今回は決して「ささいなこと」ではない。蔵書の一部を手放そうとしているのだから。その経過はおいおい語っていくことになるが、まずはそのきっかけから。あせらず話そう。
このシリーズの最初の話題が、本が増えすぎて読みたくとも読めない状況になったことだと言うことはご存じであろう。状況は改善されていなかった。折しも夏休みの終盤。季節は秋。本の整理に条件の揃った今を見過ごして家の本に明日はない。そう考えた私は慎重に事を進めようとまずは計画を練った。1.本を全て押入(箱)から出す。2.作者毎にまとめ、箱に戻す。3.ついでに未揃いの作品をチェックする。4.押入の上段を片付けてそこにも本を置く。と、これだけの作業を一週間で行うことに決める。
ところがペースが段々と落ちる。それもそのはず、本の山は動きを妨げるし、奥になると開いたのが
何年振りという代物だ。思わず読み返すとあっという間に陽が暮れる。それでも夏休み。一日中ヒマなのだから進みそうなものだが..本の汚れが結構ヒドいのだ。もともと古本経由が多いからとはいえ、やはり押入の中は保存に良くはなかった。風通ししておけばよかったと、後悔先に立たず。雑巾を取り出して一冊づつふいてやる。これ、夜にやると結構気がメイる作業。で、すでに7日目である。7割程度箱から出したが、予定の1週間では終わりそうもない。別に焦る必要もないのだが、改めて本の山を眺めて思うことしばし。「...ちょっと多すぎないか?」。
実家にいたころ、私は自分が買う本は「何度も読み返せる作品のみにしよう」と誓った(誰に?)。
理由あって、マニア(物持ちの意)にはなれないことを悟ったからだ。従ってここには10年に及ぶ(漫画)読書歴のほとんどがある。厳密には読んだ作品の3割にも満たないのだろうが、その中の「ベスト」が揃っているのである。しかし。ヒーロー不在の現代。私もまた、完全無欠の存在ではない。買った当時の気持ちは分かるが、時の流れは冷酷なのである。つまり..「今や置いてあるだけ」の本も、少なからず存在するのだ。手放すのはつらい。とはいえ、置いていても腐らせるだけ。しかも今後益々、本は増えていく。整理する必要があるようだ。
正直な話、この結論に達するまでかなりかかった(その辺の機微を細かく記すと短編小説になるからだいぶ端折った)。残された問題は「どれを手放すか?」の1点。これについて過去に苦い経験がある。高校生の時、一度だけ本を売ったことがある。遊ぶ金欲しさに。案の定、手放した作品は後に何年もかけて揃え直すことになった。今。手放すと二度と手に入らない(かもしれない)作品もある。しかし、稀少本の価値のみで残すつもりもない。う〜ん、悩む。
現在も本は全て手元にある。上の行から2日後である。とりあえず「残す」ことを前提に、手放す本を選んでいる最中である。残念ながら今日は9月17日。原稿の締め切りを過ぎている。この話の結果をお伝えすることは出来なかった。何を手放すつもりか?
それは秘密です。