秋の夜長に長編などいかがでしょう?てゆーかこの暑さのどこが秋?といった今日この頃ですけど。季節感は先取りしておくのが基本。ついでにスポーツものなら読書とスポーツの秋を一挙に満喫出来るわけです(ちょっとインドアすぎ?)。てなことで長編、一度読み始めると最後まで一気に行きたくなる危険な作品をご紹介しましょう!
子どもの頃、初めて徹夜を経験したのは、考えてみたら少年マガジンコミックスの一気読みでした。堀内夏夫(堀内夏子)「フィフティーン・ラブ」(テニス)、ちばてつや「明日天気になあれ」(ゴルフ)、水島新司「極道くん」(野球)etc...私にとって「少年マガジン」は、ここが黄金期だったのかもしれません。従兄弟の家にあって、読むのは深夜しかなく。しかも次に読めるのはいつのことやら・・・ひたすら読みつぶしましたね。「こんなにいっぱい本があって、大学生っていいなあ」と思っていましたが、自分がそうなって数倍もの本に囲まれて..夢が叶った訳です(ハハ)。
テニスやゴルフはこれらの作品で知ったんですね。といってもルール的なものより楽しみ方を教わったようなものですけど。今では世界大会はどれも楽しく観ています。「明日天気になあれ」は、日本人の世界タイトル奪取が最後のヤマでした。現実は未だに達成されていません。したがって坂田信弘/かざま鋭二「風の大地」(ゴルフ)は現在連載中の作品ですが、同じヤマが訪れている訳です。坂田原作の作品は、好きなんですけど、運の多用が目につきます。例えば「でんでん虫」(かざま鋭二画)では、カジノの大車輪で「5」の目を5連続で的中させるとか、次のBJでは「3」の数字が6枚続けて出たりします(最新号)。この作品ではそれもアリなんですが、「風の大地」でも今回、ティーショットがベタピンなのに2連続「風」にはばまれ池ポチャなんていう展開をみせています。こうなるとインパクトはあるものの、象徴的すぎて逆効果なんですよね。...と、話しがズレました。
「極道くん」は水島漫画の裏?要素が入った作品と言えます。高取英と喜国雅彦が組んだ漫画評で、水島漫画は高野連への反発がよく現われているとありましたが、実際現在の規定(プレイ外の)を無視した設定が多く使われます。スポーツものとして野球を描いているのではなく、野球で遊んでいるといった感のある諸作品は少年漫画の中では異色のものと言えます。しっくりくるのは青年誌での作品ですね。そういえば「あぶさん」の胴上げシーンがついに描かれるのでしょうか?また脱線。異色といえばあだち充「タッチ」(野球)もそうです。あだち作品ということでラブコメの括りでみられがちですが、読めば違う印象を持つはず。描かれているのは野球ではなく恋愛なんですけど。もう少し突っ込んでみた展開の「H2」(野球)もクライマックスで、完結したら読み較べてみるのも一興。先ほどから異色だ異色だと紹介して、では王道は何かというとつまり「努力・友情・勝利」の描かれたものとなります。ちばあきお「キャプテン」(野球)から以来(適当)、長年ジャンプの柱として掲げられていたこのキーワードは今、全ての少年スポーツ漫画に用いられる黄金律となっています。一例を挙げれば、満田拓也「健太やります!」(バレーボール)。設定、展開、結論といずれもどこかで見たような..お決まりの型を踏んでいながら、最後まで読ませる力は充分にある(これを読んだのは最近のこと・筆者)作品。評価するとすれば、話をふくらませる要素が多分にあったにも関わらず、あくまでバレーボールをのみ描ききったという点。スポーツ漫画の魅力は、長ければ長いほど良いということにあります。長編はどうしても冗長になりがちで、私はあまり読まないんですけど。たまに、一気に読み切る快感は捨て難いですね。
週末の夜、たまには飲んだつもりでセット買いをして、秋の夜長をシラフで過ごすのはいかがでしょうか?