現在4コマ漫画家100人レビュー 第7回

(初出:第72号 03.4.20)

センス(新勢力3)
今回は視点を広げて、王道以外のジャンルや一般誌での4コマはどういうのがあるの?という辺りを紹介します。

アサダニッキ(27)
いわゆる「ヘタウマ」路線で久々にイイ感じの作品。『ウサ子モナムール』(まんがタイムポップ)は簡雑なタッチが良い効果をもたらしている。新社会人となって初めての一人暮らし。ところが隣の住人はウサギでしかも主人公に一目惚れ。その日から主人公は強引な口説き落としに大迷惑を被ることに..と、ストーリーを追えば最近のラブコメ。絵面だけなら可愛くて、結構いい身分じゃんとなるところだ。しかしこのウサギは..。

氏家ト全(28)
「艶笑もの」というのは形態が変わってきているジャンルで、よりストレートに、過激になっている。しかし本卦返りのような作品もあるにはあり、「親父ギャグ」が当世風に改められた結果、ローティーン向けの「下ネタギャグ」となった。『妹は思春期』(ヤングマガジン)はヒヒ親父役がかわいい女子高生(妹)、からかわれるうら若き乙女を2つ上の兄が演じ、かつての「イヤーン」という台詞に変わってお笑いばりのツッコミが入る。

大和田秀樹(29)
ガンダムが30周年ということで、原画担当の安彦良和が(ファースト)ガンダムを改めて漫画化している。「ガンダムエース」誌(角川書店)はそんなわけで丸ごとガンダムマガジン。で、作者は「少年エース」誌(同)で普通のSF漫画を描いているが、『ガンダムさん』(ガンダムエース)は完全パロディ4コマ。パロディの笑いの要素は「模倣」と「意外性」にあると見る。まず作品世界の雰囲気にいかに似る(似せる)か、そしてそれをいかにひっくり返す(返せる)かが受ける基準になる。子供のように駄々をこねるシャアに、君は笑いを堪えることが出来るか。

尾崎弘(30)
パチスロはかつての「大量リーチ目」に加え、液晶画面等との連動による「大量演出」をウリにしている。これを漫画で解説するのが昨今の主流であり、「熱い演出にシビレる」、つまりスロマニア向けの作品名はすなわち『新しい変態』(パニック7ゴールド)である(対象機種によって8コマバージョン(パニック7)、ショート作品(別冊パニック7)になり、掲載もマチマチ)。ストーリー性はほとんどなく、いずれにせよスロットプレイヤー(=スロッター)にしか理解不能なネタではあるが、共有性は高い。

美川べるの(31)
少女漫画のギャグ・4コマといえば、それなりに成立している1ジャンルではある。しかしその大部分は少女趣味全開であって理解するのは難しい(4コマ誌にゲストで登場することもあるがそこでは何故か普通のコメディを描か(さ?)れる)。
作者はファンタジー系漫画誌でも連載を持つように(「Strange+」(ゼロサム)ショート作品)、性別を問わず受け入れ易い絵を描く(直観的には阿部潤に近いか)。学園ギャグ『青春ばくはつ劇場』(別冊フレンド)、『戦場のハピィ・ライフ』(Juliet)ともにナンセンスギャグを主体にしているが、まだ普遍的な方である。

むっく(32)
コミック専門店「とらのあな」の広告漫画(「とらのあなの美虎ちゃん」)でおなじみ?の作家。萌え(を唱える方)の第一人者である。『眼鏡の季節』(まんがタイムきらら)はいわゆる「眼鏡っ娘」を対象にした「萌え漫画」で、眼鏡屋の主人公姉妹のペットもメガネグマ。先生もライバル?も眼鏡っ子。
ちなみに先号来出てきている「萌え」とは何だということになるが、古い言い回しだと「グッとくる」という意味合いになるか。元々は声優ファンが使っていたと聞く。



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