『道案内はおまかせ?』
「道に迷ったら、お近くの当店でお聞き下さい、地図をご用意してお待ちしております」
などと、まったく誰の許しを得てそんなことを、というキャンペーンを現在展開中の某コンビニ。私の夜のバイト先である。
ただでさえ忙しい(ときもある)のに道案内しろったって・・・とはいえ、仕事とあらばやらねばなるまい、と割り切りの早い私。本当は、親切面で他人に道を教えたりするのが好きなので、
「誰か道訊いてくれないかなー」とカウンターで人待ち顔。
キャンペーン展開を知ってか知らずか、訊きに来るお客様がついに現れる。
「あのー、この辺りで銭湯はないですか?」
見るからに風呂なし物件に住んでそうな、ちょっとロッカー風(こういう表現はいまどき使っていいんだろうか)な青年である。ものすごい偏見。
「あっちの商店街にございますが」
「いや、そこは今日定休日なんですよ」
そういえばそうだった。でも地元に住んでる訳ではないので、この辺の他の銭湯はわからない。で早速「地図をご用意」。
でも地図だけ見たってわからないので、ハローページも動員しての銭湯探しになってしまった。
どうやら地図が古いらしく、既にない銭湯が載っていたりして捜索は難航する。他のバイト2人と、毎日顔を出してくれる近所のおじさんとみんなでやいのやいのいってなんとか探し出し、一応地図で説明して、住所と電話番号を書いて持たせてあげた。
しかし、地図で道を説明するのがこんなに難しいとは思わなかった。
特に相手が、最近越してきた地元に不案内な人だと、地図での説明ってあまり有効ではないように思える。なにしろ、「あそこの酒屋とラーメン屋の間の道を入ってですね・・」の類の説明が通用しない。
そうかといって、「そこをまっすぐ行って二つ目の交差点を右に曲がって三本目の道を左に・・」などという説明だとかえってわからないのではないかと思うし・・・。
とりあえず今回は説明がうまくいったらしく、ロッカー青年は帰りにも寄ってくれて、「無事に行って来ました」と報告してくれた。広くて良い風呂屋だったそうなので、今度行ってみようと思う。
道案内キャンペーン実習の結論。
「地図だけで説明するのは無理」もっと地元のことをよく知っておけということか。なにしろ「町のほっとステーション」だからな、一応。