TOPICS 第11回

(初出:第12号 98.2.6)

COMIC CUE Vol.4 でる

江口寿史責任編集のクレジットは消えたが、執筆陣は例年通りコイイものとなった。今回のテーマはコラボレーション(合作)。巻末(裏表紙)のコンテンツを読む限りすべてがオオっ!と声にでてしまう組み合わせ。ただし原作パートと作画パートに分けた合作が多い。この内容をこの人が!という楽しみ方は、相応の知識が必要となろう。いまごろ気付いたのだが、本誌は既存の漫画誌と明らかに違う形態をしている。それが商業的に成立した初めての雑誌として記憶してよかろう。今後は年二回刊行とのこと(vol.5は`98.10月刊行予定)。vol.6では手塚治虫をヤルそうで、そういえば近ごろの田中圭一は、手塚治虫をうまく意識しているなあと思い出しました(スピリッツ増刊にて)。復帰を望む。

漫画情報誌相次ぐ創刊

'97年は新しい漫画専門の情報誌が2つでました。10月に「COMIC GON!」(ミリオン出版 季刊)、11月に「Comnavi」(マイレッスン増刊 ゼンケン 月刊)が創刊です。「GON」のほうは80年代前半の漫画作品に改めて注目しているところが面白い(個人的には巻末3企画「望月三起也インタビュー」「美少女エッチ漫画の基礎知識」「帰ってきたダンドリ君'97」を評価したい)。しかし現在の漫画評では少々片寄った見方もみられ、その点に関しては新解釈という印象はもてない。「navi」のほうはコミックレビュー、コミックリストなどデータ重視の内容。10年先に重宝しそう。古河益三が監修しているので古書の類のデータも充実してくればなおよし。ただし新刊情報はつよいが幅ひろいが故のアササが気になる。両誌とも執筆陣が多く、匿名性が強いので単なる個人の好みに走らないようお願いしたい。ともかくこのテの雑誌が増えるのは喜ばしいので、何とかつづいてほしい。(と、書いたのは「GON!」第2号が12月予定でまだ出てないから)

今月の一冊   江口寿史「ケンとエリカ」(マガジンハウス)

ちょっと古い(先々月?)かもしれませんが、最近買った新刊はこれくらいなので。「ビックコミックスピリッツ」誌に載った「BOXERケン」、「漫画アクション」誌の「エリカの星」。この2作品が単行本にまとまったのも驚きなら、あわせて1冊と言うのも驚き。本当に、描いてないんだなぁ。そんでもって「エリカの星」はもうつづけるつもりはないのか...。あとがきもちょっと寂しい内容。さて肝心の中身の出来はというと、これはいいと思いますよ。キャラクター良し、ギャグの間も良し。何より表情がいい。安定してますね。思うに作者はここからさらに進歩することに踏み出せなくてなやんでいるのではないかと。江口寿史復活といわれる時、我々は全く新しいスタイルの漫画を目にすることができるのかもしれません。



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