TOPICS 第12回

(初出:第13号 98.4.6)

青林工芸舎ついに始動

「ガロ」誌(青林堂)が復刊し、そして先月今度はこちらの定期刊行物が発刊されました。誌名は「マンガの鬼AX(アックス)」(現在VOl.1発売中)。今後は隔月刊(偶数月)で刊行される予定。連載作品の一部には「ガロ」誌(休刊前)に載っていたもののつづきもあり、花輪和一の久々の新作もありとボリュームのある内容。ただ、どうでしょう?私には単純に「ガロ」誌が2つに増えただけというように見えます。休刊騒動の理由はここにはないようです。両誌ともこれから独自色が出てくるのでしょうか。いずれにせよ両誌に大越孝太郎が作品を載せている(く)ので大満足ですけど。
 
 

買って損無し?

かねてから指摘している通り、年を経るほどに「漫画」から離れていってしまう最大の要因は、市場の拡大化にあると思われます。ナビの役目を果たす「情報誌」も揃ってきていますが、どうしても「今」を伝えることが最優先となるため、個人の好みは反映されにくいのです。このようなご時勢の昨今、自らの読書域を広げるのに最も有効な手段は「関連買い」であると私は思っております。つまり自分が好きな作家(一人でよい)を読みつくし、かつそこに接点のある作家、作品を読み進めていく方法です。今でも漫画を割と良く読んでいる人でも、いわゆる「単行本買い」で読んでいたり、また十数年と同じ雑誌だけを読んでいる場合(状態によりますが)、現在、漫画を読む上でその環境は閉鎖の極みにあります。そこから脱し、よりよい読書環境を得るためにも上記の方法が有効と思われます。ところでこの方法は、個人でゆっくりと開拓していけばよいのですが。外からの情報を併用するやり方が、刺激があってよろしいかと。思いがけない幸運な出会いが期待できるからです(といって信頼を置きすぎても面白くありません。最終判断はやはり自分の好みによるべきでしょう)。この「外からの情報」として今一番推したいのが、先ごろ出た「1億人の漫画連鎖」(メディアファクトリー)です。「ダ・ヴィンチ」誌(リクルート)の編集部がまとめたこの本は、前半は「コミックダ・ヴィンチ」の再録を中心に、後半をそのものずばりコミックリンクデータに当てています。紹介されている作品数は約1000本。各作品にちょっとした解説がついており、執筆陣も豊富。
 
 

今月の一冊 古屋 兎丸 「ショート カッツVol.1」(小学館)

今回も少々古めで申しわけありません。しかし、売れてます。およそギャグ漫画らしからぬ画風(アートっていうんですか?)と構成(ページ9コマで1ネタが基本型)。そして素材が女子校生とくれば、注目しないわけにはいきません。作者は現役の美術教諭。緻密な書き込み(背景)も堪能しよう。
 
 

個人的情報数篇

西村 しのぶ「ライン」連載
昨年9月に「Kiss」誌(講談社)に読み切りで載った作品「ライン」が好評(予定通り?)につきめでたくシリーズ連載となりました。その代わり残念な情報が2つ。「一緒に遭難したい人」を載せていた「YOUNG BERRY」誌(主婦と生活社)が突然の休刊。そして「RUSH」を載せていた「アクション2」誌(双葉社)もどうやら休刊の模様(未確認)。寡作ぶりは変わりそうになし。「RUSH」は3月28日に単行本の第一巻が刊行。1話〜4話までを収録。未完の作品が増える増える。「プータオ 誌6月号(4月27日頃発売)」(白泉社)にコラムが載る予定(最新情報)。神出鬼没。

小林 じんこ「おサルでワン!」単行本でる
4月10日発売です。ついでに4月1日に創刊される「ヤングマガジン アッパーズ」(講談社)に作品が載ります。
 



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