-TOPIC-
今年の大河モチーフだからって今は無き「ジャンボ」誌での桐丸ゆい「江戸の蔦屋さん」(芳文社)の初回を「タイム」誌で再録するとは..これぞ4コマの真骨頂。便乗商法大いに結構(褒めてマス)、10年(は経っていない)前の作品であっても十二分に楽しめる。ただ掲載は5月号のみ。ユウキレイ『まほろば小町ハルヒノさん』(タイム)休載の穴埋めに間に合う作品が無かった?は杞憂に過ぎず、FUZでの連載PR。連載?過去作をWEBにて掲載するから新規扱い..とは強引な括りも新たな読者が獲得出来るなら有効活用と言えるだろう。
この調子で未刊の作品も適宜「連載」してくれると古参読者も遅咲きデビューとなろうが..単行本化されているからデータが残っていて、再利用可能ということなら古いほど作品は限られてくる。
もはや2000年代初頭が4コマ最盛期というのは史実になりつつあるから、解像度の云々はさておき掲載誌からでも復元させてもらえないかしら。ほら、AIなんてツールがあるじゃない。(漫画家各氏の承諾も求ム)
-PICK
UP-
恋愛4コマ百花繚乱。付き合い方の多様性が現実で顕在化している中、4コマ作品もネタバレに神経を使わなければならない展開を見せている。
そんな中、ベテラン組の恋愛ものはどうか。
胡桃ちの『ミッドナイトレストラン7to7』(タイオリ)
既刊15巻の大作で各キャラのカップリングは既に決着を見せており、主人公同士の進展を待つのみ。くっつく云々より、物語自体が終章となるのか新章を迎えるのかに焦点が当たっている状況。クライマックスとなればイコールゴールインとなるはず。
辻灯子『恋はリベンジのあとで』(ホーム)
19年からの作品は作者初の未刊状態が続く。略奪婚は破綻を見て、恨まれていた初恋相手も絆されつつありと春目前の状況。タイトル通りなら主人公が恥ずかしい目に遭い、お互い恨みっこなしで晴れて結ばれる、といったオチになるか。それでは「よゆう酌々」(芳文社)と同じか。
おーはしるい『推しの為ならなんでもします!』(ライオリ)
最近作も順調に既刊2巻。推し活から入ったラブコメという切り口は新鮮ながら同担拒否のスタイルに従来の展開を感じざるを得ない。衝撃作、話題作となるようなオチにはならないだろうけど、求められてもいないだろうし。
あくまで4コマ「誌」での最初の100人レビュー(リストアップは02年)で挙げた方々によるラブコメ作品となる。
掲載誌が4誌にまで減り、連載ページ数もかつての1話6Pから現在は基本8P、ワイド12Pと増加して必然ラインナップも減っている。そんな冬の時代のトレンドにここまで残っていることに感謝しつつ、新鮮味が無いのも確か。古き良きと見ていた往時のベテランと同じ読まれ方をされているのかと思うと「もうちょっと冒険しても良いのでは」と言いたくもなるが。長期に渡って支持されているから(大)長編になっているわけで、ジェットコースターロマンスにして全2巻、に喝采出来るか。
これ即ち作家性というやつで、安定した語り口に一定のファンが付き、読み続けられているのだ。なるほど革新的な作品を著して時代を創ることが末永い活躍を保証するものではなく、スタイルを確立してトラディショナルとなるまで書き続け、読まれ続けた作品が辿り着く高みと言えるのだ。
古臭いとゆめゆめ軽んじるなかれ。若き読者に自戒を込めて。
-REVIEW-
夏村東和『腹割るウチらの秘密ごと!』(タイム)
体質変わったか食べられなくなったかで体重を維持することはさほど苦で無くなったものの、鍛えていないから腹は丸いままである。ジムに通おうとまでの意欲は無く、身体一つで何か出来るならやぶさかではないという程度の意識であれば本作はまさにうってつけ。
腹がだらしないイケギャルと理想の腹筋を持つ陰キャが巡り巡って一緒にトレーニングすることに。気になるあの娘が憧れの女性..という百合要素と、ぽっちゃりお腹を晒しまくる微エロ要素が満載の売れセン路線でありながらトレーニング描写は本格的に取材してある。真似て、TVを観ながらプランクでも..と思っていたが向きが逆なので叶わず(プライベートどうでも良いね)。
令和デビューの新鋭が誌面を賑わす時代が到来した。4コマ、末永いご活躍を期待する。