タカハシの目 第4回
(初出:第10号 97.10.13)
「COMIC BOX」誌(ふゅーじゅんぷろだくと。以下「C・B」誌)’97年10月号が先頃発売された。と、これだけだと「だから、どうしたの?」という話になるから、まずは当誌の概要を説明しよう。
「C・B」誌とは、漫画を中心とした情報誌。そもそもの母体は「ぱふ
」誌。
’81年に発行元の清彗社が金銭トラブルを起こし、それを機に当時の編集スタッフの大半が離脱。彼らの手によって創刊されたのが、当誌の前身「FUSION PRODUCT」誌(’81年7月創刊)。初め発行をラポート社に頼んでいたが、後独立。編集、発行ともふゅーじゅんぷろだくと社名義となり、月刊で発行されていた。尚誌名は’82年9月号より現在のものとなっている。(文責・高橋)
ちなみに私は’89年3.4月号より愛読しており、B・Nに関しても現在では8割方所有しております。従って上の説明に間違いはないと思いますが、、、。
えー、それはさておき。今回の話題はこの「漫画情報誌」について。この分野は上でいった「ぱふ」誌が源流となっており、現在でも極めて小規模なマスであります。もちろん、「漫画情報」を扱うものは他にもあり、各種アニメ誌等が挙げられますが、それらは補完的なものにすぎません。いわゆる「専門誌」ということでは、「ぱふ」誌と「C・B」誌の二誌が主なものということになります。「ぱふ」誌は、上記にある’80年代のトラブルを乗り越え、ここ10年来定期発行を実現、継続させています(発行元は現在雑草社)。対して『C・B』誌は、、。冒頭にて「’97年10
月号」とわざわざ記したのには訳があって、その前に発行されたのが、「’96年12月号」。実は’92年〜’93年ごろから発刊ペースが目に見えて落ちていき、毎年1〜2冊程度しか出ない状況がずぅ〜っと続いているのです。
旬の情報、また時々の人気作、話題作をとりあげることが「情報誌」の売れる基本でありますから、現在の「C・B」誌は悪循環しており、「情報誌」としては成り立っていないと言えるでしょう。しかし、私は現在の当誌の刊行情況に、秘かな期待をしているのです。
「情報誌」としての正しい姿勢は、「対象年齢」を一定にすることだと思います。つまり、読者の「入れ替え」をきちんと行うこと。そうすれば新規の読者が常に獲得できます。しかし、既存の
読者の中には、そのうち物足りなくなっていく人も出てきますよね。即時の情報に興味のなくなった「漫画好き」は、では「情報誌」を離れ、何を手にすればよいのか。
ま、つまり私のことなんですけど。「情報誌」が必要なくなったとはいえ、個人で読むには限界があります。「広く、そして(ある程度)深く見渡せるモノ」が欲しいのです。具体的に言えば、年1回でいいから「漫画界を振り返ることの出来る」専門誌を。「情報誌」というより、「批評誌」に近いでしょうか。そんな存在を、望んでいるのです。
で、現在の「C・B」誌が私の理想にかなり近づいている気がします。確かな目をもつ評人が(編集スタッフも含めて)揃っており、また特集も(漫画と社会問題の関連など)近年興味深い話題を提供してくれています。読者に「読ませる」、”プロ”を感じさせる誌面。代表才谷遼氏の編集姿勢は、(売れ行きは芳しくない現状ですが)高く評価できると思います。現在の「C・B」誌が「情報誌」として成り立っていないと先程酷評しましたが、内容に関してはむしろ充実の一途をたどっている、という評価を付け加えておきます。従って現在の不振は不思議でなりません。
「C・B」誌の「情報誌」からの転身は、私の勝手な希望(需要)でありまして、一番に願うことはやはり当誌の存続であります。
皆さん、書店で見かけた際は是非一度手にとってみて下さいね。
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