本のささいなこと。 第2回

(初出:第15号 98.6.20)


というわけで今回は活字の話。漫画の場合「読みたい本はすべて買う」、が私の主義 。活字の場合は「特に」という人のもの以外は買って読むことはありません(それも 近ごろはないなあ)。とはいえ一応の「活字中毒者」。ロハならいくらでも、という わけで図書館は割とまめに通っています。いろいろなジャンルの本を興味本位(読ん でも、読まなくても良し)で手にすることが出来るから、手軽でいいですよね。漫画 に関する知識も、ここで結構仕入れているんです。

しかし図書館でマンガを借りるというのは、この年になって大変恥ずかしいものがあ りますね(実際は漫画評論の本なんですけど、表紙に漫画と書いてあるから同じこと )。とはいえ専門書店でもかなわないほどのストックを誇っているのだからしょうが ありません。書店では同じ本はそういつまでも置いておけませんよね。図書館では5 年前、10年前の本が変わらず置いてあるから重宝します。昔はそれ故に、古っ〜い 評論集(戦後漫画の云々)しかなくて、読んでもピンと来ないものばかりだったけど 。実は「つげ義春」とか、こういった本で知ったものです(中学生の頃でした・・) 。ある程度知識持ちになった今なら、結構興味深く読めたかも。残念ながら、さすが に今は閲覧室には置いてないのです。で、今はどんなものが置いてあるのか?お教え いたしましょう!

まずもはや定番となりつつあるのが「手塚治虫」関連ですね。「死後のタケノコ」の 如く、一気に増えました。つまりはそれほど、漫画史においても重要な位置にいた人 なのです。言い切ってしまえばこの人の研究で一生を送れると。私は一冊も読んだこ とがないけど(他意はありませんよ)。それから意外なところでは60年代。いわゆ る劇画ブームの頃の「追想記」です。これがなかなか多いし面白い。現代漫画の黎明 期と並んで、漫画の中心が熱かった時代の話ですから。ただ現実問題として、古本屋 に行けばわかると思いますが、このころの本は「高い」「古い」「なかなか無い」の 3拍子。その当時の作品を読む機会はなかなかありません。資料価値のある本という よりは、ノンフィクションとして楽しめるというのが現在の評価になると思います( 最近「復刻本」が当たっているから、これから「実用的」になってくるかも)。

次に挙げたいのが、いわゆる「当事者本」(?)です。つまり漫画家本人の書いた本 ですね。大別すると、「エッセイ」と「評論」になると思われます。まず「エッセイ 」は、当然といえば当然「絵と文」の形。作品のみならず、漫画家自身に興味を持て ますからいいと言えばいいんですけど。やっぱりある程度(その漫画家を)知ってい るほうがいいですね。捕完的に読むものだと考えています。(ちなみに文章だけのも のは普通の小説コーナーに置いてあります。私は東海林さだお以外面白いと思ったも のはありません)。「評論」のほうは、同業者の評というところがポイント。いって みれば「業界通」の書いたものですから、面白いのは当然といえます。同じく「業界 通」の書いた「謎本」(一時期はやりましたね)や「ハウツー本」(同人誌、コミケ のガイドブックみたいなもの)も結構置いてあります。しかし私はあまり。...賞 味期限が短いといいますか、先の「追想記」に比べると完成度が低い気がします。 本格的な「漫画評論」も増えました。いわゆる「漫画史研究」にとどまらず、「作品 評」、「表現研究」、「社会現象との関連」など、多岐にわたって様々な人が書いて います。漫画の歩んできた道のりを捉え、今後の漫画「文化」を発展させていく上で 有用なものだと私は考えています。よろしく。

この他にあなどれないのが「文庫本」コーナーの一角(芸術関連の場所に置いてあり ます)。上に挙げた種類の本に加えなんと「漫画文庫」も入りました。読みたい作品 があったら恥も何も考えず、とりあえず借りましょう!図書館にはこの他にも漫画家 (イラストレーター寄り)の画集があるし、言うことないですね。今すぐ図書館へ行 こう!

何の話をしているのやら...。
 



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