部屋に戻ったらもう眠ったくなってさぁ、やんだっちゃはもう。仕方ねぇからロビーおりて「ここのホテルのレストランはどうですか?」っていったらみんなヤンダっていうから、高いから――(局地的な豪雨。何度もニューヨークにはきているが、台風並みであった。今から思うとなにかのムシの知らせにも思えた)――雨の中、走っていったちゃわ。近くにあんだファミレスみたいなのが。そこで一杯食って飲んだら、お客さんも眠ったくなったんだっちゃ。「(貿易センタービルへ夜景でも見に)行きますか?」って聞いたっけ、「イイからわ〜」っていうから止めたっちゃオレも。いつもだったら必ずいくんだぁ。
日本に帰ってきてニュース見たけど人ごとと思えねんだよ。向こうでも勿論テレビには映さないけど、人間の足首――赤いハイヒールを履いているのとか、指のちぎれたのとか、目玉だかなんだか分かんないのとか、瓦礫にまじっていっぱいあんだよそういうのが。んだから女のレポーターだのレスキュー隊だのがみんな泣いてんだ「こんな酷いのは初めてだ」って。
飛行機のって離陸待ってちゃ?・・・なんだか様子おかしんだっけなぁ。したっけ機長が「お客様、手持ちの荷物に携帯電話等をお持ちの方は、家族や会社に所在を通知してください」って言うんだっけ。おまけに「私も何があったかわかりません」って言うしさぁ。オレは持ってねがったから、まわり見てたんだ。したら見る見る電話かけてる人たちが青ざめてんの!「ハロー、ハロー、・・・ん、・・・うん。・・・うん。・・・・・・オーマイガッド」ってさぁ〜。して何があったんだって聞こうとしたら「管制塔からの連絡で、貿易センタービルに飛行機が突っ込みました」って機長が言うんだよ〜。ビックリしたっちゃわ〜。
んでもって荷物がでてこないのぉぉ。ホレ、離陸するのと到着した便のもあっから・・・、三時間ぐらいかかったんじゃないの?。オレも焦ったっちゃわ。お客さんはとりあえずロビーで待っててもらって、もう飛行機は飛ばないって言ってっから、レンタカーだ!って思って行ってみたら四つぐらいの会社がもうクローズしてんだよ。ひとつだけ開いてんだけど、そこも300mぐらいもう並んでんだー。ヤバイと思って今度はうちの契約している旅行会社に電話して、バスだのなんだの調べてくれって電話したんだけど、向こうも何が起こったんだかまだ把握してねんだなあれ。
結局のところ、電話帳で調べたホテルにかたっぱしから電話。「子供もいるから助けてくれ」といって、バスで15分の距離に四つの空部屋を確保(しかし渋滞で空港に迎えにきたバスは三時間後に到着)。長距離バスも確保。「おそらく黒人のおばちゃんだと思うんだけど、現金で支払うなら行くって言うんだ。足元みやがって、と思ったけど、仕方ねっちゃ」――この後のバス会社との値段交渉は省略させて頂く。
最初のスケジュールではニューヨーク〜シカゴ〜ロサンジェルスの旅、5泊7日であったが、最終的には12泊14日の長旅に。
仙台から浦和インターまでを12往復して、もう一回浦和まで行くのとオンナジ距離さ!12往復半だよ!これをバスで行くんだから疲れんだぁ。んで、きた運転手がまた犯人みたいなのと、ごっついプロレスラーみたいなのと、また人相悪いのと、三人。日本と感覚が違うから、みんな家族つれてくんだよ。子供とか奥さんとか・・・。で、最初はおっかないのさぁ、無表情で。これはこれはと思って考えたっちゃたよオレも。アメリカはハイウェイ走ってっと必ずレストハウスがあんの。(ガソリン)スタンドみたいなのが。そこの売店で黒系のソウルだのR&Bだののカセットテープ買ってかけたのさ。したら見事に成功したねぇ。「づんちゃ、づんちゃ、づんたらずっちゃ」って運転手がノッテくんだよこれが、いやいや、時間たってからカントリーだのもかけたっちゃわもう。お客さんも「景色にあいますね」なんて言っちゃって、洗脳されて・・・思ったねオレは。なんでこんな事態にもなってカントリーのこと考えてんだって!