新・現在4コマ漫画レビュー 第107回

(初出:第344号 26.2.20)


-TOPIC-
多作家にして「自身最長連載」だった胡桃ちの「ミッドナイトレストラン7to7」(芳文社)が完結後に特別編を3カ月連続掲載。単行本はその間に刊行され、収録は本編の最終回まで。今までもその形だったし、過去にはとく村長「ラン様の放課後遊戯」(芳文社)がWEBでも公開して多少の延命が図られたりした(参考:第46回)が、基本的には単行本PRのおまけの範疇。
しかしアフターエピソードが描かれた本作は読む限りここへ来て強烈に立ったキャラを出して来た、主人公たち夫婦になったのにまだ進展してないの、ダンナの蕩れ顔最高過ぎるetc...続編あるでの展開に期待が高まる。
そうしたら頁下に「この特別編が収録された『コミックス』は初夏発売予定」(※『 』は編者)とある。そっちか..高津ケイタ「おしかけツインテール」(芳文社)はイラストブックに収録された。歴作が掲載誌の表紙を飾ってきた看板作家であるからイラスト集の刊行はうなずける。ただこの形だとよっぽどコアなファンでないと食い付かない価格、スタイルなのではないか。4コマ女王の称号は隠れも無いけれど、華々しい活動、というよりはどこか昭和の徒花的な、読み散らかし上等の経歴を踏まえれば眺める造りより読み込めるサイズにしてもらいたいのだが..。
頁下はさらに「詳細は後日タイム各誌にて!!」とまで。早速月初に「ホーム」誌3月号が出る。いつも通りに購読するもすっかり忘れている。思い出して再読。単行本PRページを眺めていくが無い。初夏って話だし、まだ早いか。ネットに出ているかなと思いながら連載を読み直していると..え、これか!?
頁柱にある単行本紹介はタイム系列の新刊と本誌掲載の既刊作品が載るデフォ記事。この穴埋めのようなスペースのたった1行にだけ、胡桃ちの「くるみっくす2」4月7日発売予定とある。〜7to7特別編から菓子男別邸まで〜という副題、ファン必読!!人気作から幻の作品まで網羅という紹介文(※一部割愛)からして間違いない。
それにしても..初夏発売ってのに4月って..今春で良かったんじゃ。2ヶ月後だってのに柱記事でしか詳細出せないって進行大丈夫なの。幻の作品って試験作までだったの芳文社だったっけ。
それにしても..この寄せ集めといった作品集は長年求め続けてきたスタイル。これまでも水瀬るるうや幾花にいろなどがヒットに乗じて初期作が収集されたけど、作者のように長年やっていれば未収録のおまけだけでも分量が足りるわけか。
ん?「2」ってことは「1」があったわけで..すでにして「単行本に足る分量があるならまとめてもらいたい」は日の目を見ていた。その機運が盛り上がる購買活動をしてこなかったわけで..。

補足:「くるみっくす2」はHPの単行本情報には収録作も掲載。表紙絵がまだ固まっていないからPRページに出て来ないだけでした。「くるみっくす」は2010年の刊行で、絶版。すでにロングランとなっていた「7to7」の未収録話を入れていたりとまさにワタクシの望んでいた形だったようデス。当時気付かなかった、取り上げなかったのは最盛期の(読者としての)傲り。あ、竹書房からも「短編集」と題した単行本が..(2020年)。

-PICK UP-
このところ、購入した単行本は開かずに積んでいることに気付く。読書バランスは益々、連載中の「続きが気になる」方に傾いているようだ。出会い買いだから即読まなくとも良いか、で積読になっている。
丸井まお『となりのフィギュア原型師』(タイオリ)が次号に続く引き。単行本7巻を数える長編だから連作(〜編の意)は何度かあり、コメディなのでフリに過ぎないと思いつつ、完結に向かう転換点になるかも知れず。これは単純に「次号が気になる」型。
「続きが気になる」作品は基本ストーリー4コマとなる。梶井スパナ『サレ妻お江戸リコカツ録』(ホーム)は現代での進行と江戸での日々が途切れることなく更なる展開を生んで気になるエピソード、キャラクターがどんどん増えている好循環。
いくたはな『ニセアイホンアイ』(タイム)もまた転がり方が秀逸。主人公たちの気持ちの変化だったり、横槍が入ったりとストーリーが進行していく裏で必ず出て来る今は亡き同僚の存在。全てに絡んでくる辺り、設定の練り具合が見て取れる。
こちらはクライマックスに向かっているのかのドキドキが止まらない重野なおき『雑兵めし物語』(ライオリ)。国を挙げての戦は終章なのか、大長編への序章に過ぎないのか、固唾を飲んで眺め続けている。

今回は各誌から一つずつ取り上げてみたが、このように毎号様々な型で楽しみな展開が見られる作品が増えてきたのは喜ばしい。勘所、掴んできたか。

-REVIEW-
羽鳥まりえ『農大女子は億万長者の夢を見る』(ホーム)
掲載誌が少なくなって、単純にキャラクターが面白おかしい日々を送る学園ものを見かけなくなった。「きらら」誌(芳文社)の表紙が久々に三上小又『ゆゆ式』だったのが嬉しい(蛇足失敬)。
専門学校を舞台にしたルポもの兼もすっかり尻すぼみの中で久々の農学ものは「商い」に注目。儲かる×→利益の出せる農業を目指した学生生活というのは時代が進んだ印象。作者は出身者か、過去作も農業由来に取材している。
どうしても比較してしまうのがそめい吉野「農学女子」(ぶんか社)になるが、初期はあるあるネタがメインだった。本作はすでにして目的が明確で、試行錯誤が描かれキャラクターも揃っている。未来に進んでいく過程が読める、勝手に「継がれた!」と喜んでいる。


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