-TOPIC-
赤のキノコ「恋がわからぬ大人共」(双葉社)が、単行本わずか1巻にて完結を迎えたのは衝撃だった。同誌のOYSTER『新婚のいろはさん』(タウン)など、どんどんラブラブに発展していっているというのに。描きたいネタ一通り描いたし、キリのいいところで。何と欲の無い。正直先月売りの特別編を読むまで「実は新シリーズ開始とか?」と半信半疑だったが、ほんとに終わったのだ。ただ何となく、新エピソードは今後も静画サイトやSNSで読めるのではないか、と思っている。物語としての完結ではなく、描きたくなったらまた、といった気楽さが見える。人気至上主義を否定していた私からすれば喝采したい執筆姿勢ではある。描き捨てではなく、ネット上なら半永久的に読みたい人が読める状態を保てる。ただチャンネルが多いとオジサン気付かんのよ..。
-PICK
UP-
今年はついに一年を通して一般4コマ誌は全て購読した。恐るべし567禍。置いといて。
つまり全ての作品を熟読出来た?という事で久しぶりに総括してみると、「恋愛4コマ」が新時代に突入したのではないかと感じた。フレッシュな顔ぶれが一気に出揃い、また上記と違った混沌とした関係性まで深化した作品が読めた。
井上とさず『オレの愛で世界がヤバい』(ホーム)は祟りの内容が分かって以降も転がり続けているし、茶畑ヴァエ『黒曜ちゃんと白玉くんの変わった関係』(タイム)もスリリングな展開を期待出来る。
雪尾ゆき『この契約は恋まで届きますか?』(タイム)、森井暁正『百合のあいだは悩ましい』(タイム)は来年の単行本化が予告されている。
櫻井リヤ『瀬戸際女優!白石さん』(タイム)は結構なロングランのはずだが、現状の決め手の無い三角関係が面白くて主人公に愛着が湧いてきた。続刊..という形に縛られずまとめられても良いかと。
かわのゆうすけ『氷室君は板野さんの事が覚えられない』(タイオリ)はついに三つ巴が一人出し抜いてしまって、さあどうなるといった展開になる、の?
こんな感じで思いつくままに挙げてみたら芳文社だけ(注)。ビジュアル系からの流れであれば今年のトレンドとは言えないかも知れないが、取って代わりつつあるというのは間違いなさそうだ。
(注)赤のキノコ「恋がわからぬ大人共」(双葉社)、野広実由「花野さんとの縁結びは難しい」(ぶんか社)、神仙寺瑛「となりの席の同居人」(竹書房)、おーはしるい「醍鹿館のシェアメイト」(竹書房)と他社はいずれも実質減。
-REVIEW-
いわとびひろ『幽霊さんのための科学的新仮説』(ホーム)
コメディながら細かい設定で人外の謎を理詰めで解いていく。鈴城芹ex.「くすりのマジョラム」(芳文社)を彷彿とさせる作風で大好物なんだが..。本作は謎が解ければ別れ(成仏)の予感がする幽霊ものなので、もう切ない系はちょっと..と紹介が遅れた。
挙がってきたのは友人のおばあちゃんが「過去」から幽霊として出現してきたから。時空ものも絡める!?となればまとまった時に新たな感動を受けるのは必定。これは期待しかない。
作者イラストも含め幅広く活躍している。未刊で言うことではないけど、全4巻(以上)でお願いします。