千代大橋から愛宕神社のほうへ、仙台の空がひろい。
夕暮れせまる川べりの、ジョギング用に舗装された1キロのコース。
わたしは両の手と両ひざを地面に這わせ、手首のストレッチングを施しているところだった。
フランスやイタリアの、あるいはドイツの国旗を連想させるように、この澄みわたった10月の空にも、紺、水、朱からなるトリコロールカラーが形成されていた。
腰をくねらせながら遠い我が家のほうへ、西へと視線をうつすと、果てへ通り過ぎた雨雲のなかに、音もなくいななく閃光がひとつ、またひとつと、みえた。
レイコがまっ黒なラブラドールを連れて掛けてくる。
わたしの濁りない心情が嘘だというように、この黒ラヴは尾をまるめ、厳戒令を敷いて突進してくる。
なけなしの勇気をもって接近してくるこの黒船に、低姿勢からの竹やり(猫だまし)で応戦するわたし。(巨大船艦玉砕!撃沈であります!やりました陛下!)
そそくさと逃げ惑う(?)一人と一匹の若林住民を見送りながら、わたしはアルカリイオン水を口に含ませた。
ウォームアップがてらの2キロ走を終えてもレイコはやってこなかった。
プラス1キロ。レイコはこない。
プラス1キロ。と、踏ん切り走を覚悟しかけたところでレイコ嬢登場。
ストレッチをしていなかったので、それを待つ。やれやれである。
気分屋のわたしは憤慨していた。空腹感がさらに拍車をかける。
しばらく無口走がつづいたが、とりあえず30分間完走である。
なんだかんだで走りきるのだから彼女もたいしたものだ。
習慣化されることを切望する。生きているという証を実感してほしいからだ。
会社帰りに自転車こいで、
あの娘の町にやってきた。
かけあし、かけあし、2人走。
ランラン、ランラン、2人走。
なごり惜しんでトラック歩けば、
冷えた雫が背中をはしる。
※「Patagonia」のベロシティO2シェルを使用しているわたしだが、朝晩の冷え込みが厳しくなってきたいま、中間着として「Patagonia」のクール・ウェザー・ウェア(13000円)&パンツ(9800円)が欲しくなってきた。なんでも「澄んだ冬の朝のバイクライディングや朝食前のスノーシュー・ランニング」が心地よく楽しめるという。