねこまんが』(まんがくらぶオリジナル)を読むと作者の自虐性が良く分かる。最近はストーリー漫画(短編)を女性誌中心に発表。4コマ作品としてはコメディタッチの『お姉さまとお呼びっ!!』(アクション)があるのだが、同誌は休刊?最近見かけない。代わり?に「まんがライフMOMO」誌で流浪の作品「家政婦エツ子」が連載に(最新情報)。
小本田絵舞(96)
成年漫画家としてのキャリアは10年以上で、無理やりな展開を描かない姿勢を貫いている。4コマでも『となりの美咲さん』(みこすり半劇場)、『地球防衛娘。』(みこすり半別館、終了)とエロ系はいずれも女性主導型。とはいえかなりの過激さなのだが下劣さはない。ただギャグとしては一般向けの作品の方が向きと見る。『マニアな彼女』(まんがタイムナチュラル)は植物を愛する野暮ったい少年と、彼を熱愛する美少女が主人公のラブギャグ作品。本作の未婚教師を主人公にした派生作品「恋の時間割り」(まんがタイムオリジナルなど)は最近のイチ押し。
寺島玲子(97)
デビューは80年の「ヤングマガジン」誌(増刊)で、同人から抜擢された一人。ルポものが得手で、今は東京の住宅事情を探る「リビング東京」(まんがライフオリジナル)を連載。4コマはファミリーものでロングラン作品が多かったが、現在は『くりこの日めくりカレンダー』(まんがライフ)の1本だけ。しかし本作は85年開始の超長期連載(当初の作品名は「くりこさんこんにちは」まんがくらぶ連載)。ほのぼのとした雰囲気ながら題材は最新のトレンドをふんだんに取り込んでおり、単なるホームコメディとは一線を画す奥の深い作品。
臼井儀人(98)
「クレヨンしんちゃん」(まんがタウン)でおなじみの作者は一発屋と思われるかも知れない(失礼)が、元々はいがらしみきおの影響を受けたと思われる、過激系ギャグ4コマの実力派である(その通常を良しとしない姿勢がスーパーキャラクターを生んだのだろう)。
近年は「しんちゃん」の派生作品が増えてショート作品にウェイトが置かれ、4コマ作品は徐々に整理されていった。唯一残っていた『スーパー主婦月美さん』(まんがライフ、終了)は100回を超えるロングラン作品であったが終了。しかし最近新作が登場し(「まんがライフ」9月号ゲスト)、今後も4コマ作品でも楽しませてくれるようだ。
ホイチョイ・プロダクションズ(99)
広告代理店発の金(ビジネス)と女(夜遊び)の定点観測レポート、『気まぐれコンセプト』(スピリッツ)は9月までで連載回数が960回を超える、同誌の最長連載作品である。単行本は初期の1巻のみ出ていて(絶版)、それを読むと当初は広告業界の内情を露にする「業界もの」であったことが分かる。しかしこの路線を続けていたらここまでのロングランとはならなかったであろう。現在はトレンドウォッチを主体にしていて、やや時流にそぐわないノリもあるように思うが常に20代前後の支持を集めることが出来ている。