NHK教育、「おじゃる丸」は4月から新シリーズ(第4期?)が始まり、毎回とはいかないまでもマメに見ています。考えて見ると一昨年辺りからそうなので、何だか自分にとっては朝刊の「ののちゃん」?あるいは夕刊の「アサッテ君」?みたいなものです。そんな中から印象に残った一編を枕に。タイトルは「うすい売れっコになる」といった感じだったと思います。
この回の主人公、少女マンガ家を目指すうすいさちよの作品は、自身の「不幸が似合う体質」がそのままマンガに反映されていて、本人は正統派のつもりでも強烈に恐ろしい。そこに目をつけられて怪奇マンガ家としてデビューを薦められます。迷った彼女は「if...」の世界(おじゃる丸の烏帽子の中)へ。売れっコになり、舞い上がった生活を体験しますが結局、かつての自分(に似て非なる、少女マンガ家を目指す貧乏な「美少女」なのだが(しかも絵が上手い→大地丙太郎つながりで「フルバ」調←蛇足))を見て「たとえ売れなくとも、やっぱり私の目指すのは少女マンガなのよ〜!!」と叫びます。現世に戻ったうすいは、晴れ晴れとした顔でデビュー話を断わりに行く。おじゃる丸がポツリ、「あの絵では(少女マンガは)無理じゃがの...。」
私はこの、(ニュアンスは若干ズレるけど)分不相応な望みを持ち、相応の位置に満足を感じる生き方に共感を覚えました。「売れっコ怪奇マンガ家うすいよりも、少女マンガ家を目指すうすいさちよ28才独身たれ」といった感じ。
.....(枕としてまたも適当でなかったと感じる間)、でまあ、「おじゃる丸」。原案が犬丸りんという漫画家で、彼女の作品を読みたかったんですよ。ようやく見つけたのが、「なんでもツルカメ」(幻冬社文庫)という作品。これが実に面白い。りんという小学生(初期は入学前)の日常を描いたもので、(主人公の)台詞を最小限におさえ、思考を文章化することで..う〜ん、「ほのぼの」?違う「まったり」?いや、「あったか〜〜い」雰囲気に満ちた作品になっています。「大人の童話」というと、「本当は恐ろしいグリム童話」系を思い浮かべますが、私はこういうのを「大人の童話」と呼びたい。誤解を恐れずに言えば大層かわいらしゅい。オチがすごくジーンと、くるんです(注)。
(注)一話だけご紹介。公園に住んでいるノラ猫に、りんちゃんは時々お弁当の残りをあげます。ノラ猫もりんちゃんもカラアゲが好き。老衰で死んでしまい、見かけなくなるのですが、りんちゃんは死ぬという意味がまだ分からないので「それだったらカラアゲを置いておけばいいのです」といつもの場所にカラアゲを置いて帰ります。
翌朝−わたしは急いで公園へ行ってみました。
私とカラアゲと白ネコさん・・・
私とカラアゲと白ネコさん・・・
私とカラアゲと・・・
白ネコさんが・・・・
ここにいつもいたのです。
(第11話)