マスブチの耳 第1回
(初出:第3号 96.11.24)
総選挙の投票率、史上最低でしたね。そこで、今回は、このことについて
三人の方々のコメントを紹介したいと思います。
(ただし、小説や劇の主人公ですけど。)
ムルソー(異邦人/カミュ)
『私は、選挙には確かに行ったが、他人が選挙権を使用しなかったことが、
私にとって何らかの重要性を持つとは思えない。興味が無いのである。
とにかく、私は現実に何に興味があるかという点には確信がないが、 何に興味がないかという点には、十分確信を持っている。
そして、まさに他人の選挙に対する考え方には、興味がない。』
鈴木雄一郎(蕎麦ときしめん/清水義範)
『いきなり結論をいうととても信じられないことのように受け止められるが、
日本人における政治への不信感はマスコミによる無意識的操作が創り出した ものである。
これまで私は、無数のマスコミの政治に対するコメントを調べてきたが、
そのほとんどが、政治家への文句と、そこから発展した日本という国家全体への
悲観だけで構成されているのである。
つまり、マスコミはどこそこの政党に偏りを持っていると言われるのが嫌で
、政治家を褒めることができないということが分かる。また、褒めることよりも
批判する方が理論構築は簡単なのである。
しかしこれが、実は日本国民の頭の中に、政治家は悪者だというイメージを
与えてしまったのである。そして、皆、政治に白けてしまい、この結果が今回の
選挙なのである。
ああ、これも情報化社会の弊害なのだろうか。』
マクベス(マクベス/シェイクスピアー)
『次の政治のことは頼まなかった。ただ時の浅瀬のこちら側で、それですべてが
満たされているとしたら先ゆきのことなど、誰が構っておられるものか。 だが、こういうことは、かならずや裁きが来る。
因果は逆にめぐって、元凶を倒すのだ。この公平無私の裁きの手は、毒酒の杯を
、きっとそれを盛った者の唇に押しつけて来る。
やってしまって、それで事が済むのなら、我が一票早く使ってしまえばよかった
のだ。』
次回は、コメンターを入れ替えて"日本の交通事情"についていくつか紹介したい。
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