タイ旅行記シリーズ 第2回

(初出:第10号 97.10.13)

進めパッポンズ!!

「着いたぞ、ついに。」
「結っ構ーでかいんだ。」
機内で仲の良くなったスチュワーデスさん達にどやどや(?)とお別れをし、既にパッポンズはタイに到着。土というか、舗装地面を踏んだ訳である。今回はパックツアーで来ているので空港でガイドさんと落ち合うことになっていたんだけど、そこにいたのはちょっと恰幅のいいタイおやじ。
「ハンダサンですか?」
おお、日本語だ。ドリちゃんの本名をばっちり発音しとる。ちなみに彼は『私、タゴサクです』と名乗った。なんか、イカサマくさい‥‥。大丈夫か、パッポンズ?ぶちは機内でスチュ達にどっさりプレゼントされたサンドイッチをタゴサクに渡す。
「日本のお土産でーす♪」
‥‥。大丈夫らしいぞ、パッポンズ。
 

今回一緒にツアーに参加するのは、他に女の子が5人。機内でぶちが偶然ライターを貸した女の子三人組み女子大生と、OLさん二人組である。肩書きの違いなのか、女子大生の方が元気があって、話しやすい(おいおい)。どうも、OLさん達は疲れてそうで、この後の観光でももろ「はぐれメタル」であった。泊まるとこが二人だけ違うってのもあったからだろう。そして、タゴサクもこの後手を焼くことになるのだ。残念だが詳しくは書けない。さて、バス乗車。なんと11人+タゴサク+運転手で普通の大型バスなのだ。バスの中でジャイはタゴサクにパッポン通りへの道のりや、タクシーの相場、ナドナドを聞いている。他はと言うと、
「すっげー、このバスいくらでも座席が倒れる〜」
「それじゃ、後ろが座れないじゃんっ」
「なんか、都会だねー、バンコク」
「あ、日本語の看板!!」(←?)
バスの運転手さんはダンディズムなので聞こえない顔で運転、ホテル到着。さっそく横のトランクから荷物を取り出そうとしたのだが‥。
「ちょっと、バス動いてる、動いてる!!」
なんと、このバス荷物を取り出すときブレーキが掛かってないのである。すかさず車内に飛び込んでサイドを探すドリちゃんだったが、
「ぎぃー、このバス、サイドブレーキがねぇ〜!!」
とか叫んでいる。タイのバスはかくあるものなのだろうか‥。タゴサクは気にするなという笑顔を浮かべているし。なんかアクティブタイランドいい感じである。
「みなさんは、パッポンに行くのなら、タクシー呼んであげます。」
パッポンズは6人なので当然2台の車が来るのかと思いきや、到着したのはなんとコロナかなんかの日本車一台。後ろの座席には男5人である。すごいぞ、タイランド。運転もなんか荒いし、道も一方通行が多い、しかも、信号の切り替えによって対向車線が右折レーンになったりもする。最悪なのがトゥクトゥクと呼ばれる三輪バイクタクシーで、ごっつ荒い。
「これじゃ、レンタカーむりだな。」
「ああ、むちゃくちゃな交通事情じゃん、バンコク」
で、パッポン通りでタクシーを降りると、すっごい勢いで客引きが寄ってくる!
「おきゃくさん、オンナいる?」
「ミテッテ、ヤスイネー」
おお、圧倒されるぞ。とりあえず、そいつ等を退いて皆で一服。
「すっげーね、パッポン」
「とりあえず、屋台で買い物しようよ。」
パッポン通りはまず、通りの真ん中が露店がウジャウジャあるのだ。香港で似たような光景を見たことがある。違いはその両側にある風俗バー(ゴーゴーバー)の客引きだろうか。露店では服、飾りもの、時計、置物、カセットテープ、なんでも安い。しかし、狭い。そして、店員はかなりの確率で日本語の達人である。『日本人を見分ける目』もしっかりしていて、しつっこく腕を引かれるが、ここでの買い物の法則は、『お笑い一本』である。そして興味のない品物の値段は聞かない。どうせ、言い値なんていい加減なものである。値切りの法則については後日ガラのタイ旅行記で紹介があるのでこちらもどうぞ。
「ヤッスイネー、ヤッスイヨー」(おっちゃん)
「やっすいのー?、おっちゃん、これなんぼ??」
「ハウマッチ!!、パッポンプラーイス!!!」
相手が明るいから調子に乗って値切りバトルをくりかえすメンバー達。すっごいハイテンションで面白い。しっかし、全部マガイモノなのだろう、ぶちのレイバンのサングラスが200バーツ(800円くらい)だし、ドリちゃんのBABY-Gはいくらだっけ?とにかく偽物でも安いって。ぶちは着替えを殆ど現地調達する予定だったから、Tシャツかったけど、高くても100バーツ(400円)で買えたのである。 ひとしきり通りを見て周りいよいよ、ゴーゴーバーへ突入。カウンターに並んで座ってた筈なのにすかさず女の子が一人ずつつき、ばらばらにされる情けないパッポンメンバー達。このバーもすごい。大抵の店は同じなのだが、中央で裸同然の女の子がくねくね踊っていて、周りはバーなのである。そして、後から分かったのだが女の子が一人ついて、飲み物を奢るとなんと360バーツくらい取られるのだ。ついていくだけで何もしないと決めていたぶち、ジャイ、ガラ(客引きに「ミルダケタダ」といわれたから)の三人まで金を払わされて、やや憤慨。なんか他のメンバーとコンタクトとりたくってうろうろする変なぶちであった。
「なんかカラオケいこうとか言ってるよぉ」
「おれなんてホテル来るとか言われたぁ」
「なんか、すっげー、ここ」
「どぇひゃひゃひゃ」
ああ、会話になってない。しかもジャイにはなんかママさんクラスの貫祿のあるお方がついているし、ジャイも負けていないのが場違いにも肩なんか揉んでもらっているのだ。女の子は店から客を連れ出したいらしい。どうやら、店を出ると店員からフリーの娼婦に変身するらしいのだ。その後も無理やりホテルについてくる女の子達、というか、鼻の下の伸びたパッポンズに断わる余力もないのである。この後で
「このホテルは連れ込み不可能だから」
とか説明するのにすっごい手間取る。あぁ〜あ。連れてきた方も悪いのにね。ちなみに一晩の相場は1500バーツ(値切れるらしい)で、上の例のように途中で断わると手切れ金の交渉をしなければならない。だって、みんな病気怖いもん(おいおい)。結局その後二手にバラけて一部睡眠、一部は朝の5時までパッポンを満喫、それにぶちとガラはその日着た服の洗濯もあったのだ。つまり皆寝不足だね。いきなりハードに飛ばしすぎな気もするが、十分タイのアクティブ雰囲気を堪能してしまった初日であった。

(つづく)
 


「過去の原稿が読みたい」ページへ戻る

 第3回を読む