配送業務に携わっていると、どうしてそんなに時間がかかるのかと疑問に思うことがある。
月曜日の夕方に電話で商品を注文し、翌日のお昼に郵便局から代金振込。品物が到着したのが翌週の火曜日である。パタゴニアのカタログには商品到着までは一週間前後かかると明記されているから、パタゴニア側にはなんの責任もない。が、どうして一週間以上も時間を要するのか納得がいかないのだ。
クレジットカードを持たないわたしは郵便振込での支払いを選択したが、パタゴニアはその入金を確認した後の発送である。生意気だ。電話での注文時に既に在庫確認済みであるから、翌日に入金を確認すれば、月曜日の夕方に注文した商品は水曜日ないし木曜日にはわたしの手元に届いてもいいはずではないか?ちなみにわたしが稼いでいる会社では(教材の通信販売とでも思ってくれればよし)、東京の事務所で午後の4時まで受付けた注文の品を翌日に仙台から発送するかたちである。よって、月曜日の注文だと水曜日には確実に手元に届く。受付け時刻をすぎたにしても木曜日には間違いなく届いているだろう(もちろん在庫があればの話しだが)。それでも以前は、その日の注文はその日に発送していたから、現在のシステムでもお客さんから苦情がくることがある。
そもそも、ものを売る商売をしているのであれば、環境問題に資金を投じるまえに、いち企業としてそのへんのところをクリアーしていただきたい。パタゴニアのクラスになると誰も文句をいわないだろうから、あえて苦言を呈する。細かいことをいえば、注文聞きのお兄さんの声がわたしよりも小さく、支払額がいくらか三度ほど聞き返したぐらいだ(パタゴニアは送料にも課税されるのでこちらは間違えないように必死なのだ)。なっていない。
まあこのへんでいいだろう。先月の当欄でも触れたがこのほどパタゴニアから仕入れたのは「クール・ウェザー・トップ」(1万3000円)である。パタゴニアのカタログには「クールウェザーがあれば、寒さを感じることなく澄んだ冬の朝のバイク・ライディングや朝食まえのスノーシューランニングが楽しめます」とかいてあった。さっそくお手並み拝見だ。
ペリカン便の包みをこじ開け中身を取り出すと、想像したのよりも大分薄手の代物が登場。わたしは愛犬ナナの散歩にいく準備をしていたのでこれを着てみた。じか肌には半袖のTシャツ一枚。そのうえに待ち焦がれし「クール・ウェザー」だ。アウターはパタゴニアの「ベロシティO2シェル」である。おそらく気温は4℃から8℃ぐらい。おおまかではあるが雪がふる一歩手前の寒さである。あまりにも身軽な着心地のまま仙台市青葉区は川内山屋敷の夜へいざ出陣だ!
以下、レイコとの会話。
「さ・む・さ・を・か・ん・じ・る・こ・と・な・く、よ?!」わたしはいった。「ちょっと寒いっつーの!」
「きゃはは。えーでも、なかはTシャツだけだったんでしょ?」
「んだって、さ・む・さ・を・か・ん・じ・る・こ・と・な・くって書いてっぺやーっ!」怒るわたしはつづけた。「冬の朝にチャリンコ乗るんだよ。スノーシューっていったらスキーはいてんだべ?雪積もってる状況ってことでしょう。そのなかで、さ・む・さ・を・か・ん・じ・る・こ・と・な・く、た・の・し・め・るっていってんだよこれーっ!」
「え〜、あたし知らないよ!」
「・・・・・・!」
翌朝のわたしは「クール・ウェザー」の下に半袖と長袖のTシャツを一枚づつ、最後はやはり「ベロシティO2シェル」でしめるという出で立ちでチャリを走らせた。
ご出勤である。家をでてすぐ下り坂がつづくため、幾分の肌寒さを感じはしたものの、とりあえず快適ではあった。
職場での午前中最初の仕事は、外とおなじ気温の倉庫での品だし作業。シェルを脱いだだけのTシャツ二枚と「クール・ウェザー」一枚の状況下で、わたしは寒さを感じずに作業をこなした。悪くない。
「う〜、寒いですねぇ〜」同僚の内田さんがいった。
「あっええ、さ、さ寒いっすねぇ」とわたし。ああそうか!きのうは寒かった。今日も当然寒いわけである。けれどもわたしは快適なのだ。おおっクール・ウェザー効いてんじゃん!クール・ウェザー・ラヴだ!
からだはぬくぬく、はなだらだら。わたしは台車を牽く手を休め、鼻をかんだ。クール・ウェザーを購入したことを正当づけようと必死だったのかもしれない。たしかに寒い、鼻が垂れてくるのだから。けれども身体は調子いいぞーっ。寒くないもん。いぇーいクール・ウェザー!ラヴ。ラヴといっておこう。