「あの店でーす。」
タゴサクはまずマッサージの店を紹介してくれたのだが、
「おいおい、信号むちゃくちゃ無視かよっ!」
片側が何車線だろうと、ずいずいと渡ってしまうタゴサク。おれらも驚き半分喜びながら後を追っかける。タイの交通状況はいつでも驚かされるのだ。
「すっげー楽しみ〜」
「あ、でもおれ腰が悪いからパスね」
どうやらゆっこはマッサージパスらしい。他の5人が着替えて寝そべってるところを見物である。マッサージ師さんは全員女性(デレのが一番若い)でまず足を洗ってくれる。かなり気持ちイイのであるが‥。
「うぃひゃふっふ、ぐぅ〜、だめー」
と、くすぐったがっているドリちゃんみたいなのもいる。足の裏をブラシで擦られるからね。マッサージは足から始まり、全身くまなく2時間じっくりと揉まれる。おお、極楽じゃ。値段もピンキリで安いのはやはり下手らしい。ゆっこなんてジャイをマッサージしてるフリの写真とかとってるし、結構リラックスの雰囲気である。ゆっこはその後一人でデパート巡りに行くのだが、デパートも安い。露店でびっくりしていたのは間違いだった。値切りの心配もいらないのでデパートの線もアリだが、ま、雰囲気は日本と同じといってもいい。さすがにデパートまではアクティブだったら困るらしいな。ゆっこと合流後、女子大生チームをと一緒にトゥクトゥクでスタジアムへ行くことになった。
トゥクトゥクってのは三輪バイクの荷台をベンチにして、屋根をつけた簡単タクシーである。2気筒っぽい。ちょうど、9人で、トゥクトゥクは3人乗りだから一番安全な真ん中に女の子を乗せいざ発進!!
「ゴーゴー!!」
「スピードアップ!」
「うひぁ〜、おもしれー」
トゥクトゥク最高!である。運転はうまいし、スピードもでる。かなり面白い。これは香港映画か!?である。捕まっていないと落とされそうだ。ちなみに夜中のトゥクトゥクはもっと荒かった。スタジアムではどうやらタゴサクはVIP席を取ってくれたらしく、悠々観戦。ムエタイの始めのお祈りは知っていたけど直に見ると、なんかかっこいいとかわいいの中間くらいの風景だった。バックミュージックもかなりイケている。ぶちは以後この音楽をCD屋などで探しまくることになる。
「はじまったぞ!」
すごい熱気だ。いや、勿論リング上もだが、観客が狂ったように叫んでいる。
「おお、すっげー雰囲気だ」
「ぜったい一人で上の階にはいけねーって」
実際、上の階では違法賭博が行われていて、公共のアンダーグラウンド(←?)である。リングでラッシュが起こると観客ともにヒートアップするムエタイ音楽。
「さすが格闘の国だぁ。」
この台詞は良く分からないが、本当にタイのストリートではムエタイの構えで喧嘩とかしているらしい。ムエタイは想像以上に身近かかもしれない。
「おお、すっげー、二段蹴り!!」
「うわ、あごに入ってるぞ」
パッポンズもかわいく身内で賭けを始める。ガラなどは少林寺拳法部出身であるので説得力のある解説なんかしてるし。『‥こいつさっきまでムエタイ大したことねーっていってたのに』と思ったのはぶちだけではないらしい。まぁ、つまり間近かで見るムエタイは予想以上のムエタイだったというのが全員の感想であった。残念なのがタイスキの予約時間の関係でファイナルマッチ(王者戦ね。)を見逃してしまったのだ。ああ、ムエタイ!
スタジアムを出ると、緊張の糸が途切れ自らの空腹に気付くメンバー達。次はタイスキである。タイスキというのは、タイしゃぶ、とも呼ばれていてしゃぶしゃぶ鍋にごちゃごちゃといろいろなモノを詰め込んでぐつぐつと煮る料理である。最後におじやを食うのだが、とにかく鍋の方はムチャ辛くてもすっげ旨い。おじやもかなり旨い。卵醤油味。白状すると、タイ料理で旨いと思ったものはかなり少ない。はっきりいって、みんなすっぱくって食えん。タイスキはかなり旨いが。
気付くとドリちゃんとゆっこが例の女子大生の机に遊びに行っている。すかさず後を追うぶち。『酔っ払いを止めなければっ』なんて心は絶対にない。ぶちも参戦する。無視するジャイとデレとガラであった。さて、腹に収まるものも収まり、次に行くのは再びパッポン!!今回は女の子3人を含め新生パッポンズである。二日目の交渉はかなり慣れたものでスタート値(お互いの言い値)から最終値を予測できるくらいになっていた。それに、交渉する相手がみんなひょうきんですっごい楽しい。ちなみに一緒に歩いた女の子、あっちゃん、サダモン、まゆみちゃんの三人がいるから今回は客引きに捕まらないと思ったが、タイの客引き恐るべし。
「ヤッスイ、ミルダケタダ」
なんと女の子にまで声をかけているのだ!
「アナタモ、いっしょオドル?」
「おーいおい、彼女達を働かせる気かい?」
なんか可笑しいおやじに日本語でつっこんどいて、客引きの波を回避。でもかなり面白い、笑った。