ドキドキ東京(渋越磯氷桐)編 第325回

(初出:第333号 25.3.20)


Nutrizione. 栄養。という事で始まあり。
某日。体調も大丈夫という事で久々にひとりフラリと飲みへ。
妻は仕事で遅くなる。私は次の日は休み。朝から大雪で地下鉄にて出勤。というジョーケンがそろっとりましたので。
街中着は17時すぎ。私がよく行く店はだいたい17時半頃開店が多いのでどうするべと考えましたがね、やってるとこはあるんスよ。
横丁の某店。中国人のママがやっとりますカウンター居酒屋。この店16時からやっとりまして賛否両論店なんス。私は好きなんスが妻はニガテみたいなんス。かといって女性客がいないわけでもないんスがね、この店のヒョーカってのがけっこうわかれるんスよ。まあ・・・・。カンタンに言うと(カオス)な店なんス。
んでもって入店。カウンター一番奥には太った男。アフロに見えるけどただのくせっ毛ボーボーな感。ベロベロです。
マ「ココウミサンスワテ」
と座った横には暑い店内なのに黒ダウン着たままのオジサン60代ぐらい。
私が座ったと同時ぐらいに入店してきたのは外国人。「スミマセーン」とカタコト。ひと目で観光客だとわかる感じどした。ママはなぜか外国客がキライでしてあきらかにイヤ〜な顔しとりましたが太った男が「カモーン!OK!OK!俺、英語しゃべれるから大丈夫だよ!!」と。
イラついたママでしたが「イッパイダケダヨ」と太った男のとなりに座らせとりました。
ママは何もきかずに無言でビールを。太った男とカンパイしとります。
太「おめーはどっから来た?」
外国人なんとなく伝ったのかベラペラと英語で話しとりました。
英語圏の人ではない風貌でしたがやはりでしてオランダからとの事。シンガポール→東京→山形→今日仙台着との事。
私、英語しゃべれませんし聞きとれるわけでもないんスがね、それぐらいは聞きとれました。けど・・・・。太った男は・・・・。
太「何!?シンガポール!?へえ〜、シンガポールねえ〜・・・・。」
オ「ヤマガータ、ハグロサン、ソバ、オンセン」
太「何だっ!?ハグロサンって!?おめー山形出身か?」
『山形出身か?』に反応したオランダ青年。
オ「イァー!!グッド!」
と話がかみあってねえっつうかからまってるっつうか・・・・。
何となくおたがいさぐりさぐりで会話しとりますがそもそも太った男が英語しゃべれないから・・・・。
太「おめーは独身か?」
オ「ワット?」
太「お・めー・は・ど・く・し・ん・か?」
オ「オ〜・・・・・。ドク?ドクシ?」
太「おれはバツイチだ。わかっか?」
オランダ青年、(ドクシン)も理解おいつかないのに・・・・。
オ「バ、バツイ?」
太「ノー!バ・ツ・イ・チ!」
オ「バツイチ・・・・。ウ〜・・・・。I don't〜〜〜」
太「ほらっわかっぺ?バツ!バ・ツ!」
と指でバツを・・・・。本当にこまった顔のオランダ青年。日本酒飲んでタバコ吸ってる中国人ママ。
太「いや〜、しかしなあ、シンガポールだってよ〜。なあ、シンガポール。なあ!?」
オ「シンガポール!?・・・・・・・・。」
とにかくかわいそう・・・・。旅行でフラリとおとずれた店で初めて会った人と楽しく交流を夢見てたのかもしれない青年を・・・・。英語しゃべれないながら私も助けたほうがよいのやらと思案思案。けどとなりは黒ダウンがいるので人をまたいでまで参加?助太刀すんのもなあ・・・・、と考えとったんスがね、フト黒ダウンに目をやるとカウンター居酒屋なのに(?)ひとりケータイを横にして何やら動画観てんのさ。私的には心中(この重大なる青年の危機に何オメーは関係ない感じで動画観てんだよ!!)とイラついとったんスがチラリと画面見えて超バビりましたのよ・・・・。ってかコェーよ・・・・。
『白鳥が卵産んでる動画』を今観ないとダメなの!?
私、次の店に行くため2杯で帰りましたよ。

ひるがえって某日。次の日休みなのでひとりフラリと飲みへ。
街中に着いたのは17時すぎ。又もやちょい早く着いたので某店へ。どこもノレンもだしてねえししかたなくです。
マ「ウミサンココスワテ」
とカウンター奥3番目に座らされる。
マ「(口卑)酒(口馬)?」(編注:表記出来なかったので分割表示)
私「好好対対」
となりにはミュージシャン的風貌のオジサン。60代ぐらいかしら。黒のハットに肩までのロン毛。ゴツめのリングにバングル。細身の黒ジャケットを着とります。ちょっと前のミュージシャン感ですがシャレオツな方。
ママとミュージシャンと私にてニュースなんぞを観ながら飲む。△×で男性が切られただの刺されただの観つつママが何やら言い、ミュージと私がやいのやいの言いつつ飲んどったんス。某国大統領が戦争を終わらせ失敗うんぬんニュースを観る。
ミ「本当に終わるのかね?」
マ「コイツジブンノコトダケ!ダカラキライヨ!」
私「戦争続いてくれると潤う業界もあるでしょからね」
ミ「為替やらFXやらは大変らしいってよ」
私「あっ!私、職場の人がFX?バイナリー?やってるので同じこと言ってましたね」
ミ「でしょ!?」
私「お詳しい方ですか?」
ミ「昔ちょこっと株やったりしてたよ」
私「ええ〜っ!スゴイ!私、今株を勉強してる最中でして」
ミ「あ、そうなの」
私「社会と近いっつうんですかね?何か楽しいっスよね」
ミ「う〜ん、まあそうだね」
私「教えて下さいよコツなどあれば」
ミ「う〜ん、まあ、自分で色々と勉強したほうがいいよ」
私が(株勉)と言ってから即座にソワソワしだしましたのよミュージが・・・・。
1.今までメンドクセエ事があり株を教えたくない。
2.軽〜くホラ吹いたのでバツ悪。
3.トイレ。
ミ「じゃっお会計で」
とソソクサと帰ってったんスがね、超バビりましたよ・・・・。
『超ミニスカでした』
茶色のストッキングでした・・・・。
マ「アリガトゴザイマース」
私、超バビりながらもママに聞いたんス。
私「あ、あの人よく来るんスか?」
マ「トキドキヨ」
私「あの人ミニスカートでしたけど・・・・」
マ「イツモソーヨ。アノヒトアシキレイネ」
私(そこじゃねえよ・・・・。)
ママいわく60代のこの方。50才の時に全てイヤになり、自分らしく生きると決意。離婚して(子供2人)ひとり自分の好きな自分らしい生き方をしだしたらしいっス。
マ「タヨウセイダヨ」
私「・・・・。あ〜、認めてんだ・・・・。」
と、自分のアップデートしなさ感を考えつつもさあ、やっぱ思うんだよ。
『ド変態に株の教えを請うてしまった・・・・。』

(fin)


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