現在4コマ漫画家100人レビュー 第6回

(初出:第71号 03.3.24)

ビジュアル系?(新勢力2)
「まんがタイムきらら」誌(芳文社)はどうやら軌道に乗り、他社も追随を図りつつある(「萌え」が最近のキーワード)。という訳で今回はカラーも映える漫画家をご紹介。

海藍(22)
登場人物が判別しづらい、いわゆる「アニメ絵」ながら生粋の4コマ畑を歩んできた正統?派。つまり「まんがタイムジャンボ」誌(芳文社)での新人競作からスタートした作家である。『ゲンキのクスリあります』(まんがタイムポップ)、『ママはトラブル標準装備!』(まんがタイムジャンボ)、『そら色レシピ』(まんがタイムポップ)などは新人としての試作品。従って掲載誌は不定である(ご了承を)。
というわけで未だ新人クラスなのだが(『特ダネ三面キャプターズ』(まんがタイムラブリー)がようやく1周年)、同じくなかなか本連載とならなかった『トリコロ』が「ドキドキビジュアル誌」と銘打った「まんがタイムきらら」誌に表紙&巻頭カラー連載となったところで大ブレイク。つまりは昨今のブームの立役者なのだ。

門井亜矢(23)
ショートストーリーと4コマを組み合わせた青春群像もの『天然女子高物語』(まんがタイムきらら)は、新しいタイプの作品と期待していたら翌号オチ、その次の号では2ページだけ載って作品終了...。つまり現在作者の4コマ作品は無い。どうやら遅筆で干されたようだが、絵、ストーリー、ギャグといずれもかなりの才能を感じた。4コマ作家として覚えておいて損は無さそうである。

山野りんりん(24)
竹書房からエントリー。メルヘンチックなメニュー満載の喫茶店が舞台『はにーすぃーとティータイム』(まんがくらぶオリジナル)は毎号表紙を飾る巻頭カラー作品。3姉妹の色分けも美しい。絵が上手いとそれだけで強みになるが、作者は逆境もいく。『メデューサの朝』(まんがくらぶ)は超剛毛のOLが主人公。ヅラの彼氏とお互いに髪の秘密を隠し合う。『気ままなストロベリー』(まんがタイムラブリー)では美形の旦那と人並みの主婦を描き、慣れない?ブス顔に挑戦。

荻野眞弓(25)
人情ものからエッチ系まで幅広い作風を持つ(好例は『大工のいっちゃん』(みこすり半劇場別館)?)。また題材も一風変わっている。『ももかん』(みこすり半劇場)はフェロモン全開の住職、『ふうこ戦国絵巻』(ヤングコミック)はセクシーくの一が主人公。そうかと思うと女医さんが主人公で一般?作の『ドクタープリンセス』(まんがくらぶオリジナル)、新作の『桜吹雪!まつりちゃん』(まんがタウンオリジナル)も和菓子屋の跡継ぎが嫌で学校の先生になった下町っ娘が主人公。
このように設定も凝ったものが多く、『どんぶり銀行あつあつ支店』(まんがタイムスペシャル、まんがタイムナチュラル)の主人公は父親の借金を肩代りしている薄幸の銀行員で、煙草の煙を吸うと酒乱ならぬ煙乱となる。基本軸は(本作での主人公と顔見知りの消防団員の関係のような)甘いラブストーリーなのだが、差別化というか、努力の跡が見てとれ好感が持てる。

さんりようこ(26)
作者は純情ものが得手で(ex.「夢みるゆ〜み」)、エッチ系は単なるブレイク要因だと思っていたのだが、この間特集号で過去の作品を見たらそんなことは全然なく、望む所らしい。昔のマガジン作品のような少年向け成人?作品『えりこクン、お茶!!』(ヤングコミック)、同『イエローキャブ』(Namaikiッ!)。『ひとには、言えない。』(みこすり半劇場別館)は恋愛ドラマに近く、純情ものと根は一緒かもと思わせる、受け身がちな女性が主人公。『てゆうかLOVE』(まんがタウンオリジナル短期連載、終了)はその典型を描く。この辺りまでが作者の「ハード」路線(ほんとはエッチ系だけで「ソフト」「ハード」の両短編集があるのだが)。
ほのぼの路線は新作『うちのあひるちゃん』(まんがくらぶオリジナル)。こちらの路線が相次いで終了していたので、久々(うれしい)。ストーリー漫画を志したこともあるようで、全般的にドラマ作りが上手い。夢は音楽プロデューサー、の素人が奮戦中の『おどって歌音』(まんがタイムスペシャル)はお茶くみ時代から描かれているストーリー4コマ作品である。
最新情報として、作者来月から産休に入る模様(まんがタイムスペシャル5月号参照)。



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