マスブチのハッとしてグー 第2回

(初出:第8号 97.8.22)

『GO DOWN 』

 お久しぶりです。ものまね文章が大好きの増渕です。このごろの仙台は晴れていて、風もあって気持ちいいなーと思っています。でも天気のいい日は学校も会社も休んで床屋さんにいったりお買い物にでたりふらふらしたくなるので困りますね。

その1『ドラえもん大戦』

 主人公はどこか精神的に不安定で常に葛藤をもっているものが好きだ。『エヴァ』って見たことないし興味は無いけど、そんなところも人気の一つなんでしょ。高橋さん?

 で、今回まず話題にしたいのはそんなエヴァの手法を用いつつ、ドラえもんの設定による融合パロディ小説という『ドラえもん大戦』である。

 インターネット上で公開されている作品なのだが、作者は一般の方らしい。みなさん良く飲み屋とかで、「ドラえもんの不思議」や「サザエさんの不思議」を話題にして盛り上がったことは無いだろうか。「なんで使命を持っている筈のドラえもんはぐぅたらなんだ?」とかね。本作はそれらの全ての疑問に面白い回答を提案している、それはSFという形でね。主人公はスネ夫。そして決して勧善懲悪ではない。キャラの視点の換わるテンポはスポーツ漫画のようなスピード感があり、各キャラへの作者の愛着。オリジナル作品に対する敬意が表われている。

 この小説は各話のあとがきににある作者の自己卑下発言(この世界にはよくある)にはやや引いてしまったが(笑)、話自体は本当、面白いんです。永久的国民的アイドルのドラえもんのパロディというだけで読み手はイメージが膨らんでしまうが(ここは評価対象にはしていない)、パロディに有りがちな『キャラへの愛着に作品構成が負けてしまっている』ということもなく、真摯にSFに取り組んでいるのが分かる。SFデティールは十分に考えられたものだろう。さらに各設定がオリジナルと細やかに連動しているのは作品の出来、不出来以前にドラ好きにはとても嬉しい。

 注:文中の高橋さんとは編集長の高橋基樹さんです。
 

その2『NEW HORIZON3』東京書籍

 中学校の英語の教科書を覚えているだろうか、マイクだのナンシーだの同い年の登場人物が散歩してテレビ見て、みたいな内容のアレである。そのアレのはずの『NEW HORIZON3』(三年生用)が今はずいぶん変わった。ロックの生まれた経緯を教えていたり、女の子同士で夜中に男の話題で盛り上がっているシーンなんかもあったりして最近は英語の教科書もがんばっているものである。くだけた調子の言葉も沢山でてたりする。でも、なんか今読むと中学生の気分が味わえていいかもしれない。僕等は確実に成長したものだ。でも僕の教え子はこの本にはあまり興味はないようである。僕は確実に年を食ったのだろうか。『NEW HORIZON3』東京書籍は全国の教科書供給センターで販売されている。
 

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