新・現在4コマ漫画レビュー 第100回

(初出:第326号 24.8.21)


-TOPIC-
回数としては100回ということで区切りを迎えたわけだが、正続新と連綿と綴ってきただけなので特にまとめる要も無く。とはいえ一応振り返っておくと、今シリーズの初回は08年末。今年通巻500号を越えた「まんがタイムオリジナル」誌(芳文社)が30周年で、「スペシャル」「ラブリー」は既に亡く..(独立創刊)5年目だった「きらら」が盤石なのが救い。しかし改めて2000年代が4コマにおける全盛期だったのではないかと思える。良い時代にハマれたものだ。今や一般4コマ誌は芳文社「ホーム」「タイム」「オリジナル」、竹書房「ライオリ」、ぶんか社「主任」(隔月刊)にまで減ってしまったが、月間4or5誌を「購読」していると考えると学生時代にいずれかの週刊漫画誌を購読していた頃とペースは一緒。他を立ち読んではもはやいないのだけど..大作をまとめ買い、一気読みなど10年単位でしていないけど..熟読している作品数を踏まえると、漫画読みとしてはまだかろうじて現役と言えるのではないか。
そして当時から「サイクル早くなって5年単位か」と言っていたようだ。今は単行本2巻、増ページ等の配本調整もあって連載3年というのが個人的な一時代の単位。時代というか、作品のですな。「3巻の壁」と言っていたのが懐かしい。トレンドの推移としては近年のワイド4コマ、ジェンダーレスな設定etc...といずれも数年掛けての主流化だからさすがに秒速分歩とまで早まっているわけでは無さそう。
まだ、付いていけているようなので語れる事は尽きないと思われる。お付き合い頂ければ是幸い。

-PICK UP-
むんこ「らいか・デイズ」(ホーム、タイオリ、終了)が21年35巻で完結。一つの時代が終わった感慨は薄い。というのも本作の最大の価値は花丸町という作者の世界(観)が完成したことにあり、他作品が続いている。そこでもう中高生になった主人公たちが見受けられるので寂寥感は無い。まあ、サンマに狂喜乱舞する新エピソードが読めなくなるのはやっぱり寂しいのだけれど。
寧ろこれだけの大作は複数誌連載の無くなった現在では生まれないのではないかと思っていたら、水瀬るるう『大家さんは思春期!』(タイム)がついに中学卒業が描かれエピローグへ突入..かと思いきや、「次回からは春休み&高校生活が待っています!!」(柱予告より)とな!?続くの!?となればポスト「らいか」は間違いなく本作になる。4コマ8P+ワイド4Pの3割増しペースで中学18巻、高校18巻でイケる。イって欲しい。
そして大長編は遥か先の話ながら終わってしまうと思っていた作品が終わらずに続いている僥倖。天海杏奈『ガチ恋カウント2.9』(ホーム)は晴れて練習生となりプロテストへステップアップ。茶畑ヴァエ『黒曜ちゃんと白玉くんの変わった関係』(タイム)が大団円、となったはずの回からまだ続いていて、もしかしてもう一波乱来るのかとヤキモキ。伏線もまだ張られているようだし、これでさらに二転三転するようなら久々に快哉を叫ぶことになる。
現在は永遠のマンネリズムが求められる時代ではないようで、いずれ戻るとはいえ4コマとしての存在意義も揺らいでいるから大いに混沌となって頂きたい。胡桃ちの『ミッドナイトレストラン7to7』(タイオリ)、終わりそうな展開で終わらなくとも良いのよ?

-REVIEW-
プルちょめ『かわいいユミくんとオドオド尾堂くん』(ホーム)
新連載、ゲストと読んでいないものは購読している現在無くて、紹介に至らないのは何か感じるところが薄いからというだけ。そして程なく終わってしまい全2巻と..。いう中で本作はまだ2回目のおそらくゲスト枠ながらピンとキタから青田買い。
作者はBL界で活躍していた時期もあるようなので青田買いとは失礼か。
初回、何故カワイイ男の子は冴えない眼鏡男子に声を掛けたかの理由が2回目に匂わせで語られる。詳述は避けるがここに私は80年代少女漫画の雰囲気を見た。となると性別の云々はもはやどうでもいい。実るかどうかが気になって仕方ない。4コマ王道のすれ違い、誤解の方程式ではない、少なくとも一方は確信的なアプローチをしている。そこに焦点を合わせた展開が見たいから取り上げさせていただいた。「嬉し涙」なんて画が観られたら本望。

倉本たけみ『ギャルはキンツリ男児が好き』(タイム)
惚れたギャルが露骨にアピールするも、筋肉馬鹿の釣り男児には通じず至極健康的なオチに。どれだけ直截的に描かれていても、かつて「みこすり半劇場」誌(ぶんか社)が存在していたから中学生受けまで。しかしこれ、もし男子側も悶々としていたらもっと跳ねるんじゃないかと思ったのでご紹介。
曙はる「キラキラ・アキラ」(芳文社)で女の子の方もモジモジしてくれたら面白いのにと思っていて最終章がその展開でやっぱり良かった。本作も例えばBサイドとしてギャルの誘いを受けて妄想が爆発するも行動には移せずに同じオチ、というパターンも出してもらえると、少なくとも男子読者には大受けするんじゃないかと。これもまた、70年代青年漫画なら普通に見受けられた展開ながら今では問題アリで受け身に回らざるを得ないのか。本作は今後の指針になるかも知れないので是非挑戦的に進んで欲しい。
勿論、釣り要素はルポものとして現状通りキッチリと描いてもらった上で。


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