GRANDSTAND PLAY Vol.4 (03.07.13)



B面女優、エレンに惚れた 石垣 ゆうじ

隠れた名曲が数多く収録された『ムーンライトマイル』のサントラ盤。
この映画のタイトル曲もローリング・ストーンズの71年発表作のB面ラストの楽曲である。
ブラッド・シルバーリング監督はメロディだけでなく歌詞を聴く人だ。それは間違いない。そうでなければ無名の埋もれていく楽曲をピックアップすることは出来ないからだ。
詞を理解すると、その曲は自分だけの歌になる。時代が変わっても、思い出が風化しても、決してはがれることのない心の瘡蓋の様な歌。その歌を聴くと涙が視界をぼかしてしまう歌がある。『ムーンライトマイル』はそんな歌、そんな映画である。
若手の有望株、ジェイク・ギレンホールに、二大巨頭のダスティン・ホフマンとスーザン・サランドン。この三人を評して「ダスティン、スーザン、ジェイクの演技が素晴しい。感動と絶賛の嵐が起こるだろう」(ハリウッドリポーター紙)「三人のアンサンブルは強烈。シルバーリング監督の最高傑作だ」(ニューヨークポスト紙)と各紙はこぞって称賛しているのだが、彼等は一体この映画の何を観ていたのだろうか?
私の印象に残ったものといえば、ジェイク(ジョー役)の新しい恋人バーディを演じた、いわばこの映画の隠れた名曲、エレン・ポンペオの事ばかり。
エレン・ポンペオ。本作が初のメジャー出演だ。彼女の奏でる楽曲に詞はいらない。台詞がなくとも顔だけで総てを語れる役者。この映画の重要な4人のキャラの中で、実は最も語られなければならないのがバーディ役のエレン・ポンペオだった。
郵便局員の彼女が手紙を棚に仕分けしているときの表情、ケンカをしていたジョーから75通もの手紙を受け取ったときの表情、どうして彼女に気付かないのかなぁみんな?
無名の女優なんかより、三大スターの共演を宣伝した方が営業的に楽なのだろう。これが世間というものか。安直過ぎるよ。しょっぱ過ぎる!!
まあいい。ならば私、エレン・ポンペオを独占させて頂きます。とびっきりの美人でないのがいい。見つけたもん勝ち。芯の強さと裏に見え隠れする脆さ。片田舎の純真なヤンキー娘。この女優は本物だ。ありがとうエレン!!君はボクのメーテルだ!?

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