新・現在4コマ漫画レビュー 第83回

(初出:第288号 21.6.22)


-TOPIC-
既刊作品についていくつか。
ついに芳文社にまで触手を伸ばしてきた、コナリミサト「ひとりで飲めるもん!」(芳文社、ショート作品)がドラマ化ということで「タイオリ」誌にてPR登場。しっかり1話(6P)新作でしたが残らないわけで..嬉しいけど勿体無い。CS放送なので手堅く人気衰えずの「ひとり飯もの」としてまとまりそうな感じだが、原作はクライマックスで感涙出来るほど80年代のいわゆる「ギョーカイもの」を彷彿させる熱い話でもあるので、この懐かしいノリを全面に出してくれたらいつか観る機会も出てくるかと。(余談、1話目無料だったので視聴出来ました。色々な盛り要素も違和感なく良き良き良きー!)
ちなみに前作「宅飲み残念乙女ズ」(同)ともども重版出来。4コマ誌掲載でしたが「まんがタイムコミックス」シリーズ(ワイド版)ではなく、「芳文社コミックス」(少年コミックサイズ)ですのでお探しの際はお間違いなく。
ロングランだったが未刊の安堂友子「ぎんぶら〜銀河ぶらりと調査隊〜」がついに単行本化!しかも上中下の(おそらく)完全版で!色めき立つも発行は掲載社ではないぶんか社、そしてああ、やっぱりの電子書籍..。読みたいのに!紙でないと!アナログ人間はそう訴えたくなるものの、未刊、絶版の作品がまとめられている状態は感謝しかない。前作「マチ姉さんの妄想アワー」は電子書籍のみだが自社掲載の『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』(主任)は単行本化しているから文句言う不義理はしていない。使っていない私が悪い。無無無..。

-PICK UP-
カラーボックスを本棚に置き換えて、手前/奥の2段収納だった4コマ作品の顔が全て見えるように。完結作品は整理対象になっていくから、つまり連載中の作品がズラリ。困っているのは567で自室滞在が長くなり、自然と古本屋通いが増えて..あらかた最新刊まで揃ってしまっている。「立ち読みで外出るの面倒、買っていっちゃえ」と4コマ誌も溜まっており、それらも何度も読み返すから..今年出た単行本は「この話の掲載号、まだあるよ..」という状態。今年と言いつつ昨年の話になるが、瀬戸口みずき『めんつゆひとり飯』(ライフ)3巻は6月号初出まで収録で7月が初版。
若い頃、「新刊で買うのが当然」と発売日に合わせて買っていたら、最終巻はオチを知っているから買っても読まないで放置という、苦い思い出が蘇る。
一番良いのは1.掲載誌を読んでいないので単行本で読む作品。荒井チェリー『未確認で進行形』(ぱれっと)、最新刊ではワイド4コマに変わっていた。まさに単行本を買う甲斐がある。ただ買うペースは..刊行自体が年イチだから急ぐ必要も無いので結局出回り待ち。2.掲載時マトモに読んでいなかった作品。発掘、掘り起こしなので過去作である。そもそも古本屋通いが始まったのは、絶版本を探すためだったから歴史ある買い方。安く手に入れようなんて理由では無かったのよ。3.だいぶ経過して話を忘れてしまった頃の巻。つまり最新刊の1〜2冊前は2〜3年前の刊行だから本屋さんにはなかなか無い(ネットで買えますけど)。高津ケイタ『おしかけツインテール』(タイオリ)、6巻が出るこのタイミングで5巻を入手したら2年前の話。覚えているネタもありつつ、全体的にはほぼ初見と変わらない読後感。
このような理由(言い訳)で古本屋を回る中、某店は元々新刊が出回る店という認識。すぐ手放す富裕層の多い土地柄なのか、某大手じゃないから買い漁るライバルが少ないのか。こちらもルートから外れているので半年ペースくらいでこの度も出されたばかりの新刊があれこれ。買ってしまうと手詰りなんだがなあ..でもあるので買うよなあ..と、値段を見てビックリ。税金分くらいしか差の無いお値段を付けている..。新古書店、ついにここまできた。
これは何か違う。安いのは間違いないが、そもそもこの売買には作者へのリターン(印税)が発生していない。この値段で買うくらいなら定価で創作活動を支えるべきだろう。
そのせいか、同じタイトルの最新刊が何冊も並んで(残って)いる状況は私に限らず否を示しているようで健全と言える。但し値崩れ始めた途端に嬉々として手に取ってしまう自分も想像出来る..。


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