新・現在4コマ漫画レビュー 第108回

(初出:第347号 26.5.20)


-TOPIC-
隔月刊の漫画誌を1月後に探し回った経験はある。だから今回、焦りは無かったが初めてと言って良いので記しておく。
某日。すでに出ているはずの「まんがタイムオリジナル」誌(芳文社)を求めて書店へ寄る。無い。
「おや珍しい、売れたか」。失礼な話ながら椿事と言ってしまう。行き掛けの駄賃で萌え4コマ誌を立ち読み。しかし読んでいる数少ない作品がこの月は悉く休載。巻末目次ページに案内は出ているので、少なくとも完結はしていないことが分かれば不満は無い。それにしてもビジュアル系はもう不定期連載が恒常化しているよなあ。「予告通り」というのもあるけれど、無いのは「落ちた」という認識じゃないのか。かつては再録が入ったり、それなりに混乱していたものだが。今は何事も無く誌面は埋まり、お目当てが載っていないから買わない、なんてことも無いのか。週刊の大人気作品が切り拓いた、漫画家さんにとっての労使交渉の賜物ではあろうから否定はしない。とはいえ「○(過去)号での掲載にて完結となります。ご愛読ありがとうございました(編注:意訳)」なんてのもある。悲喜こもごも。
さておき、どうしようか。この書店は棚に1冊しか置いていないから売り切れも分かる。最寄りの書店は平積みで4〜5冊あるからまず大丈夫だろうが出直すには距離が微妙。帰り道、コンビニは無数にあるけどもはやどこが漫画誌を豊富に置いているか(=4コマ誌もある)はインスタント宝くじに当たるくらいの確率。今日是非ものでなし、日を改めるか。と、記憶の街並みに書店らしきがあったことに気付く。あそこは..レンタルの大手だけど本屋さん、だったよな?相当大回りになるけどたどり着けなくも無い。行ってみるか、ヒマだからな。道中ではあるのでさほどの手間とは感じず、寄ってみる。
無い。えー、無いよ!?
おかしい、さすがに2軒目は違和感を感じる。ついに配本システムが「0」を選び始めたか?しかし他の4コマ誌は並んでいるから「タイオリ」だけ、というのはあんまりだろう。初めて入る本屋さんなので並びが分からないから新刊コーナー別にある?ウロウロするもやっぱり、漫画誌はそのコーナーにしかない。女性誌の方まで見回り、久しぶりに懐かしい作品の新作を拝むことが出来たり、リアル店舗を回るなりの収穫はあったが目的は果たせず。というより、まさか..休刊!?予告なしに?
有り得ないと思いつつも確証は持てない。思わぬ形で空振りで帰ることになり、想像は千々に乱れる。ビジュアル系じゃないけど連載陣の相当数が穴開けたとかで発売延期とか?ネガティブにしか振れて行かないのは数々の苦い思い出があるから。こうなると面倒だけど鉄板のあの店で確認するか。面倒だから今日のところは帰って、ネット確認してからで良いか。(スマホは老朽化して持ち歩いて居らぬ)
気が付けば足は書店へと早歩き。やっぱり気になるよ。そこには..普通に置いてあり、購入。安堵したとともに「なんだ、売れてきてるじゃん」とようやくポジティブに振れる。自分しか買う人いないだろうという不遜な考え方ではあるが実際無くなっているのを経験したのは初めてだ。1冊2冊とはいえ発売日程なく2軒で売り切れとは見通しが良い。コンビニに当たり前に置かれていて、立ち読みで済んでしまう、そんな日が再び訪れる..ことは無いけど。

-PICK UP-
買い進めている唯一のストーリー漫画と言って良いあずまきよひこ『よつばと!』(電撃大王)の最新16巻は25年初版で今回は1年経たずして入手。近年の発刊ペースが3〜4年に1冊なのですっかり忘れた頃に新作が読めるのが具合良いらしい。かつてのような熱狂的な読み方ではない。
某著名魔法少女シリーズを観るのを止めてしまったのは、放課後2人で帰っていて悪者と遭遇するというシーンで、「現実に居たら結構痛い中学生だな..」と思ってしまったから。
本作に関しても「怒られるのが嫌で真顔でウソを付いたので懲らしめられた」というエピソードに暗然としてしまった思い出がある。「主人公絶対正義!最強!」と思っていたのが急に現実を見せられて「この世界では年を経るほど生き辛い存在になるぞ..」と感じてしまった。
それでも読むのを止めなかったのは、個々のエピソードは変わらず面白いからと、前述の通り発刊ペースが亀の歩みで毎回新鮮な気持ちを感じることが出来ているから。とはいえ一度抱いてしまった不安感は拭いきれず、「そろそろサザエ時間に入ってくれないかな..」と成長に怯えつつ。新刊も入手してから数カ月積読。最近になってようやっと頁をめくってみたわけだが。
(以下ネタバレに気を付けつつ)
その名を呼ばれ驚愕し、その言動に狂喜し、巻末にて感涙す。
慌てて「あずまんが大王」(メディアワークス)を紐解けば、完結巻が02年。四半世紀経たんというここで、過去作のキャラクター出してきた!!!
オールドファンとしてただただ懐かしい、だけでなく、最後に落ちたのは安堵の涙。小学生が飛び級で高校を卒業し、西表山猫が海を渡り、父親が空を飛ぶ。この世界線に入った主人公はまだ戦える。このままで大丈夫。後付けになるが主人公は5歳で、登場キャラは高校を卒業して5年後..となると、出自が明らかにされていないのは正統後継者として誕生した存在だからということか。となると描かれていない中学時代までイケる、まだ物語は始まったばかり!妄想が一気に飛躍する。
カンフル剤、中興の祖と言うにふさわしいこの新キャラ登場。元ネタが4コマ作品というのが嬉し過ぎる。「それが、歴史になる」某スポーツ番組で使われたフレーズが4コマでも使えるようになった。

-REVIEW-
九石三羽『エルフの歌い手』(タイオリ)
書店で「地元応援」というコーナーがあり、4コマの単行本も置かれていて買わずとも笑みがこぼれる。本作も掲載わずか2回の青田買いながら見覚えのある景色に暮らしている作品なら迷わず推し。
依頼無し音楽Pと歌うことしかしてこなかった異世界エルフがVシンガーで生計を立てようと目論む。字の多さ、バストアップばかりの構図に4コマへの経験不足が透けるものの、その顔面どアップと太字の台詞に惹きつけられる。ワイド4コマの利点を活かせている。
経歴を辿ってみたら同人作家としての活躍もさることながら「タイオリ」誌リニューアルを編集長にインタビューした記事が読め、本作についても色々有益な情報が得られた。楽屋裏じゃないけど、こういうの公式サイトで発信してくれると趣増すのでは。
作者は出身地や著名ストーリー漫画、名産品もハンドルネームに入れている(た)地元っ子らしく、ロケーションはそのものズバリ。音楽漫画は名作が多い。いずれ聖地巡礼の新たな一作に加わることを夢見つつ。


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