-TOPIC-
紙は見離さなかったというか、離してくれなかったというか。
年もすっかり改まった某日、たまたま寄ったモールに本屋がある。そういや今日だったか、明日だっけか、いつもはコンビニで買う4コマ誌をついでなので覗いていこうと寄る。相変わらず発売日うろ覚えなのはどうせコンビニほぼ日で寄るから。するとビンゴ!最新号出てた!と表紙の号(月)数を確認する前にその右上に釘付けになる。夢にまで見てはいない見覚えのあるロゴに、「大感謝の最終号!!!!!!」の文字が。
ほら!やっぱり!!本屋さんにはあった!!!
念ずれば意、天に通ず。「主任がゆく!」誌(ぶんか社)が置かれてあって唖然としつつも、
ほら!やっぱり!!本屋さんにはあるんだよ!!!
と妙な納得感。1月経ずに返本指示が出るコンビニと違って、本屋さんは次の号が出るまで置かれてある、何だったらバックナンバー扱いで数号残っている、そんなイメージがあったから二度見するような逡巡は無く流れるように手に取る。「18年間愛してくれてありがとう!!!」と書かれた表紙、HPで見たので間違いない。発売から3ヶ月もここで私を待っていたのか、在庫が回ってきて再び置かれて間もなく私が訪れたのかは定かでないが、兎にも角にも。店員さんにこの感激を伝えて握手ぐらいしたい気持ちだったがセルフレジ。独り噛みしめながらの帰宅となった。
戻って早速開いてみれば、現連載陣だけでなく、懐かしの面々までメッセージを寄せている。皆皆Xのアカウントが紹介されており、何処かで活躍されているようで何より。
ただ..。休刊号を手に入れてしまったので電子書籍デビューの道がまた遠ざかる。今年の抱負が早くも頓挫してしまう。このまま先送りに出来る状況で済むのか、新年はまだ始まったばかり。
-PICK
UP-
毎シーズンのアニメ新番組(の紹介)だけは欠かさずチェックしている五十路である。すると今期は4コマ誌で見る設定が多いような気がする。4コマでもアニメに出来るような作品あるんだけどな、という従来の主張ではなく、ようやく4コマも最新のトレンドに乗っかってきたかと安堵の気持ち。
流行りに乗っかっていくのが4コマ界の常套手段である。ゲーパロ、パロ野球、ペット4コマと、時代の徒花は枚挙に暇無い。ビジュアル系以降は自らトレンドを作ろうという先行的な動きが見え、結果4コマならではの「日常描写に長けた」自縛から抜け出せなかった印象。内容が地味というか、地に足が付きすぎて話題を呼べなかった。
後追いに4コマが有利なのは「簡略化、単純化が出来る」から。つまりオリジナルありきの応用が効くわけで、流行りの派生を生みやすい。アイドル「グループ」の群像劇が描かれるアニメに対して、アイドル「ユニット」のエピソードが語られる4コマ作品が登場するex.青島かなえ「アイドルはお忍びchu・」(タイオリ、終了全2巻)。オフィスラブコメもかつてのもどかしさがウリだった頃はどこへやら。新作イチョウヨワシ『遠恋カノジョとおとなり上司!』(タイム)は最初から告白以降の話となっている。
アニメと同様ハーレム環境も現れているex.ぎんもく『沖浪荘202号の漫研部』(タイオリ)し、樹るう『チート転生した猫は嫁の膝で丸くなりたい』(ライオリ)は長いタイトルに異世界、チートとヒット要素揃い踏み。
もっとも近作が模倣しだしたという訳ではなく、甘々社内恋愛はタチバナロク「可愛い上司を困らせたい」(芳文社)、ハーレム環境なら榊「異なる次元の管理人さん」(芳文社)など散見されていた。今や主流となりつつある、という話。
さらに言えば「きらら」系列誌(芳文社)の流れは追えておらず、ネット4コマ界ではどうなのかなど語ることすら出来ぬ体たらくであるから片手落ちも甚だしい見立てではあるが、どうやらガラパゴス、オワコンと言わずに済みそうだ。
そして最先端界隈ではありがちな過激化。今やラブコメはエロコメに限りなく近付いていっているが、4コマはマンネリを是とするから節度が保たれている。以前も指摘した通り、流行りを取り入れながら深掘りしていかない。ビギナーとロートルに優しい世界である。
-REVIEW-
峠乃あかり『坊ちゃん、困ります!』(タイム)
単行本未刊でも話数がクレジットされているので程なく刊行ならこのタイミングではネタバレになるが、このところの展開が面白くてご紹介。展開自体はもっと前に「おや?」と引っ掛かっていたものの、ジャンルを読み違えていて候補に挙がらなかった。ボンボンが護衛のお姉さんにベタ惚れで..と設定は古き良きラブコメ王道。エロネタもスカートめくりの域を越えず、カップリングもほぼ確で決定打だけ出さずにマンネリを繰り返す。凡庸とも思える中でキラリと光ったのは恋敵になると目された女の子が親友に変化していった件。自分の好意が恋かどうか分からないとあっさり諦め、以降は身内のような気の置けない関係に収まる。そもそも主人公が美少女のルックスで異性を感じる要素は薄いのだが、恋愛ものとしてこの決着の付け方は異色だ。作者少女漫画ご出身のようで、踏み込み方に一日の長ありか。さらにそこから主人公は応援団に入り、彼に憧れる新キャラのクラスメイトも(隠れ)美少女顔と..破天荒かつ能天気なこの流れは..恋愛4コマじゃなく、ギャグじゃないか。
学園を舞台にした毎日がお祭り騒ぎの生活。名作の数々を彷彿とさせる。こうなると必要なのはキャラの量産である。外野に「モブ」と記してないで、設定決めといて出番待ちさせておきなさい!(何様)