TOPICS 第9回

(初出:第10号 97.10.13)

「有害コミック」の問題は、いつになったらスッキリと解決されるのだろう。

江川達也の作品「GOLDEN BOY」(注1)が、「SUPER JUMP」誌(集英社)第20号にて前々回から作者自身が述べていた通り「打ち切り」の形で終了した。最終話では後半7ページに渡り不本意な終り方への抗議ととれる内容を展開。読者に強制的な終了であることをアピールした。当号の「作者の言葉」欄では当誌からの撤退を明言 (注2) 。以上のことから、不人気によるものではないことは確かと言えるだろう。
「内容が過激である」というクレームがついての処置であれば、数年前の「有害コミック規制」問題を思い起こさせる、何とも複雑な出来事である。1つだけ言えるとすれば、作者に何の説明(≒結論)も出させぬまま、作品を終了させた出版社(今回は集英社)の態度が残念であるということ(注3) 。数年前、いや数十年前から全く変わらぬ解決法で、はたしていいのだろうか。

今月の一冊

 「Spirit of Wonder」鶴田 謙二 講談社

 もう3ヵ月も書いてますね。売れ方がそんなにすごかったのか、重版も買うのに結構苦労しました。年明けにはオールカラーのイラスト集が出るとか。調子いいですね。
さて、本題。本巻は‘86年〜‘95年に発表された作品をまとめたもの。一応「舞子」「ウインディ」「チャイナ」それぞれの人物を主人公とする作品はシリーズものとなっておりますが、いずれも完結しており、短編集といっていいと思います。全てSF作品。私は全く詳しくないので、その方面からの評価はできません。本巻に共通して「いいなあ」と思えるのは、老人達の陽気(パワフル)さと、彼らの追い求める「夢」。最近気付いたのですが、今自分が想い描く「夢」は、そのほとんどが実現可能なのです。科学の進歩に驚くと同時に、「ロマン」はどこに行ったんだ、と少々暗い気持ちになってしまいました。ここに出てくる「夢」の数々は、幸いなことに当分は実現不可能のようです。
未だ「空想」の余地はあるんだなぁとうれしく思いました。
個人的には「チャイナ」さんシリーズが一番好きで、登場人物それぞれの「物分かりの悪さ」が引き起こす騒動が、とても「わくわくする」のです。みんな元気でよろしあるね。



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