TOPICS 第22回

(初出:第25号 99.4.20)

国際的視野で眺めるMANGA
「日本漫画が世界ですごい!」(たちばな出版 98.5)
いわゆるジャパニメーション(=アニメ)を中心とする最近の日本文化の海外流出の状況を、現地人の布教者(=コアなファン)、仕掛け人、また日本の有識者のルポ、筆記インタビュー、概論でまとめた興味深い一冊。「ドラえもんが海外でも大人気!」なんていう表層的かつお気楽なソースに比べると100倍的確に現状把握が出来ることは必至。杉並の聞いたことのない出版社から出されたこの冊子、地域(=地元)刊行物ということで近くの図書館にはすでに入っていて、私はロハで読めましたけど。本当は本屋でチェックして、マメに買って読んでおくべきなんですよね..(1200円だからハズレだと..と思うとなかなか手が出せないんデス)。ともかくこれは「買い」ということで。
「Le OTAKU フランスおたく事情」清谷 信一(KKベストセラーズ 98.8)
輸入代行業者としてヨーロッパを定期的に観察してきた著者。上記と同様、漫画の海外流出の現状を伝える一冊。日本のアニメがヨーロッパで商業的に成功したことが現在のジャパニメブームのきっかけであり、日本での発展とは全く違う展開をみせていることは事実。これを改めて気付かせてくれる内容です。そこに歪みや誤認が存していることも教えてくれます。ただ、著者が卸し手であったということもあって商業的な示唆に富んだ記述が多く、対ヨーロッパのビジネス書?といった側面がみられます。それが有益であるかどうかは読者次第。

スコラ社倒産・・・「コミックバーズ」も廃刊に
突然の話でびっくりしましたね。前身誌「コミックバーガー」の頃から眺めていたのですが、自由に描ける場として色々な方が楽しんでいた雑誌のように思います。途中から単行本の表紙が赤い色で統一されていて、本屋で眺めていてもそこだけ目立っていたものです。現在続いていた作品は、一体どうなるんでしょうかね・・?

「COMIC P!」から1年
マガジンハウスが今度は「COMIC an.an」を刊行。内容的には前回が男性向き、今回は女性向きということになりそうだが、続いた作品もあり、執筆陣もほぼ変わらず。読み切りだからこそ味わえる奥の深い後味が楽しめるが、あまりに陳腐なものもあるにはあり..年刊誌スタイルという新鮮さや独自色が活かせているかどうかには疑問符がつく。

悔やまれる一人
今年の小学館漫画賞受賞作、「味いちもんめ」の原作者、あべ善太さんが先月亡くなられた。同作品は未完のまま283話で凍結(「BCスペリオール」誌(小学館)第9号より)。
ご承知の通り、割合古くから漫画は作・画を別々の人が担当する分業の型を持っている。作品にクレジットされないまでも、ブレーンとして多分に関わっている人も多い。「原作者」として名を挙げられた人はその最たる(あるいは一握りの)人々である。何が言いたいかといえば、画風に魅かれてというよりも、話が面白いから好きな作品というものも当然、あるだろうし、それがもし原作有り、であるならば、評価は勿論、原作者にあって然るべきであろうということだ。ともかく御人は第一人者としてヒット作を数多く手がけてきたし、またこれから益々期待の出来る存在であった(漫画界全体の片寄ったバランスは別にして、の話)。享年51歳。早すぎる別れとなった...。

個人的情報数篇
ねこぢるどんぶり「ラクダス4月号」(ローソンの情報誌)より連載開始
どうしようもなく不謹慎な感想ですけど..ねこぢるの残した遺産というのが、このねこぢるというキャラクターだったのではないかという気がします。
大山玲を久々に見た
「YMアッパーズ」(講談社)7号にGRAPHIC WORKSとして連画が。物語が読みたいんですけど...。世界観には定評がありますね、やはり。あくまで噂の範疇なんですけど..「THE FISHBONE」が単行本で出ているという..かなりレアものらしい..どこにあるんだ?
西村しのぶ情報
「Cutie Comic」誌には「下山手ドレス」が相変わらず載っております。「Feel Young」誌(祥伝社)今月号もやはり転載。今回は表紙に但し書きがついており、次号は何と新作と告知が。グッチの話って、最新作でしたっけ?「月刊ニュータイプ」誌(角川書店)には「下山手ドレス」、作者病床の為休みの文字が...。どうなる今後!?
 


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