-TOPIC-
「まんがライフオリジナル」誌(竹書房)最新5月号より。くずしろ『姫(きみ)のためなら死ねる』(WIN)が14年のロングランにしてついに最終回と。単行本は全14巻になる模様。1年1巻ペースは4コマ誌では複数誌掲載でしか不可能であり、つまり竹書房からはもはや現れぬ。読んではいなかったので詳述しないが、WEBコミックでもここまでの大作が出ていることに未来を感じる。大川ぶくぶ『ポプテピピック』(WIN)もシーズン8。アニメ終わっても作品は続く、4コマあるあるはWEBでも健在。瀬戸口みずき『めんつゆひとり飯』(ささくれーる)7巻のPRページ。何より「連載中」の文字に一安心。単行本で初見を一気読み出来る楽しみは師走冬子「あいたま」(双葉社)の「コミックHi」時代以来。一般誌掲載の4コマ作品と感覚は変わらぬ。ストーリアダッシュでは新連載告知に雨水汐「恋に恋するコイビト関係」(同)が。『元アイドルのハロー!ワーク』(タイオリ)が来月いよいよ1巻発売、サイト的におそらくショート作品なのだろうけど、活躍の幅が広がっているのは好印象。
以上が私の捉えたWEBコミックの現状。悪くない。
本誌に戻るとスケラッコの新作は単行本で見かけた「しょうゆさしの食いしん本おかわり」(ライオリ)とエッセイものの続編。後述の作品とか、新連載がショート作ばかりで4コマ誌としての体制は..と不安になるも全26作品中ショート、エッセイは6作品と割合は多くない。芳文社のラインナップは各誌20作品程度なのでプラス非4コマ作品が入って50円増しならしごく良心的な4コマ誌と言えるか(特別定価って特価という意味なの?)。
-PICK
UP-
他社誌進出もゲスト作止まりだったのが今年ゲストから短期連載へと昇格した、あしや稚浩「未熟な魔法使いと僕」(ライオリ)。
反応が良くての処遇であるから後出しではあるけれど登場時「何という贅沢な作り!」と感動していた。「主と使い魔の尊いお話」という小見出し、「魔女とカカシの60年間の成長物語です」という柱文にある通りの内容だが作りが6歳、10歳、13歳15歳16歳18歳20歳、26歳32歳42歳、50歳60歳とそれぞれの年頃に起こった尊いワンシーンを1コマで。6Pで12のカットだから24話、2年で288話分のタネを一堂に。これ何とか単行本まで持っていけないかなと思っていた。「瞬間の描写に秀でている」のが漫画であるからこの一コマだけで綴られる物語というのは贅の極み。画集サイズで4桁売価でも買いと言えるんだがと。
しかし新連載にあたっての増ページが興を削いでしまう。付け足しの2〜4Pでその内の1シーンを膨らませたエピソードが載り、そこは読者の想像に委ねさせて欲しかった。蛇足と言い切ってしまう。
そして早々に別のカップリング(坊ちゃんと化け狐)が登場してしまったのも作者の力量が窺えてしまう..と見ていたら最新5月号では小娘と鹿ちゃん(悪魔)を登場させ、印象が変わってくる。
かつて。今は亡き「ジャンボ」誌(芳文社)に載った未刊のゴンドウケンジ「ショートショコラ」(同)のようなオムニバスの恋愛ものに成るのかも知れない。当時の紹介文を載せておく。
ゴンドウケンジ
つい最近お目にかかったばかりのまさに新人といえる作者。いつもなら来年に紹介するところだがあまりの秀逸さに即紹介を決断した。ゲスト扱いだがほぼ毎月登場している『ショートショコラ』(ジャンボ)はオムニバスでそれぞれ読み切りのような一抹のエピソードだけを取り上げたテンポが物凄く良い恋愛もの。純愛も打算も全て網羅されていて、登場人物たちは漫画のように長続きはしないで次の恋へと移っていく。とはいえリアルのつまらなさが描かれているのではない。ちょっと甘くて、ちょっと切ない。そんな普通の人達の精一杯の恋愛を作者は鋭い観察眼で捉えている。一つの恋を丹念に描いていくのがストーリーものの醍醐味だが、4コマでは恋愛エッセンスだけを取り上げる、まさにこんな形の作品も可能なのである。単行本化まで描き続けられれば天晴れの一言。
(編注:第136号 「続・現在4コマ漫画家レビュー」第21回より)
10余年を経て現れた待望の恋愛オムニバスものは..ショート作品なンである。追加エピソードの部分を4コマで切ってくれていたら手のひらを返したような評価になっていた、かも知れない。いずれ4コマ誌で活動してくれていることは嬉しい限り。
-REVIEW-
天海杏菜『ガチ恋カウント2.9』(ホーム)
単行本化が止まらない中で紹介したいのは徒花のプロレスもの。大伝竜王「MASK」(芳文社、未刊)以来なら20年ぶりとなるか。本作は内気な女の子がマスクを被って大暴れ、するのにドハマりして門を叩いた普通のOLが主人公。血沸き肉躍る格闘4コマ、とはならないだろうが、アイドルユニットの素顔は性悪で、など練習生の目線を通しての裏事情はいわゆるルポものの面白さを存分に味わえる。
作者は双葉社の電子コミックでも連載を持っており、Xにはエッセイ漫画も載せるなど旺盛な活動をしている。
個人的にどれが休刊になる?と疑心暗鬼の頃に正体を明かしてしまうか、という一波乱を迎えていたので押し出されて(終わって)しまう〜とヤキモキしていたら、そこを越えて新たな展開を迎えているので晴れてご紹介。今や定着した感のあるショープロレスの魅力を伝えてくれる期待しかない。追って単行本化も果たされよう。