フィールドレポート 第12回 『ある師走の思考回路』

(初出:第57号 01.12.21)

★町ですれ違う「パタゴニア」を身につけた若者達。ちらりちらりと見受けられるのだが、なぜだか似合っている人が少ない。外国産犬に引きづられてよた歩いてる多くの飼主と同様、完全に「名前負け」状態である。それに引き換え我がパートナーのレイコ嬢は断然違う。「パタゴニア」の”レトロ”をすっかり自分のものにしてモコモコ歩いているのだ。八木山動物園のある種の背中に酷似していて、子供にも「あっレッサーパンダだ!」と指をさされる始末なのだから。笑えるでしょう。
☆大晦日にアントニオ猪木軍団とK−1の対抗戦がある。ここ数年はプロレスをはじめ、格闘技全般を全く観ていないので選手の特徴やキャラが分からない。高田延彦(はやく辞めてくれ)、ドン・フライ、ピーター・アーツあたりならわかるのだが・・・・・・。いずれにせよ連続ドラマである。聖なる一回性が格闘ライヴの「売り」なのだが、もはや感情移入できない安物だし、今さら首を突っ込みたくない気もする。そもそもプロレスは強さを求める競技ではないし、受身が染み付いているから他流試合は断然不利である。町での喧嘩なら・・・・・・わたしはそちらの方の入場券を買いたい。
★NHKの午前中の番組内で「ミュージック・プレゼント」というコーナーがある。もっぱら年配者が大多数のリスナーのはずだが、なんとニューカントリー界の歌姫、リー・アン・ウォーマックの”I HOPE YOU DANCE”をリクエストした方がおられた。こういうときにかぎって詳細を聴きのがしてしまうわけだが、通常は「学生時代からの恩師へ」とか「天国の亡くなった愛妻の大好きだった曲を」とか「可愛い孫へ」なんてのが多い。曲も懐メロが主で、たまにビートルズがかかったりもする。しかしこのリー・アン・ウォーマックというのは現役で現在のカントリー音楽シーンをおってないと出てこない名前なのだ。素晴らしい。わたしもこうありたい。ところでこの曲はカントリー音楽協会の昨年度の年間最優秀楽曲の栄誉に輝いている。授賞式でスピーチしたソングライターが最後に、会場のどこかにいる愛娘(息子?)にたいし「やったぞっ!」(字幕)と拳をかかげてみせたのだが、このときに実は”――I HOPE YOU DANCE ”と叫んでいる。「わたしは、きみがダンスするのを望む」だから・・・・・・「お前達もダンスをおどってみろよ」だから・・・・・・「自分の道をしっかり歩いていくんだぞ」といっていたのだろう。ふむふむ。格好イイね。
☆今年のワールドシリーズを制したアリゾナ・ダイアモンドバックスの主砲、ルイス・ゴンザレスは、野茂がまだドジャースにいた頃から、わたしが贔屓にしていた選手である。彼もまだヒューストンにいて、次にデトロイトに行き、またヒューストンへ戻ってきたりもした。いわば苦労人なのだ。こういう選手が三十路を超えて開花するのだから、人生は面白く、また応援のし甲斐もあるというものだ。その年の浮沈みで好みをを鞍替えしたりするにわかファンをわたしは好かない。フルマラソンのゴールの味は三十キロを過ぎたあたりで襲ってくる猛烈な苦痛をのりこえて味わえるものなのだ。格別。
★しばらくレイコとばかり過ごしてきて、連絡もしていなかったので、わたしはすっかり浦島太郎になっていた。なにせ親友と呼べる友人ふたりのうち、一人が刺されて生死を彷徨い、もう一人が仕事を辞めて警察学校に入った。それを友人の母親に会ったという自分の母親から聞かされたのだから、おいらもたまげた。
☆別項でもふれた、古着屋を開業した友だちに会いに行ってきた。柄にもなくニット帽とコーディロイのズボンを買った。ユニクロ並みにまけて貰って友だちの「愛を」感じた。わたしが訪ねると自慰は彼女が出掛けたのを見計らって必ずするようにしているとか。実際の夜の営みは三週間にいっぺん程度とか。参考になる。
★アルピニスト野口健の講演会以降、エコロジストだ。『環境学がわかる』と『新環境学がわかる』の二冊を買ってきて読んでいる。野口氏もいっていたが、「父親に”いつか勉強するときがくるから、そのときにちゃんとやりなさい”といわれた」そうで、わたしもそういう時期にきているのかも知れない。この手の本を読んでも苦痛でないし、いい兆候だ。あとはスペイン語もやってみたい。来年のワールド杯で地元(宮城)にアルゼンチン、メキシコがくるからではない。いつか世界の宝くじでもあてたとき、アカプルコあたりに住みたいからだ。それと一度でいいからルチャ・リブレ(メキシコのプロレス)を殿堂「アレナ・メヒコ」で観たいのだ。現地で覆面をいっぱい買いたいから、言葉をおぼえる必要があるのだ。「クアントクエスタ?」(これいくらですか)「ポルファボール」(おねがいします)「ムイビエン」(最高だ)「アリバ、ハポン」(日本万歳)「ウノ、ドス、トレス」(いちにのさん)
☆最近、天候の影響もあり、走ってない。筋トレの運動量も減っていて、食欲も落ちている。やるときはなまけた分を取り戻そうといっぱいしてしまうので、疲れ方が半端じゃない。「継続は力なり」は難しい。根がなまけ者のジャイアント馬場さんも、徹夜でマージャンしたあとに「これじゃいかん」といってあせって稽古に励んだという。ねっ馬場さん。
★しいたけの焼いたのに、七味としょうゆをかけて食べたい。
☆あした(12月22日)は土曜日なのに出番。でも直訴して休日にした。賢い決断だった。今日は朝から気分がよかった。金曜だから混むと思って早めに出勤したが、これがよかったのだろう。余裕がある。ところで、本社(福岡)から給与の明細だけ届いたので見たら、源泉徴収の戻しが二万円もあった。ラッキー。あれこれと欲しい物リストをつくって電卓を叩いてみるが、レイコの親友のカズエちゃんの結婚式に着ていく服がないので、これを当てるしかない。悲しい。正直ご祝儀も痛い。ボーナス
も頂いたが、無職時代からの借金を清算したので残っていない。いつでも必要なもののためにはお金がないのだ。有馬記念の賭金もないとは・・・・・・。久々に大金をスッて「こんなの八百長じゃね〜かっ!」と叫びたかったのに。とほほ。さあ、みんなも声に出していってみよう。「とほほ」と。本当に「とほほ」な気分になること請け合いである。
 



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