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最近の出会い買いをご紹介。
今年は長期連載のいくつかが相次いで大団円を迎えたが、オチの付き方が何とも平穏で少々物足りなさが残った。4コマの特性として、続いたところで波瀾万丈が繰り広げられるわけでなく、続くほど結果は既定路線となっていくから当然とも思う。
なんてモヤモヤを抱きながら古本屋を眺めていくと、ある作品に目が止まる(↓REVIEW)。これは確か..あまり魅かれるジャンルでは無かったので斜め読みだったけど、オチが爽快だったはず。久しぶりにどれ、読んでみるか。
こうして2年前に終わっていた、2年ほどの連載作品を熟読する機会が訪れる。単行本万歳!
時勢を取り入れるのが4コマの得手とはいえ、エピソード4コマ隆盛の昨今ではすぐに新しい生活様式で描くに軌道修正は出来ず。そんな中、いがらしみきお『ぼのぼの』(ライフ)がいち早く「新しい病気の巻」という素晴らしい章を編んでくれた。そして同誌では、氷堂リョージ『高尾の天狗とミドリの休日』(ライフ)が自粛生活、在宅勤務を描いていて目に止まった。フィクションではあるが、高尾山PRというルポものの側面も持っている本作品は現状を伝えてくれている。これに魅かれて、まずは前作を手に取ってみた(↓REVIEW)。
世の中と一緒で4コマ誌も栄枯盛衰日々移ろっていく。具体的にこれがこうで、というわけではないのだが、個人の感覚で某誌が最近あまり元気無いなあと思って読んでいる。
もうすっかり当たり前になった単行本紹介のページを、買ってきたので飛ばさずに読んでいると、電子書籍のラインナップで再び「おお!」となる作品を見つける。テンヤ「黒森さんの好きなこと」(ぶんか社)3巻。1巻は持っていた、2巻はどうだったか。最後はまとめられることなく終わった作品の一つだったのだがいつの間にか電子書籍で!
同社の単行本はどうも続刊、完結版を出すことに後ろ向きなようで、最近は1巻に巻数の付かない作品が多い。売れたらしれっと2巻以降ナンバリングして出すのだろうが、後々読み切り作品と思って買ったら途中までだった、続きは出てない?WEBで?
なるほど、してみると紙の単行本が「お試し」扱いに変容しつつあるか。行く行くは本屋がサンプル展示場となっていくのかも知れない。
話が逸れた。本作は掲載誌で最後まで読んでいるが、オチはどんな感じだったかもはや記憶の彼方..。久しぶりに読み返したい!電子書籍か..いつの日か。
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奥十「マツ係長は女オタ」(芳文社)
読んだ記憶の中では後半畳みかけるように問題が噴出して、どうなるの?と続きを読んだらあっけらかんとして話がこじれず、オールOK!で終わったのであっさりした印象が残っていたようだ。
後書きで述べられていたが、作者はオープンなので「隠れオタ」であるヒロインのエピソードを作るのに苦労したと。斜め読みだった理由がまさにここで、周囲には隠しているアイドル好きの女オタである上司に振り回されて、という概要にネガティブターンが来ることを警戒して、元々興味のあるジャンルで無し、読み込むことがなかった。
単行本で読み返してみるとまるでそんなことは無く、ただただ好きなことのあれやこれやを描ききったというテンポの良い、まさに印象通りの爽快感を伴った作品であった。
絵柄のバランスも良し、他ジャンルの作品も読んでみたいところではあるが、作者は興味の赴くまま多方面にその才を活用している様子。寧ろ4コマ作品で読めたことが幸いだったのだ。
氷堂リョージ「高尾の天狗と脱・ハイヒール」(竹書房)
街中散歩は趣味になりつつあるが、山登りは興味なし。高尾山、富士山も拝めるし行ってみたいけど未だ訪れず。となればハウツーもののような本作をなかなか手に取る機会が無かった。
失恋で自棄になり、思い付きでフラリと訪れたOLが、小天狗に懐かれて誘われるままに繰り返し訪れどっぷりハマる。タイトル通りハイヒールで登っていた問題外が少しずつ装備を整えていき..と、まさに高尾山ガイドブックのような内容なのだが、読んでみれば大好物の座敷童ものの側面もあるではないか。
現在は主人公が変わり、断れないタイプのOLが色々溜め込んでいるあれこれを高尾山で発散、という流れで魅力を発信中『高尾の天狗とミドリの休日』(ライフ)。先日は前作のヒロインと遭遇するお楽しみ回があったけど、小天狗とはお互い素知らぬフリ。オチにまだたどり着いていない(全4巻)ので、どんな結末だったか楽しみに読み進めていきたい。