全ての人々に夢を。そう、目を開いたまま見る、初めての夢を..

(初出:第96号 05.4.20)


漫画を読んでいないという事はないのだが、ラインナップが代り映えしないので新たに書くべきネタがない。今時期で言うとアニメ化された「つばさクロニクル」(CLAMP)や「ハチミツとクローバー」(羽海野チカ)など少女漫画を取り上げるのが旬。今月買ったのは「豪放ライラック」2巻(桑田乃梨子)と「っポイ!」23巻(やまざき貴子)で少女漫画まではビンゴだったが残念、ズレている(発売日からも)。その辺を反省しつつ、今年早くも2回目になるがお茶を濁すことにする。

中島らもが亡くなったのは、昨年の7月15日の事だった。アトミック氏からのメールにて知る。俄に信じられなかった。高校時代になるが、ムツゴロウこと畑正憲が亡くなったというデマに引っかかった事がある。個人的に動物王国の、というより無頼派、麻雀小説の大家色川武大=阿佐田哲也の雀友という印象が強く、それで好感を抱いていたからショックだった。後、ウソと分かり別のショックを受ける。表舞台に出てこなくなった人の死亡説は、「社会的に抹殺された」という悪い意味での先入観もあり、聞けばなるほどと思わせる説得力がある(今で言ったら田代ま○し辺り、亡くなったと言えば結構、信じるだろう)。話が大幅に逸れてしまったが、そんな経験があるからこのメールも、始めは小粋な(悪趣味な)冗句だと思ったのだ。しかし詳報が入り、信じざるを得なくなった。ただ、感慨に耽ったのはこの時だけだ。著作を読み返す事もなく、年明けて先日、ムックで特集が組まれたのを読む(「文藝別冊 総特集 中島らも」河出書房新社)。これでようやく実感と共に回想に入る。
氏の著作に熱中したのは、高校〜大学の頃だった。酒、ドラッグ、オカルトetc...これらに精通する氏のエッセイは読んで面白く、また影響も受けた。キック・バック。詳細な意味は忘れてしまい、個人的にはタブーを犯して正気に戻るといった対処療法の意味に取っている。パチンコで負ける度、「書き物をするにはキック・バックがないとな..」と体よく利用させてもらっていた。文庫化された作品を粗方読み尽くし、他に何か書いていないかと探していた頃出されたのが小説「ガダラの豚」であった。呪術師対アル中教授の戦いは、氏の博覧強記で興趣にあふれ、荒俣宏や渋(本来は旧字)澤龍彦の書く小説と同様に夢中で読んだ。年譜によると、いしいしんじと共著の「その辺の問題」まではほぼ網羅している。「ダ・ヴィンチ」誌を読んでいたこともあって、「クマと闘ったヒト」(ミスター・ヒトと共著)も読んだと言える。ここまでで2000年の話である。その後は個人的な読書遍歴でまたエッセイメインに戻ったので、以降小説家として活動した氏の著作を拝読する機会に恵まれなかった(当時、図書館では文庫本のコーナーを中心に漁っていて、日本文学のコーナーに立ち入る事は稀であったが、寄ると必ず「し」行と「な」行だけは丹念に眺めるクセがあった。「し」では東海林さだお、「な」は言うまでもなく中島らもの新刊をチェックしていたのである。だが残念?な事に両氏の新刊は人気があり、目にする事がなかった)。完全に読まなくなったといって良いのは2003年、例の大麻所持で逮捕された時である。違法どうこうの感情ではなく、常習者の常として、これで現役復帰は無理だろうと思ったのだ。著作は私の中で消化され、骨肉となって細部は忘却の彼方へ。そして、その名を聞くのも久しい頃に降って湧いたような事故死の報である。
現在の読書傾向は時代もの一辺倒で、エッセイも小説も未読のものがあることが判明したが読む気は起こらない。氏は死生感をこう記している。
『僕という存在の喪失が、しばらくの間人々の間に影を落とし、やがてその影が薄れていって、僕はほんとうの「無」になる。そういうのがいい。』(『固いおとうふ』双葉文庫)
図らずも読書遍歴により、私は氏の(死の前に、だが)望まれる読者足りえていたのではないかと思った。一ファンとして合掌。
蛇足。
桜咲き誇る公園にて、独り花見を決め込む。深夜に入り酔客はいよいよ狂乱の様相を呈している。はっきり言ってタチがワルイ。その中で、「桜の下ではこうするのが礼儀かな..なんて」と、亡き倉田ジュリの作品(「おサケの星座」前号参照)にあやかりワンカップを飲むものの、喧騒の中の孤独で居心地がワルイ。つまみ無し、空腹状態でのアルコールで、すぐに胃が熱くなる。ふと、らも氏を想う。ポッ、と身内に明りが灯ったからだろうか。確かアル中体験を元にした小説「今夜、すべてのバーで」にそんなフレーズがあったのを思い出す(エッセイ集「愛をひっかけるための釘」でした)。トゲトゲしく聞こえていた嬌声が丸くなり、遠ざかる。ようやくマッタリと桜を眺めつつ、酒を飲む。でも1本で止めた。らもさん、私はどうやらここまでの付き合いのようである。

先号記事でも何気に触れたが、気付いたら「テレビBros.」誌に地方版が出ていた。安い上に(個人的に)豪華な連載陣、そしてマニアックな特集と、独り暮らしの頃は番組表として、雑誌として。さらには汚れたら捨てられるテーブル(!?)として大活躍だった本誌を再び読めるのはうれしい。新聞購読の身でテレビ表は特に必要でもないので、特集を吟味して買うつもりが今のところ定期購読に。やっぱ面白いデス。
W杯アジア最終予選中に、非国民の私は「にっぽん歌謡50年全史」を見る。演歌はともかくとして、フォークと歌謡曲は結構、好きかも。その後ダイジェストでオウンゴール勝ちを見て、こっちで正解と思ってしまった。そんな私でも、今年のプロ野球は携帯ネットを駆使してまで速報をチェック。楽天(地元)効果、恐るべし。その楽天、現在とんでもなく負けを重ねて最下位爆進中である。確かに面白くないが、反面ホッとしているところもある。今シーズンの最終成績を考えた場合、楽天が最下位で「なかった」としたら、パ・リーグ存続の危機であると私は思うのだ。楽天より下のチームは間違いなくファンから総スカンを食らうだろう。今年に限り、最下位であっていいのは楽天のみ、なのである。まだ5勝という体たらくとはいえ、開幕戦及び地元開幕戦を勝つというとんでもない大金星をすでに上げているから大満足..いえ、順位はいいんですけどね。せめてその、もう少し競った状況(ゲーム差)でいって欲しいものデス。
日本勢の脱落に、急速に興味を無くした今年のマスターズ。朝4時台からの中継では寝ずに見る訳にもいかず、といって朝方就寝が身についた身には本寝で1時間後起床はツラすぎる。結果、3日目までタイマーで無理やり目を明けるものの、マグノリアレーンをくぐることなく再び夢の中へ..。スポーツニュースにて経過を知り、先述の状態になっていたのである。しかし、3日目。タイガー・ウッズが実に久しぶりの猛チャージを見せ、俄然熱が入る。最終日は確実に録画にて保険を掛け、案の定5時前に再び眠りについた。その間見た限りでは、日没サスペンデッドで中断したものの、残りを消化した最終日午前中には7ホール連続バーディ(コースタイ記録)を含めトータル11アンダーでタイガー単独トップに。過去メジャーでは最終日トップ(タイ)からスタートで負け無しの男の活躍を期待した訳だが、長いスランプがあったせいか完全復活というには程遠く、為に熾烈なデッド・ヒートを展開し、最後はプレー・オフにて決着(タイガー優勝)というドラマティクな幕切れを迎えた。いい意味で、本当にいい意味で今回は裏切られた。まさに夢が、夢が目を明けた状態で見られたのである(中継時は夢の中だったが..)。
4月に入り、アニメの入れ替えがほぼ完了した。唯一見ていた「ジパング」が終了。これからという所での終わりに落胆しつつも、未完(継続中)の作品であるからイントロダクションが映像化されたという意味に取ると上出来と見る。OVA化されるんじゃないかな?私はそこまでは付き合わないケド。後は原作を読みます(多分)。
既存番組で興味を引くものが無かったので、新番組では「CCさくら」以来のCLAMP原作「つばクロ」に期待する。しかし初回は「めちゃイケスペシャル」と被り残念ながら見逃し(録り逃し)。気を取り直して2回目を見る。..異世界の大阪に飛んだ辺りで止めてしまう。個人的な好みの問題である。「だめっこどうぶつ」、「ケロロ軍曹」など見たい番組はあるものの見られない状態。「ハチクロ」も残念ながら放映無し。秋まで空白期が出来そうな気配..。

漫画を、読みます。



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