タカさんから電話がきた。珍しい。「今どこにいるの?」てっきり飲み会の誘いかと思いきや「ドラちゃんがいるから川内のローソンに行ってやって」という。当然「なんで?」と私は尋ねてみる。「ふむふむ、えーっ?ガハハハハハハーッ。分かりました。すぐ行きます」ローソンへ直行致しました。
ドラちゃんは項垂れて、スタン・ハンセンみたいなロープを手にし、妖怪顔をしてこちらに迫ってくる。怖かった。こなき爺さんかこいつは!?
人のいい私はこの妖怪を車の助手席に座らせ、何故そんなに不細工なのか問い詰めた。そもそも山形県酒田市にいるはずの彼がどうして仙台にいるのか?仲良しのはずだが彼とは数ヵ月間、音信不通で、逢ってもいなかったのだ。
ドラちゃんはトレードマークともいうべき水色のTシャツに汗模様をつくりつつ、モジモジと「ごめんね。ごめんね」と謝罪を繰り返して、やがて静かに語り始めた。
詳細は以下のとおり。総て実話である。金融関係の会社に勤めていた彼は、悪質な顧客に背中を刺されて入院するも、地元を離れ酒田市で引きつづき金融業に従事。しばらくは平和な営みをつづけていたが、昨年、飲酒運転で逮捕。免許を失う。直後に責任をとり辞職。つてで新潟に移るも、潔癖症の上司等に耐えかねて去年の暮れに帰仙。某所にて観光客を相手にそばやうどんを茹でて何とか生きていた。そして..。
勤勉な労働者は癒されたかったのだ。近所だからいいよねと、ドラちゃんは無免許にもかかわらず、友人から譲り受けたジムニーでタバコを買いに出掛けただけだった。そう車検切れのジムニーで。エンストなんてするはずがなかったのに。だって主と同じ働き者のジムニーなんだから。それにタバコを一箱仕入れたら、真すぐ帰るつもりだったんだ。ほんとだよ。ほんとなんだから。「そうそう。そうだよなドラちゃん。ッコノ犯罪者め!!」
ローソンの店員や学生さん達の温かいまなざしの中、私はジムニーの尻を押し、愛車のマーチに鞭を打ちつけた。バックミラー越しにノコノコとジムニー号がついて来る。しかし、順位は不動だ。一着マーチ。二着にジムニー。
着差は一馬身半ほど開いたが、友情は一気に縮まった様である。互いにとって有意義なレースだったということだ。いや〜おもしろかった。
Hot Stuff
6月16日、月曜日。雨の夜に、雨のように一方的にレイコへ送信したメール。どう思ったろうか?
1.「森を歩いてくる」僕がそういって外に出ようとすると、彼女は激しく声をあげて泣いた。
2.夢で歴史に残るホラー映画を撮ってきます。
3.なにもないからではなく、悲しいからという理由で正当に泣きたいと思います。深い地球の溜め息に僕は泣きます。そして、涙を拭いもせず雨の夜に立ち尽くして、枯れることのない涙をバラバラとこぼします。ここはニッポンです。ニッポンだったのです。それだけでドーナツの穴も埋まるほどの理由があるでしょう。
4.真夜中に歩く地球でたった一匹のアリになりたかった。もしくはそんな自分だったのかもしれません。その夜、母さんと父さんは幸せそうな声を響かせていました。
5.朽ち果てそうな無人の民家の壁に、雨が泣いています。(^o^)と落書きを滴で描いたら、やっぱり壁は泣きながら(^o^)な顔をして、足早に去る僕の背中を見てました。
6.雪原に蒼く佇む月明かりのなかを夏の夜毎に歩いて行きます。
7.忙しいとは、心を亡くすということだ。そして、僕は心を亡くしてしまいました。