新・現在4コマ漫画レビュー 第106回

(初出:第342号 25.12.23)


-TOPIC-
珍しく年をまたがず手に入った吉田戦車「出かけ親」(小学館)5巻を読んでいたらあとがきに震える。
え、「全」5巻!?早くない!?
思いも寄らぬ展開に動揺しまくる。慌てて1巻を開いたら17年からの連載。7年か..長いようでもこのくらいのビッグネームとなると10年はデフォと思うからサイクル早いと感じてしまう。何より、会社員なら定年退職しているか、と思ったらもう描かなくなるのではと誇大妄想。それこそ思春期から今まで、連綿と読み続けてきた漫画家の新作が読めなくなるというのは痛手が過ぎる。ロスが半端無い。この意識が弱った心身を直撃。文字通り崩れ落ちる。
ネットで近況を確認すれば何の事は無い、連載は他にも抱えていて、未読の作品も数多ある。単純に、自分が目にしていた範囲内でお気に入りが終わったというだけで、前作「まんが親」(小学館)も連載7年、全5巻と全く同じサイクル。勝手にバタついただけだった。
置かなくなったコンビニが多くなった(泣)ので4コマ誌を書店で購入しがちに。今どき封をしていないお店であれこれ眺めていて、何十年ぶりくらいで「ニュータイプ」誌(KADOKAWA)を開いたら西村しのぶ「下山手ドレス」、まだやっている!(ゆうきまさみ「果てしない物語」も!)巻末のルポもの?のアサダニッキって、あの!?(参考:第72号 )
これもまた、4コマ「誌」という狭い範囲でしか見ていなかったから「もう描いていないのではないか」と勝手に思っていただけ。共に年を重ねてくれている漫画家、作品はすぐそばにいて、気付いていないだけ。

-PICK UP-
ユウキレイ『まほろば小町ハルヒノさん』(タイム)が次号最終回、の前で号泣してしまう。単行本での一気読みならいざ知らず、掲載誌読んで涙が止まらない回なんて、いつ以来だろう。
泣ける、だけでなくこのところの4コマ作品は唸ったり、莞爾したりと会心の展開を見ることが多くなった。ワイド4コマの登場で急成長を見せたストーリー4コマはいよいよもって大成を迎えたと感じている。特徴的なのは作画分業の作品が増えなかったこと。
先日竹書房が新しいWEBコミックサイト「竹コミ!」を立ち上げた。従来のサイトをひとまとめにしたという告知通り、4コマ作品は連載陣のみで特筆すべき点は無かったが、一般作品を眺めて思うのは「原作付き、めちゃくちゃあるなあ」ということ。ブレーンとしての原作者の有用性は指摘していたが、ファンタジー作品の設定世界観を確かなものとするには好材料だったと、これは推測通り。ただラノベとのコラボから爆発的に増えているので、原作ありきの作品が多いのではないか。というトレンドであれば4コマは需要から外れた独自の道を歩んで進化を遂げたと言える。
ガラパゴス?いやいや、語れる漫画家を輩出しているジャンルとして、今後WEBコミック界で新風を巻き起こしてくれるものと期待している。
前述の「ハルヒノさん」は、全44話(4巻)、となる。今までなら「壁!」と悲嘆するサイクルだが本作はルポもの、学園もの、恋愛ものとして全てを描き切っての完結と素直に思えた。迷いなく傑作と言える。

-REVIEW-
りゅーたい『オフィスにラブコメはいりません!』(タイム)
アニメでいくつか、気に入った作品もあったから私でも馴染みのある異世界転生もの。ここまで流行るとイジリ甲斐も出て来る。本作はラブコメ漫画の世界に入り込んでしまった新入社員が、強制的に持っていこうとする展開に対して必死に抗う日々を綴っている。結局は最初に救ってくれた、この世界が現実的でないことに気付いている先輩社員に魅かれていくという古典的なラブコメが描かれているのだが。この矛盾もひっくるめて今どきの(作品)世界観へのツッコミは楽しい。
作者は動画も手掛けているようで、二次創作も受けているようだから単なる好き者ではない。この手の作品なら毒舌が似合うのだけれども、よっぽど詳しくないと耐性が効かない。コンプラ的に合った作風は初心者にも受け入れられるし、根底にある批評的精神というのはいつの時代にも必要な視点である。臆せずイジリ倒して欲しい。


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