教養講座「西村しのぶ概説」 第10回(番外編)

(初出:第32号 99.11.21)

「ども、お久しぶりです。また一年ほど過ぎてしまいました。
先生の作品を読んで8年を経た99年、今までになかったことが起こっています。まずそれを取り上げましょう。
現在、掲載誌は5誌。作品は全て不定期ですが順調に載っています。エッセイは休みなし、です。かつてこれほど頻繁に作品を読むことが出来た時期があったでしょうか?気が付けば、こんな状況になっていた訳です。「量産のきかない作家」(注1)というのは間違いありませんが、「寡作家」の認識は捨ててよさそうですね。もっと早く働きかけすべきだったと、ファンとして反省。きっかけとなったこだまちか先生(注2)に拍手!です。

(注1)典拠は..何だったっけかなあ?現在単行本等貸出(布教)中につき..すいません。
(注2)「コミック・ファン」3号(雑草社)インタビュー記事参照。

もう一つ。リアルタイムで先生を追いかけられるようになったホームページ開設(注3)も、取り上げなければいけませんね。HP開設は5月28日。4ヵ月で10万ヒットを超える人気ページとなっています。人気の秘密は作品のファンでなくとも楽しめるコンテンツ。そして、女性が参加しやすい掲示板(&チャット)にあるのではないでしょうか。先生のライフスタイルそのものに注目が集まっている訳です。中にはこのページを見て作品を読み始めた人も。オールドファンとしては、「サード・ガール」をリアルタイムで読んでいたと自慢するよりも、作品世界の奥深さを紹介すべきでしょう。
というわけで本題に入ります。今回は、短編集「VOICE」収録作を取り上げます。

(注3)http://www.mars.dti.ne.jp/~masayan/dress/

(...と、スイマセン。またも間に合うことが出来ませんでした。次回はここから始めることにして。今回は新作「RUSH」の雑感で終わらせて頂きます...。)

FEEL YOUNG誌12月号(祥伝社)に「RUSH」。巻頭カラーです。冒頭の3人は百合、ひよこ、リツコでしょうか。ひよこがずいぶん大人っぽい。「Valentine Rough Boy」(注4)のような淡い色遣い、変わってませんね。雑誌にしては奇麗に出ています。

(注4)「サード・ガール」第28話表紙。イラスト集「Girl on Girls」にカラーで収録。

話は何だかノスタルジック。母の化粧台と父のワイシャツなんて..16、7のひたる思い出じゃないような...。住吉せんせいはどんどん身近に感じられてきましたね。赤毛の巻髪に抱きつくあたりがもう..男ですネ。あからさまに「恋敵」としては描かれないのでしょう。その辺が先生の「らしさ」であり「良さ」と言えます。対照的に冷静さが目立つ有末。誰かと恋愛中か?
読み切り風不定期連載の形態を多く持つ先生の作品。「RUSH」も同様です。にしては珍しく、今回はヒキのある終わり方。...穿った見方をせず、素直に次回(2月号1/8売)を待ちましょう。
ついでに「下山手ドレス」を再録。これは「東京出張編」と題され「プータオ」98.6号に載ったもの。冒頭先生が「別の雑誌で連載中の〜」と説明。そのコマには「SLIP」の1巻が。注釈には「月刊ニュータイプで連載中の〜」とある(注5)。再録と、気付かなければ訳の分からない流れですねこれでは。(名前の下に小さく説明が入っているんですけど..)
先生の4コマ、ギャグ漫画好きなところや、カリスマ考なんかも伺える話です。この辺についてはいずれ眺めていきたいと思っています(「漫画読み」としてもいい目をお持ちなんです、先生は)。

(注5)現在、「下山手ドレス」は「ニュータイプ」(角川書店)と「Cutie comic」(宝島社)で連載中。

またも番外編とさせて頂きました。本編は次回必ずまとめてお届けしたいと思います。本日は、この辺で。(99.11.15記)



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