新・現在4コマ漫画レビュー 第93回

(初出:第312号 23.6.22)


-TOPIC-
定期購読が習慣化し、在庫問題は解消されていない。いよいよ昨年分は古紙回収にと思いつつ、読み返せばやっぱり流し読み、あれこれ読んだっけ?の世界でなかなか整理が付かない。
この間の変化としては「単行本が増えなくなった」。リアルタイムで熟読できる状況だと、最終回を読んだ(手元にある)作品を揃える気にならず、新作の初回が未読でないので新刊に手が伸びず。さらに何作かは読み返さなくともいいかな、という気に変節してしまった。この辺りは読む作品が増えたことによる自然淘汰と言えなくもない。そして読みたい(新人)作品の単行本が出ない。
そんな中、安堂友子『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』(主任)2巻を刊行から1年、ようやく手に入れる。あとがきでは3巻、「出したいっす」と。出て欲しいっス。前作「マチ姉さんの妄想アワー」上下巻(ぶんか社)は電子書籍。在庫にならず、半永久的に手元に置ける電子版はこれらの問題を解消する夢のツールのはずなのだが。
何ヶ月ぶりかで4コマサイトを巡回。購読誌で情報は得ているので特に漁る要は無く。電子版での連載も、他作品は紙媒体に載っているので御生健存在確認成る。単行本待ちで良いやの世界なので定期訪問が身に付かない。今回は時間が合わず未視聴だった瀬戸口みずき『めんつゆひとり飯』(エッセイささくれーる)の実写ドラマを再放送でたまたま観られたので、原作はどうなっているかなと水が向く。これがなかなか辿り着けず。運営が違うからなのか、サイトが細分化し過ぎなのか、直接行けるリンクが見つけられない。着いてみたら公開中は最新話が期限付きで、後は1〜3話のお試しのみ。現在はドラマ化記念で過去作のセレクションが20話ほど読める状態になっているが、これが移籍「連載」?少なくとも半年はウダウダと読み返す読み方には合っていない。無料コンテンツにあれこれ言っても始まらないのだが、やっぱり画面で漫画を読む習慣は身に付きそうに無い。
アナログ人間の負け惜しみよと思いつつ、WEBコミック「WIN」に移籍した、まどろみ太郎「憧れの騎士様がじいやだなんて言えない」(竹書房)は移籍後7話で完結していた。単行本は全1巻でタイトルが「騎士じいや 姫様の執事は元騎士団長」(竹書房)と変更に。内容を踏まえて分かりやすくした、の?同じく胡桃ちの「旅するように暮らしたい」(竹書房)はもっと前に終了(全3巻)。作者意向で無いとすれば紙の読者が電子に流れなかった、つまり私のような人間が未だ多数派を占めている証左と思えるのだが果たして。

-PICK UP-
4コマ誌を手放すということは、載っていた作品が読めなくなるということで。昨年分を束に出すということは、よるどん「ウメボシオニギリ」(芳文社、未刊)を目にする機会が失われるということ。さらに今年分の前半を手放したとき、いわとびひろ「幽霊さんのための科学的新仮説」(芳文社、未刊)が手元から消える。終了作品は毎年数多あれど、あしや稚浩「先輩に推されて仕事になりません!」全2巻(芳文社)のように単行本が出れば寧ろいつでも再会出来ると記憶の片隅に追いやられてしまうのが、出ないとなると一期一会。勿論現在でも他ジャンルで活躍されていることと思いつつ、再び4コマ誌に登場してくれるのを祈るしかない。
そんな中、前作は未刊に終わったさーもにずむ『魔界の愛されCEOは元勇者』(ホーム)がゲストからついに単行本化へ昇り詰める!..今の話の流れでいくと単行本出ていつでも読めると放置して続刊出ずのパターンが..。4コマ誌購読だけでは支えられない、小さなマスに戻ってしまったのね..。

-REVIEW-
カネコナオヤ『スーパー恋愛タイム!〜現場でドSな彼女は自宅でデレる〜』(タイム)
4コマ界はともかくとして電子コミックは百花繚乱、中でもラノベチックなタイトルが隆盛に見えていたら4コマ作品でもついにここまで長いタイトルが登場した。まあ短いタイトルはもはや飽和状態、前述のまどろみ太郎の作品も「騎士とお姫さま」で伝わるのだろうがいろいろ丸被りになるし。サブタイトルが付くのは今後ますます増えていくだろう。
さておき。タイトルでほぼ分かる内容はつまりヒーロー番組の悪の女幹部役がヒーロー役の年上彼女であると。目先を変えたオフィスラブものと括れば何の変哲もないけれど、久しぶりのヒーローもの4コマは制作サイドが舞台であり、4コマお得意のルポものの側面も侮れない。秘密の関係ながら引っ越してきたお隣さんがスーツアクターのお尻のラインを見て誰が中の人か分かってしまうガチ勢だったりして気の抜けない日々が描かれる。今年始まったばかりの青田買いだがすでに設定は出揃っており、後はどんな波乱万丈で神作となってくれるのだろうか。


「過去原稿」ページへ戻る

第94回を読む