今回は徒然なるままに。
先日甥っ子が泊まりにきて、思春期を迎えたらしく私の部屋の(布で覆われた)本棚を初めて物色し始めた。
布を上げてまず「これ全部マンガ!?」と目を輝かせたものの..知っている名前が一つも無い事に気付き(アニメ化作品も数多あるのだが深夜アニメでわ..)。背表紙の絵で見繕ったか、いくつか取り出してみるものの..ピンとくるものでなかったようで。「何かおすすめ無いの?」ときた。
全く浮かばなかったので素直に「無い!」と即答したら結局興味を失って去っていったが、さて改めて眺め回してみると確かに小学生男子が食い付くような作品は無い。まずもってルビ振りの作品が無いのでそもそも子供向け作品ではない。無無無。次の巻を漁りたくなるストーリー作品は(少なくともこの棚には)置いてないし、万人共通の笑い=ギャグ漫画、吉田戦車!は、エッセイ漫画だなあ..。6割方高校が舞台で2割がオフィスもの、2割が酒漫画というラインナップでは、いかに取っつきやすい4コマ漫画であっても、果たして読んでみて小学生が理解共感出来るかどうか。後は絵柄がそうか、「少女漫画みたい」となってしまうか。
いずれ学園ものがハマる要素になってくるだろうが、果たしてこのジャンル(4コマ)まで自力でたどり着けるものだろうか。親が漫画を読む時代、自宅にジャンプコミックスが大量に転がっている環境で、ちょっと道がズレたところでラノベ、角川系に行くだろうし。
それらを経て尚深みにハマる縁があればこの本棚が宝の山と化す。道のりは遥か遠く、自身がそうであったように20才を過ぎてから分かる極北にある。中身は、王道メジャーと何ら変わらないのだが。何の抵抗も無く、幼女だろうがジジイが主人公でも楽しく読み込めてしまう、大人ってお得だなあと思ったエピソード。
梅雨時辺りから出勤前にコンビニに寄らなくなって以降、4コマ誌チェックも事務的になって読み込めなくなり、専ら単行本読みとなっていき、あっという間に本棚が満杯を迎える。
本棚がすぐ一杯になる遠因として、長期連載作品が積み重なってきたことが挙げられる。つまりキャパシティが一定なのに10巻以上ある作品が増えていけば単体作品の入るスペースが減っていく。「3巻の壁」だの「メガヒット作不在」だの言っていても確実にロングラン作品は歴史を作って4コマ界を支え続けている。
平成をデビュー作で駆け抜けた大乃元初奈『お願い!朝倉さん』(タイム、終了)が平成でもなく昭和な終わり方で締めくくった。今は無き「ジャンボ」誌の顔を担っていた人気作で、ほぼ年イチペースで単行本は15巻を数えるロングランもそのオチは従来と全く変わらぬ展開で「ご愛読ありがとうございました」に類される最終回に。最終章を設けて何らかの結論を出さなかったところに、本作品への作者の愛着が伺えるのだが、マンネリを最後まで貫いた辺りに作者の次作への消極性も感じてしまう。
秋の改編期に掛かってきて、今年は好評そうな作品があれ、もうおしまい?でコミックス刊行と同時に終了という何とも味気ないパターンが多い。人気云々も勿論あるけれど、主義主張が見えてこないと次につながっていかない。これは新人でも中堅でも変わりなく、作家性の完成を目指すのに踏み込まなければならないもう一歩があるはずだ。
常に「本棚が一杯だ!」と困らせてくれる存在となるには、やはり進化(独自性)が必要。次の新作を読むための整理対象となってしまう。