ギャグ、コメディ(定番2)
前回に引き続き、笑いがメインの作品を多く発表する漫画家を挙げます。
(..この細分は連載当初に作ったリストを元にしているのですが、約1年経ったせいか最初からズレていたのか..今回特に表題に沿ったコメントがほとんどありません..)
あっきう(67)
好奇心旺盛な妹を主人公にしたチビまるこタイプの『どり〜んあっちゃん』(まんがくらぶ、まんがライフ)は、常識派の母、姉に対する非?常識派の父、あっちゃん(妹)の暴走ぶりがネタ。この主人公がそのまま社会人になり、その子供っぷりで社内のマスコット兼お荷物キャラとなっているのが『あっちゃんだもん』(まんがくらぶオリジナル、終了)。作者の幼児期が元になっているのだろうか、近作の「かっちゃんとアニキさん」(まんがタウンオリジナル、ショート作品)など、年上に(間違った)ものを教わる主人公というのが共通している。『ピンドン』(みこすり半劇場別館)はホノボノ動物もので、何故この成年向4コマ誌に載っているのか謎。
阿部川キネコ(68)
ゲーム系4コマに掲載あり。だからという訳ではないだろうが、出世作はオタクの内情暴露ネタ満載の『らっきょうの皮』(GUM)。男性が読みやすい少女漫画を描く桑田乃梨子のアシスタントをしている(た?)作者、オタク的な要素を悪趣味にならずパロディ化してうまく笑いを誘う。『WAKIWAKIタダシさん』(まんがくらぶ)は、整体師の旦那の整体マニアぶりを、『ビジュアル探偵明智くん!』(まんがタイムオリジナル)は犯罪者よりも異様な露出狂気味の探偵をメインにしたコメディ。少女趣味に寄らず描いていて読みやすい。
桜木さゆみ(69)
高校生で「みこすり半劇場」誌デビューしたのもすでに昔。当然?下ネタが得意で、『おまえにチェックイン!』(みこすり半劇場別館)はエログロなんでもありの生々カップル生態を描く。近作は自虐ネタが好評で、『桜木さゆみのなぐさめてあげるッ』(みこすり半劇場)、『桜木さゆみのしあわせ泥棒』(まんがタイムスペシャル)と本人と恋人(ロクデナシらしい)のキャラが立っている。
桜沢鈴(70)
新人らしく絵に不安定さは残るものの、公務員の地味な印象を逆手に取ったドハデ社員が主人公の『ふぁんきーサーバント』(まんがくらぶオリジナル)は新人らしい発想の勝利的ヒット作。今後の活躍が楽しみ。
すみれいこ(71)
ドが過ぎるスケベOL『受付のマリちゃん』(みこすり半劇場別館)、エロネタ満載の『裸足の女神たち』(みこすり半劇場)と、確かに作者はこのジャンルが得手である。しかし、『だってヤンママ』(まんがライフ、まんがライフオリジナル)はアットホームタイプのロングラン作品にしてヤンママ系唯一の生き残り(一時期流行ったが今はパッタリ)。ホモの同僚に言い寄られ、毎回ピンチの『マチャ君の仕事事情!』(まんがくらぶオリジナル、終了)も展開はギャグだがストーリー的にも意外なオチで締めくくり、骨太のコメディも描ける実力派。
たかの宗美(72)
無口で超人的なOL、『派遣戦士山田のり子』(まんがタウン、まんがタウンオリジナル)が出世作。その後も完璧すぎていつも暇な専業主婦『有閑みわさん』(まんがくらぶ)、小さいけどパワフルな営業マン『夏乃ごーいんぐ!』(まんがタイムスペシャル)とスーパーウーマン系?が続く。このタイプの主人公はサラリーマン世代に受けるのか、同じくキャリアOLが主人公の『主任がゆく!』(みこすり半劇場)や、医院が舞台の『白衣な彼女』(みこすり半劇場別館)など、成人向4コマ誌でも清涼剤的役割で「強い女性」が支持されている。
千葉なおこ(73)
「まんがタイムラブリー」誌(芳文社)のかつての看板作品、『OLパラダイス』は同誌に派生作品『人事部パラダイス』(ともにまんがタイムラブリー、終了)を掲載するなど大人気だったが、どちらも終了。引退かと思われたが「まんがタイムきららキャラット」誌(芳文社)創刊号に「一日一禅」という「ぶっせん」や「ファンシイダンス」を彷彿させる仏教系男子高生を主人公にした作品が載る。しかし2号には載らず。作風がデフォルメタッチからリアル系に変わっていたので、現在充電中だと思いたい(ストーリー系に転向とか?)。
辻灯子(74)
OLもの『べたーふれんず』(まんがタイムナチュラル)、ファミリーもの『ふたご最前線』(まんがタイムスペシャル)とラインナップはまあ平凡。『ただいま勤務中』(まんがタイムジャンボ、まんがタイムポップ)は女性警備員が主人公の少し凝った設定だが、内容で特筆するところはない。
ギャグのセンスは独特のものがある。普通ギャグといえば、日常から離れるほどに笑いを生む(つまりギャップで笑わせる)。しかし作者のオチは極めて日常に近い。キャラクターは一応それなりに濃いのだが、オーバーに分かりやすくといういわゆる万人向けに落とし込むような装飾が無いのだ。つまり日常で我々が会話をするような、性格なり背景なりを省略した形でオチをつける。従って私のように少々コミュニケーション不足気味の人間には、正直読み返さないと分からないような潜めた笑いがある。そこが奥深い魅力となっている。
浜口乃理子(75)
ギャンブル自虐ネタがメインであった頃は特に注目すべき所は無かったが、酒ネタを暴露しはじめた頃から注目度アップ。「酒とたたみいわしの日々」(講談社漫画文庫)で存分に(お馬鹿な)実力を見せつけた後、自虐系エッセイ風4コマ『元気のしるし』(まんがタイムスペシャル)に続く。現在は妙な形ながら既婚の作者の、独身時代のボヤきがOLの主人公に活かされまくっているだろう『三十路のうなじ』(まんがタイムラブリー)も同世代に共感を呼ぶ。
他に『ワイドすいません』(別冊週刊漫画タイムス)を連載。
ぽわそん・だぶりる(76)
妙なペンネーム(失礼)の作者は現役同人作家でもある。『でんせつのこだまさん』(まんがタイムナチュラル)で、その独特のノリを堪能出来るが現在の掲載誌では2ヵ月おき。「まんがタイムきららキャラット」誌(芳文社)創刊号で「はだかの王さま」という、ちょっと面白い設定の作品を発表したが2号目載らず。もっとメジャーで活躍して欲しい作家の一人。
松山花子(77)
あまりにも優しすぎる男というか、気を回しすぎるが故の空回りがネタの『やさしくしないで!』(まんがくらぶ)は、常識が覆えりつつある現代を表わすまさに時代が生んだ名作といえる。主人公が自覚せずに周りを振り回す展開ではなく、カウンセリングを受けたりするのも新しい形。そして直しようがないというオチで作品は4コマの王道パターンに。
美月李予(78)
『うちのアクマくん』(まんがタウン、終了)、『金の看板娘』(まんがタイムスペシャル、読切)など、ここ最近発表作が多くて過去の作品の記憶が..。唯一『ドラマな毎日』(まんがタイムナチュラル、終了)は、密かな社内恋愛を描いたオフィスラブもので、ラストは結婚→おめでたで大団円と記憶している。現在は「僕の町のすーぷ屋さん」を連載中。同じく食べ物屋が舞台の『あなたにランチ』(まんがタウンオリジナル、終了)もいつの間にか終了、早くも次作が載っている回転の良さ..。とにかく次々と新作を発表する中で、大ヒットになりそうなのが、態度は低いが背は高いOLが主人公、『貴美tallest』(まんがライフ、まんがライフオリジナル)。新創刊の「まんがライフmomo」誌(竹書房)で派生作品(高校生編)が始まるなど、これはロングランの予感。ところで作者、美月りよ名義では成人向けを描いており、『スイート麻衣ホーム』(M'sアクション)はすでにロングラン作品。
他に『ハドッボイルド園児』(みこすり半劇場別館)を連載。
南ひろこ(79)
アットホームから自虐系ギャグまで、幅広い作品を描く作者。母親が病弱な為、都会に一人預けられた少女の孤軍奮闘を描く『晴れの日ユキちゃん』(まんがタウン、終了)はきれいなラストを飾った感動作。ファミリーもの『なっちゃんはね!?』(まんがライフ、まんがライフオリジナル)、『愛犬うめのはな』(まんがホーム)は濃いキャラクターを上手く使いこなして上質なコメディタイプに。そしてちょっと懐かしめの高校純情物語『すずめはすずめ』(まんがタイム、まんがタイムファミリー)、対照的なギャグ一辺倒のOLもの『手前ミソジなOLたち』(まんがタイムオリジナル)と、その才能は多岐に渡り、今一番脂の乗った作家の一人(誉めすぎた)。
めで鯛(80)
先のヤンママ系もそうだが、4コマは割とブームに乗った特集号を多く作っている。古くはプロ野球(パロ野球)、最近では美少女(ビジュアル系)etc...(勿論自らがブームを作ることもあり、80年代末に始まった成年向4コマは軌道に乗って定番化したし、今は投稿系が定着しつつある)。逆に消えていったジャンルもあって、ペット系など一時期特集号が盛んに出されていたが、今はほとんど発刊されていない(但し4コマのジャンルとしては浸透した)。そんな中、ハムスターで一発当てたのが作者。『うりうりうり坊』(まんがタイム、まんがタイムオリジナル、まんがタイムファミリー)はそんな時代の名残。評価したいのはペットものではなく、デブな夫をネタにしていたのに、最近は妻も太りだしてきた夫婦もの『素顔のままで』(まんがタイムジャンボ)や、一応ペットもの(猫が主人公)ながら、この猫がしゃべり、飼い主(独身OL)にツッコミまくる『爆れつニャンコのたまたま通信!』(まんがタウン)などのコメディ。自虐系ではなく、あくまで第3者が批判する形式は最近むしろ珍しくなった。
山田まりお(81)
4コマというのはコマが小さい。だから勢い、デフォルメタイプのキャラクターがメインになってしまい、4コマ作家は普通サイズの人物を描く機会が少ない。そのせいかどうかは知らないが、4コマで唯一の大ゴマ、1P目のタイトルカットにリアルタッチのキャラクターを描くがデッサン狂いまくりという状況を良く見かける。
そんな中、作者の描くタイトルカットは本編と違うタッチなのに上手いなあと思っていたら、実は「花音」誌(Boy's系)ではストーリー作品(短編)を描いている。道理で..。
長い前フリになったが、4コマはギャグOLもの『スーパーOLバカ女の祭典』(まんがタイム、まんがタイムオリジナル、まんがタイムラブリー)を連載。濃いキャラクター連中のドタバタ騒ぎはまさに王道。