コンビニ側の証人 第1回

(初出:第23号 99.2.20)


 

『煙草の名前』
喫煙の習慣がない私にとって、「煙草の銘柄」は覚えにくいもののひとつである。
バイト先のコンビニに入ったばかりの頃、店に置いてあるものはなんとか覚えて、よしこれなら大丈夫と思っていたら、「名称の短縮形」の存在を知らずによく間違えていた。最近は慣れたからいいようなものの、知らなかったときは 聞いた音から勝手にいろいろな連想をしていて、実はそれで覚えられたという側面もあるのだが、思い出してみると こういうものって本当に脈絡がない。
「マイセン」(とんかつ専門店?、あるいは老舗の洋食器のブランド?)
「セッター」(犬?、バレーボール?、あと「雪駄」とか)
「PM」(「ampm」とか、リトマス試験紙とか、phからきている連想らしい)
「マイルド」(甘口カレーとか)
このようにとにかく瞬時にいろいろ頭に浮かんできて、 それが突飛なものだったりすると、接客中なのに「むふふふ・・・」などと妙な笑顔になっているのだが、ちょっと見には愛想の良い店員で通せるので、まあ怪我の功名といったところか(但し、よく見ると変な店員)。
その妙な連想を誘う短縮形に先日新顔が登場。
フレームの細い眼鏡が神経質そうな30代の男性、カウンターに来てボソッとひとこと
「キャマイひとつ」
「・・・?」
「キャビンマイルド」のことらしい。
ちょっとまてこら、それは市民権を得てるのか一体、 というツッコミをお客様に入れるわけにもいかないので、
「すみません、煙草吸わないんでよくわからないんです」 と、
つい謝ってしまった。条件反射ってこわい。
しかしねえ、「キャマイ」・・・「キャスターマイルド」も「キャマイ」じゃないのか?
店長に言ったら、「それは絶対市民権得てない」と言っていた。
どなたか、「いいや、キャマイといったらとーぜんキャビンマイルドだ。俺の友人・知人・親類縁者ではそー呼んでる」とおっしゃる方、いらっしゃいましたら御一報下さい。


このシリーズは、本誌発行人高橋の個人ページ「SD〜東京番外地」内の掲示板に不定期連載?中の原稿を転載させてもらっております。しかし、本誌掲載前に本人の修正、確認を依頼しておりますので初出を本誌発行日に合わせております。
尚、当シリーズの最新原稿を一足先に読まれたい方は上記ページ内の「掲示板」もしくは「平和荘通信(過去ログ)」を閲覧下さい。(文責:高橋)

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