TOPICS 第7回

(初出:第8号 97.8.22)

題名はちょっとね、、、

マンガ家とマンガ家との対談集、「まんが家のひみつ」とり・みき 徳間書店。ホスト役のとり・みきはとても顔が広く、聰明でこのような企画にうってつけの人。従って各漫画家達との「漫画家論」は、作り手側の立場からの話ではあるけれども充分に楽しめる。ところでこれらの対談は、実際は2〜3年前に行われたもの。集録が遅れた(97年5月31日初版)のは怠惰と編者も認めている難点ではあるが、逆に当時語っていた内容が、現在の各人の作品に反映されている訳で、 また興味深い。しかし、同業者同士故か何なか突っ込めない部分もあるのだろう。個人的にはもうちょっと、、、という段もあった。(いじわるな見方になるかも知れないが、青木光恵に関しては西原理恵子の「恨ミシュラン」、江口寿史に関しては、自身の責任編集となる 「COMIC CUE」の「編集日記」と合わせて読むのがいい)各段末の単行本リストは、古本屋巡りの多い私にとって涙ものの付録。資料的価値も充分だ。でもって何とこの本、図書館に置いてあるのだ。読んでみて下さい。

個人的情報二篇。

今月の一冊

「誘惑」二宮ひかる 白泉社 ジェッツコミックス

先月発売の「ふたりで朝まで」(同社刊)を紹介するつもりだったが、現在 どこの書店にも見あたらず、その前の単行本を紹介する。「ヤングアニマル」(白泉社)誌にて読み切り作品を数年来発表しており、これは収録2冊目となる。SEXを中心に置いた恋愛模様は、しかし行為とは反対に何故か切ない。絵的にも状況にも「ソソられる」ものはあるのだが、それ以上に 何か胸に迫るもの(=静かな感動)がある。この辺りどう評価するか、自分の中で未だ迷いがあって書きづらいのだが、青年マンガにおける「恋愛」物とは、このような(SEX描写有りの)形がベストなのではないか、と私は思っている。 「有害」では、もちろんない。



「過去の原稿が読みたい」ページへ戻る

 第8回を読む