さすがについていくのが大変になってきている「少年漫画」。例えば「週刊少年〜」は4誌。およそ
80作品が毎週新しい話を送っている。全てに目を通すのは至難の技。それでも一つも見ないことはない。確実にお勧めしたい作品は増えているのである。「少年漫画」は大人が読んでつまらない訳じゃない。だって男はいつまでたっても「少年」なのだから。...今の発言は無し。
という訳で今回は、見栄をはってイマドキ(連載中)の作品のみ取り上げてみる。頑張る。
藤田和日郎「からくりサーカス」(注1)は、ストレートに当てられる作品である。少年の成長物語を主軸に展開される冒険活劇。喜怒哀楽を目一杯表現した主人公たちを見ていると元気が出る。ギリギリの逆境から這い上がる時、そこには必ずきっかけとなる「言葉」そして「笑顔」が用意されている。この辺の見せ方が特に上手い。
麻宮騎亜「怪傑蒸気探偵団」(注2)。探偵ものは流行りだが、本作品は「ぼくらの町を、守ってくれる」少年探偵の物語である。何だか懐かしいノリだが、それをひねらずに見せてくれているのがいい。怪人、怪盗など、いわゆる悪玉が多数登場。対する善玉側には警部も助手もいるぞ。
山口貴由「悟空道」(注3)は、その独特のノリが魅力。「西遊記」をベースに、近未来的な背景で展開するストーリー。「漢字」に「ルビ」がつくのが少年漫画の形式的特徴だが、それを逆手にとったかのようなセリフのすごさ(注4)が効果的。
この3作品に共通なのが、(暴力、セックス、ギャグの)過激な描写に片寄る事が容易な展開(注5)で進みつつも、きっちりとおさえが効いていることだ。それは子供向けを意識した自重ではなく、物語ることを重要視していることの現われであろう。
毎週立ち読みしなくとも、話題についていくためだけに読むこともない。じっくり読んでいただきたい。
(注1)少年サンデー(小学館)連載中。
(注2)ウルトラジャンプ(集英社)連載中。
(注3)少年チャンピオン(秋田書店)連載中。
(注4)「本気」と書いて「マジ」どころの話ではない。
(注5)時として爆発的な人気を呼ぶことが出来るが、物語としては破綻する型。